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800文字日記/20220314mon/010

猫に起こされる。6時41分。東の空は赤い。昨晩飲んだ風邪薬が効いたか体調は良くなった。雀(すずめ)の鳴き声。寝る。尿意で起きる。11時21分。寝る。隣室で工事。12時38分。猫が怯(おび)える。遠くで鳥の囀(さえず)り。ベコッ、陽が屋根に射(さ)して塗炭(とたん)が膨張する音が。音楽をかける。掃除をする。借金の支払いが頭を過(よぎ)る。ロードバイクを担いで部屋を出る。

廊下で家主に。ベランダの緊急時の蹴破(けやぶ)り戸の修復だという。郵便受けに借金の支払い書が。

ペダルを踏むと風が心地よい。すぐに息があがる。ファミマで支払いを済ませる。腹が減る。県道を下る。「やすだ食堂」の暖簾(のれん)が。病み上がりだ。精をつける為に暖簾(のれん)を潜(くぐ)る。六坪の店だ。小上がりと卓が二つ。12名で満卓。耳の遠い老婆が切り盛りしている。とり天と迷って親子丼を頼む。奥から息子が出てきて調理を始める。

市民病院を抜けて小学校と幼稚園の路地を抜ける。宅地分譲の更地に「後藤組」のローラー車が。昨日の砂防ダムのクレーン車も一昨日の漁港の作業船団も「後藤組」だ。作業員の話ではこの街を本拠とし宅地、森、ダム、河川、海、国東半島で手広くやっている。海洋土木船は国東半島から徳島まで行くという。

潮の香りが満ちる漁港を通り過ぎた。海洋土木船団に着く。作業員は輪になって一服していた。話を聞く。今年は若い衆(し)が入った。24と27だ。24の彼は沖縄から、27の彼はクレーンの免許を取ってから入社してきた。二人とも月給が目当てじゃなく海洋土木に興味があって働きたいという。最近では珍しい。ものになるまで二年かかる。

作業船にはデッキがある。賄い室から個室の寝室も。船舶法が変わってから最近の海洋土木船の中はクルーザーのようだという。遠くに出ると一ヶ月も船上生活だ。チームワークが大切、喧嘩(けんか)はできない。

作業が始まる。27の彼がコクピットに。37mのアームが同じくらい長い鉄骨を持ち上げる。コンパスがゆっくりと円を描くように鉄骨が回っていく。(797文字)

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