小梅

ポーランドで文筆業をしている日本女子。民話や昔話をこよなく愛し、現在『日本民話の会』会…

小梅

ポーランドで文筆業をしている日本女子。民話や昔話をこよなく愛し、現在『日本民話の会』会員となり民話の沼へ埋没中。狐狸妖怪、悪魔系の話が好みです。日⇔ポ民話のサイト構築計画中。 好きな動物は犬・猫・狐・狸。好きな食べ物はしらす干し。

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    民話とまではいかない、スラブの口承文学、口承文芸をあつめてみました。

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    ここには、悪魔の出てこないポーランド民話をまとめています。悪魔の苦手な方はこちらへどうぞ!

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    ポーランド(あたり一帯のスラブ圏も含まれる可能性大)の妖を大解剖

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~自己紹介~

 ポーランドに興味を持ったのは高校生の時にできた初めてのペンパルがハンガリー人とポーランド人だった、という至極単純な理由なのです。当時まだインターネットなどというものがなく、ガチで手紙交換だったので『今日あたり、手紙が来ているかな』とソワソワしながら帰宅していました。  あの頃はそもそもポーランドやその周辺国も社会主義から民主化への移行中で日本にあこがれを持ってくれていた人たちが多かったんですね。    おかげで、多くのペンパルはポーランドを初め、ハンガリーやチェコ、ブル

    • 民話で独りコラム ~更新できた・・・~

       年末に記事の更新をしよう、と考えていた小梅です。書く気はあったのですが、何を血迷ったのか(いや、血迷ってない。報酬額を見てただただ、我を失ったのよ)年末年始に学校でもない、書く方でもない別口の仕事を引き受けたために、休むどころじゃない史上最高に多忙の年末年始を迎えておりました。  そして年末年始は、休みなしで働きづめ。習い事の方も先生にお願いして振り替えてもらうくらいの忙しさで、ようやく今週の頭からそこはかとなく、ほぉ、と息をつけるようになりました。  ということで、ス

      • スラブ世界の天地創造 第4話 後編

         それでは、もう前回の話なんて忘れてしまったわよ、という方はこちら前編を読んでからこの後編を読んでくださいませ。ええと、そもそも話自体が思い出せない、という方は第一話からどうぞ。(ごめんなさい!!!) では はじまり はじまり  この『人間』は不死ではないので、白神も黒神も次々と作っていった。『人間』は、黒神の側にいるオオカミを恐れ、白神のもたらす火で温まりながらオオカミが日に寄り付かないことに気が付いた。    この『人間』たちは、白神のことをSwarog神と呼びたたえ

        • ちょっと日本宣伝中

           実に長くnoteを放置しています。  話の続きを待たれている方(いらっしゃるかしらん)すいません。  飽きたとかじゃないんです。  書くことがない、というわけでもないんです。  純粋に忙しいのです。  物書きの方の仕事もありがたいことに次から次に締め切りがある状態なのですが、実は今月から現地の小学校で、課外授業としての日本語の授業を受け持つことになりました。  小学生なので、ほんとうに日本に興味を持ってもらう導入という感じなのですが興味を持ってくれる子供たちが少しでも増

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          スラブ世界の天地創造 第4話 前編

           南部ではすでに初雪が降ったポーランド。今年の秋は、エネルギー代が炸裂高騰中だというのに例年に比べて嫌がらせの如く、寒いです。それで、街を歩くとき家々の煙突を見るのですが、どの家も煙が出ていたとしてもほんのちょっぴり。いままでなら、すでにモクモクと煙がでていたでしょうに。皆さん倹約モードに入っていますね。なんて、他人事ではない我が家も全力で倹約モードです。  さて、ちょっと間があきましたが、スラブ世界の天地創造の4日目の前編、見てみましょう。    白神は、樫の木の一つ

          スラブ世界の天地創造 第4話 前編

          民話で独りコラム ~省かれる真実~

           これ、民話に関連するコラム、、、なのですが、なんだかこの秋から自分の生活が民話の世界をそのまま体現してしまいそうな勢いです。  ヨーロッパのエネルギー不足、というとなんだか話のスケールが大きすぎて一般の人は「はぁ、、、」と聞き流してしまうそうになりますが、そのエネルギー不足のおかげで電気、ガス、水道代とライフラインに直結するものがガンガン値上がりを続けています。  さらに、ロシアが「ガスパイプの修理が必要だからヨーロッパにガスを送れません」という建前で、早い話が「ヨーロ

          民話で独りコラム ~省かれる真実~

          スラブ世界の天地創造 第3話

           先日から注文していた本などがつぎつぎと手元に届き、他にもやることあるのだけど、読まずにはいられない。生物学的には立派な大人なので優先順位が先のものを片付けていても、意識が本の方へ向いてしまう、、、って、人間の中身が成長してないのでしょうか。  と、手元に読みたい本をかかえつつ、その他もろもろの仕事を片付けておりますので更新の乱れ、ご容赦ください。  それでは、スラブの天地創造の続き、いってみましょう~! その①とその②はこちらから。  黒神は偉大かつ、鋭い知性も持ち合わ

          スラブ世界の天地創造 第3話

          Utopiec ウトピェッツ

           ウトピェッツ、この言葉を聞くと大多数のポーランド人の頭の中で 水の妖 → 見かけはめちゃキモイとなります。この言葉の連想の先に「美しい」とか「妖艶」とか、そんな形容詞は一切出てきません。小説の中に出てくるウトピェッツ も、大抵ヒーローはその姿に息をのみ、ヒロインになると恐怖の叫び声をあげてしまうというパターンですね。はっきりいって見なきゃよかった、という後悔が前面に出てくる姿をした妖怪です。 それでは、手元にあるポーランド妖怪大辞典をひいてみますと・・・ 1:  ウトピ

