夢・希望を育てるHP369

徒然なるままにバーチャルワールドを書かせたら、史上最高最強のしがない64歳の爺さんです…

夢・希望を育てるHP369

徒然なるままにバーチャルワールドを書かせたら、史上最高最強のしがない64歳の爺さんです。もはや、誰も私の言うことなどに、耳を傾けてはくれません。せめて社会のお役に立てればと思い、毎日、障害者や高齢者の介護をしています。それでも、夢と希望だけはまだ持ってます。

最近の記事

ヘビの恩返し

昔からヘビの皮を財布に入れておくと金運が巡ってくると言う もう何十年も前のことです。ある朝、漁師の息子耕太郎は、網に引っ掛かって もがいていたヘビを逃がしてやったのです。その日の漁を終えた耕太郎は、疲 れた身体を引きずるようにして家に帰りました。 「毎日毎日、こんなに頑張っても、いつまでたっても貧乏で、嫁ももらえない」 そうぼやきながら、眠ったのです。 すると、耕太郎の夢の中に、朝のヘビが出てきた。 「先ほどは、お世話になりました」 「おまえ、ヘビのくせに話をするのか」 「

    • 魂は人間界での仕事を終えると、あの世で再会する

      出張先から帰る折り、ふと聡は夜行列車に乗ってみたくなった。 今時、夜行列車なんかあるわけないのに。 ところが、それがあったのだ。 夜8時、雪の降りしきるホームから走り始めた列車は、10時の消灯を境に、社内アナウンスも乗客たちの話し声も静まって行く。たくさんの人が乗車しているはずなのに、自分一人の為に、この列車が走っているのではないか。そんな孤独感が聡の心に広がった。深夜、何時頃だったのだろう。12時は過ぎていたはずだ。列車は、どこかの駅に止まった。 どこの駅だろう。 時刻表に

      • 結婚は精神を鍛える最高の道場だ

        売れっ子作曲家だったSは、猛烈な勢いでヒット曲を次々生み出して行った。 彼の活躍はめざましく、彼の才能に憧憬の念を抱く音楽家の玉子たちは少なく なかった。そんなSにあやかりたいと、毎日のように、Sの弟子になりたいと 懇願してくる人が後を絶たなかった。でも、Sは、 「私の弟子になっても、ヒット曲は作れませんよ」 と言って断っていた。そんなSに興味を持ったマスコミ関係者も当然、少なく なかった。週刊J記者の立川もSの才能の秘密を暴こうと以前からSの周辺を 張っていた。その結果、分

        • 福の神のいる所

          大山周作は、50歳にして人生の最盛期を謳歌していた。周作に運が巡ってきたのは、42か3の時だった。その頃、周作は、小さな悩みを抱えていた。 というのは、周作の妻の香奈恵が、周作の顔を見るたびに、 「ねえ、あなた、家を新築しましょうよ」 と飽きもせず、毎日毎日、周作が家に一日中いる日曜日などは、朝から晩まで、 「家の新築、キッチンの模様替え、トイレのウオシュレット…」 それこそ周作の耳にタコができるくらい繰り返すのであった。 もちろん、そのころの周作に、家を新築するだけの甲斐性

          地球から戦争を消滅させるだけで、人類は300年進化する。

          ある星の宇宙船ターミナルでは、初老の夫婦が娘リカの旅立ちを見送りに来て いた。地球より数百年進んだこの星では、一人前になると地球に冒険旅行に出 かけることになっていた。見た目は地球人と何ら変わらないこの星の若者は、 地球で、さまざまな出来事を間近に見て貴重な経験を積み、1年後に帰還し、 それぞれの道に進む。 「あなた、リカ、大丈夫かしら。地球では、相変わらず戦争が行われているそ うだし」 リカの母が心配するのも無理はない。リカの最初の地球での訪問地は長年に渡 り紛争が続いてい

          地球から戦争を消滅させるだけで、人類は300年進化する。

          プレスリーよ永遠に

          かなり有名な霊媒師の厚子は、最近、テレビに出た。 「霊をあの世から呼んで頂けるのですね」 と司会者からニコヤカに紹介された厚子は、得意になって 「まあ、そんなところです」 と少し得意になって答えてしまった。 そこで、司会者は、会場に来ている男女に、 「あの世から、誰を呼んでほしいですか?」 と聞いて回った。すると、プレスリーを呼んで欲しいという中年女性がいた。 司会者は、 「プレスリーを呼ぶとなると、通訳が必要ですね。こんなこともあろうと 呼んでおいたのです」 なんと、バイリ

          西暦2100年の社員研修

          2100年ちょっと過ぎ、科学は飛躍的に進歩したようである。たとえば、大 人の為のリアリティーゲームなどは必見である。誰もが一度は聞いたことのあ る忠臣蔵に出演できるのである。しかも、実際に江戸時代にタイムマシーンに 乗ったかのようにワープ体験できるのである。だから、社員研修などに、この ゲームを使う会社まで現れた。もちろん、社員に忠誠心を抱かせるためである。 某社の新入社員である翔太郎も、このゲームにチャレンジすることになった… まず、ヘルプコンピューターは、 「さて、翔太郎

          西暦2100年の社員研修

          すべての人間の後ろには宇宙を作ったスゴイ神様がついている

          美保子は、社員が10人ほどの小さな会社に勤めるOLだ。 なかなか就職が決まらなくて、やっと採用してもらったの が、この会社だ。 「採用が決まった時は天にも昇る気持ちだったんだけど…」 大きな会社が、次々に倒産している。来年は、もっともっと景気が悪いらしい。大きな会社が危ないのだから、 この会社なんて、どうなるか分からない。そう思うと、美保子は不安で一杯な のだ。 そんなある日、美保子たちは、居酒屋の小部屋を借り切った。 「社長は遅れてくるらしいよ」 「A銀行の支店長代理が来て

