創作短編小説『赤い正真正銘』 ――5、赤っ恥――
5、赤っ恥
四人の男達しかいない割に、そのホテルの会議室は広かった。不敵な笑みを浮かべた太田から視線を外すように船橋は一瞬、外を眺めた。窓の外は相変わらず雨が降っていたが、先ほどの小雨とは違い、かなり雨脚が強くなっているようだった。窓ガラスにぶつかる雨の音は、今から雷でも落ちるのではないか、と思わせるほどだ。おそらく少し前から雨の音が大きくなっていたのだろうが、熱弁を振るっていた船橋はその時、初めて気がついたのだった。内心、いやな予感がした船橋だったが、まさか、この雨が今