          Utopiec ウトピェッツ

          夏にぴったりの水の妖怪

           世界的な暑さで、ヨーロッパ大陸は西側が記録的な気温上昇、イギリスなんて40度超しちゃうって、それはどこの熱帯の国なんですか、と緯度がなんだかずれてしまっているような現象が起きておりますが、ポーランドは実は今年は我慢できる暑さ=通常運転の夏の気温を保っております。  都市のアスファルトのど真ん中で生活をしている人でない限り、割と快適な夏ではないでしょうか。  緑があれば、それだけで涼しく感じられるのに、ちょっと前までは日影を作っていた大木などをバッサバッサ切り倒してコンクリ漬

          夏にぴったりの水の妖怪

          スラブ世界の天地創造 第2話

           夏休みを理由にちょっと間が空いてしまいました。いったい、この歳になりどの面下げて夏休みを理由にさぼれるのか、と自分でも不可解の領域ですがひとつのことに集中できない私は、あちこちに途中で止まっている業務がありまして、片付けていた次第です。ふぅ~。  それでは、前回に続きスラブの神話、天地創造の世界へご案内いたします。   第2話  白神とその暗黒色の弟は舟に揺られていた。白神は自分の金色の髭から棒を取り出し、櫂とした。目を伏せつつも、その視線は目の前にいる驚くような姿

          スラブ世界の天地創造 第2話

          スラブ世界の天地創造

           私たちが耳にする、天地創造の話はキリスト教の旧約聖書が基本になっております。で、別にキリスト教信者でもないのに多くの人がこの話を知っているし、下手すると信じている人たちもいたりしますよね。(アメリカでダーウィンの進化論を信じていない人たちなんか、この手だろうなぁ・・・)    いいですよね、こう、未知の空間があって。物語としてもきれいに成り立っているし、人間のほとばしる想像力に乾杯、と私なんかは思うのですが、じゃぁ、日本で日本古事記を読んだ人はどれくらいいるのだろう、果ては

          スラブ世界の天地創造

          バカンス中にて、民話休題

           小梅、更新が止まっておりますが生きております。といいますか、ただいまバカンス中でございます。といいましても、自分のベッドと枕じゃないと寝つきが悪い私は、あまり長い泊りのバカンスが好きではないので(日本へ行くときは別よ、別枠よ!)数日小旅行→家に戻る→再び小旅行というのが好きなのですが、、、今年はこの「家に戻る」で、今住んでいる家の修繕作業が入っておりまして結構やること山盛り。  さらに、夏ですので庭でとれる果物をどんどん保存していかなければならないので、バケーション=家を2

          バカンス中にて、民話休題

          死に人達よ、起き上がれ!宴会だ!  ~ポーランド 口承文学~

           この話は1966年に現ポーランドの東側で採収されたものです。墓場に酔っ払い、なんとまぁ罰当たりな、と日本ではなにげに想像がつかないのですが(私が知らないだけとか?)ポーランドでは結構聞くんですよね。そもそも、墓場の雰囲気がちょっとちがうといいますか・・・。こちら、墓場には通年お花がわんさか飾られていて、お墓もいろいろ趣向?を凝らしたものがあり、変な言い方ですが普通に散歩コースに取り入れている人がいてもおかしくないですね。お盆などはヘッダーの写真のように、キラッキラですので。

          死に人達よ、起き上がれ!宴会だ!  ~ポーランド 口承文学~

          民話で独りコラム ~取捨選択の基準~

           ようやく天気がいい日が続き始めたので、日常の義務の他に野良作業?を優先させていたら前回の記事からだいぶ時間があいてしまいました。いけない、いけない、、、。  しかし、今年は全体的に寒い5月でした。その上インフレが凄くて財布の中も寒い。この国、今インフレ率が13%ぐらいまでいっちゃっているのですが、それに追い打ちをかけるように昨日は郵便ポストにガス代80%値上げのお知らせが入っていて懐が凍りそうだわ。ガスをけちると身体が凍り、けちらないと懐が凍るって、情け容赦ない二択を突きつ

          民話で独りコラム ~取捨選択の基準~

          ポーランド妖図鑑 ズモラ Zmora

          さて、Zmoraという妖とは一体何なのか、とWielka Księga Demonom Polskich(ポーランド妖大辞典)などで調べてみました。 ★Zmoraの定義 ①女の妖、夜行性、寝ている人を窒息させる と、確実に人とは異なる「妖」のカテゴリーに入れられている場合と ②半妖怪、生存中(もしくは既に死んでいる人)の魂 と、ちょっぴり人間寄りのカテゴリーに入れられている場合があります。 ただ、どちらのケースでもこのZmoraは人間の女の姿を取っています。 ★Z

          ポーランド妖図鑑 ズモラ Zmora

          7人の息子はよくても・・・~ポーランド口承文学~

           グリム童話では「7羽のカラス」と紹介されている童話。呪いの言葉でカラスに姿を変えられた兄を救うために妹が奮闘する、という話なのですが子供のころ読まれたかたも多いのではないでしょうか。  でもですね、ポーランドではこの話をグリム童話と紹介するところと、ポーランドのマゾフシェ地方、つまりワルシャワ近辺一帯のおとぎ話として紹介する2パターンが存在します。ということで、もしかしたら(サラッと調べてみたのですがまだ決定的な資料が見つからない)この話のオリジナルは現在のポーランド地域で

          7人の息子はよくても・・・~ポーランド口承文学~