          すべての人間の後ろには宇宙を作ったスゴイ神様がついている

          世界一大きなクリスマスツリー

          もうすぐクリスマスというのに古い教会に住む少女マーヤは シクシク泣いていました。マーヤを育ててくれた神父様が 天国に召されてしまったのです。マーヤにはお父さんもお母さんも いませんでした。 あれは15年前のシンシンと雪の降り積もる夜でした。 その日は、国中が湧いていました。それもそのはず、 国王陛下に女のお子様が誕生したのでした。 そんな世間の騒ぎとは無縁な古びた教会を守る孤独な 神父様が夜のお祈りを捧げておりました。 すると、 オギャーオギャー 外から赤ちゃんの泣き声が聞こ

          世界一大きなクリスマスツリー

          君は自転を感じるか

          人間は、もともと猿と変わらない生き物でした。いや、それ以下だったのかも しれません。進化の起源を辿れば、単細胞な生物だったのかもしれません。 そんな人間が、幾度もの氷河期を乗り越えました。 そして、同じ人間同士の戦いによって、何度も多くの犠牲者を生み、何度も築 き上げた文明を破壊し、その都度、深い悲しみ、絶望に陥りながらも、そのた びに立ち上がり、繁栄を築き上げてきました。 それらの試練の数々は、たとえば、今の不況のような甘っちょろいものではな かったはずです。今、何らかの原

          神との出会い

          昔々、一人の大泥棒がおった。 彼は、たくさんの物を盗み、贅沢三昧に暮らし、多くの人をも殺した。 悪行は数知れぬ。手下の数は、3000人とも言われる。3000人の手下は、 彼のことを頭(かしら)と呼び、神と慕った。 また、彼も、持ち前の巧みな話術で、不幸な身の上の子供たちを集めて、 「そちたちは、死ぬことで、天国に行けるのだ」 と、すっかり洗脳していた。 しかし、そんな彼にも最後の時がやってきた。国軍の兵によって、隠れ家が取 り囲まれてしまったのだ。手下も、ほとんどは捕らえられ

          2025年の京都の休日、御所で出会った彼女はオードリーヘップバーンそっくりだった。

          2025年の京都の休日、御所で出会った彼女はオードリーヘップバーンそっくりだった。 京都御所の雰囲気は、2025年になっても、そうは変わっていないだろう。 大学院生の一朗は、やっと書きおわった論文の疲れを癒すため、御所を散歩し ていた。 かなり悶々としていた彼は、 「こんな時、可愛い彼女がいてくれたらなあ」 と呟いていたかもしれない。 そんな一朗に、 「彼女になってあげてもいいわ。でも、本日限りよ」 と声をかける品の良い美人がいた。 「ええ、君、誰?あれえ、誰かに似てるなあ

          2025年の京都の休日、御所で出会った彼女はオードリーヘップバーンそっくりだった。

          第三の目を見開け

          昨今、大学にあるパソコンはネットワークになっているようだ。自分のパスワ ードを入力し、ログインすれば、どのパソコンも自分だけのデスクトップ (画面)になっているわけだ。浩輔の大学も、生徒一人に一個のパスワードが 割り当てられている。そこから、ホームページを見たり、メールを送ったり受 けたりしているわけだ。その日も浩輔は、大学の図書室にあるパソコンの前に 座り、いつものようにログインした。 「あれー、何か変だぞ」 いつものようにログインした浩輔は、そう呟いた。 「おかしいなあ」

          娘の名前を夫が寝言でつぶやいた別れた恋人の名前にした偉大な妻

          今朝、5時に鳴った電話のせいで床屋に行く気になった。男である隆介が、急いで駆けつける必要はないのだ。それと、少しだけれど照れもある。第一子誕生。どうやら娘のようだ。きれいに調髪した頭で、隆介は妻の真由子が入院する。いや、まだ名無しの姫も入院する産婦人科に駆けつけた。 真由子の部屋は3階で、途中の2階に新生児室がある。 「はじめまして」 隆介は、一足早く、我が娘に対面した。スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。 「ちょっと気の強そうな所は、真由子似だな」 そう呟いて、隆介は真由

          娘の名前を夫が寝言でつぶやいた別れた恋人の名前にした偉大な妻

          忘れられない女

          まだ大阪の町中に赤線地帯があった頃の話である。 シンガポールから命からがら帰還した兵輔は、焼け跡で衣料問屋を始めた。5 年も経ったであろうか。特需もあってその頃の兵輔は、多少の贅沢もできるだ けの金を蓄えていた。その日の兵輔は、同じ街連の問屋仲間である社長たちと 赤や青のネオン街に繰り出していた。とは言っても、兵輔が、商の上のみの浅 いつき合いしかない若旦那たちと気のあうはずもない。もとより、裸一貫焼け 野原から這い上がった兵輔と戦前からの老舗の若旦那たちとは酒や女の好みも

          ラジオ焼き

          加代子と悦治は、ブラリと初めて訪れた商店街の片隅で、お店の看板を見てビ ックリしました。 「ラジオ焼き?」 「どんなんやろ、食べてみよ」 ちょっぴり勇気を出して入ってみると、お婆ちゃんが、一人で切り盛りしてい る小さなお店でした。 「なんや、たこ焼きやんか」 と、加代子が言うと、お婆ちゃんがニッコリ、 「そうや、ラジオ焼きは、たこ焼きの元祖や。兵庫県の明石焼きが、大阪にや ってきて、ラジオ焼きになったの。なんで、ラジオやて?特に意味はありませ ん。テレビも無かった昭和の初め頃