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民話で独りコラム ~取捨選択の基準~


 ようやく天気がいい日が続き始めたので、日常の義務の他に野良作業?を優先させていたら前回の記事からだいぶ時間があいてしまいました。いけない、いけない、、、。
 しかし、今年は全体的に寒い5月でした。その上インフレが凄くて財布の中も寒い。この国、今インフレ率が13%ぐらいまでいっちゃっているのですが、それに追い打ちをかけるように昨日は郵便ポストにガス代80%値上げのお知らせが入っていて懐が凍りそうだわ。ガスをけちると身体が凍り、けちらないと懐が凍るって、情け容赦ない二択を突きつけられた感じです。
 さて、どちらを選ぶか、、、。いや、選ぶ余地がどこかにあるのか、、、。
 
 話は変わって、先日、ワルシャワ大学サークル主催の民話や絵本関連の講義を聞いておりました。主催側が大学系なので、参加者の平均年齢も低く(といいますか、私を基準にしたらですけどね 苦笑)なかなか、熱気にあふれておりました。そして、この講義の感想を簡潔に一文でまとめよ、と言われたら「どこの国も同じような問題を抱えている」につきます。

 以前コラムで、昔話がわからない子供たちについて触れたのですが、ポーランドでも同じような問題を抱えています。今まで普通に身近にあった「モノ」が生活から消え去り、言葉が理解できないというのは、20世紀後半の世界的な現象なのでしょうか。ポーランドは社会主義が終わった90年代初頭から、今までの価値観が180度ひっくり返ったんじゃないかと思われるような変換をしていますからね。ポーランドには住んで18年ぐらいですがその間だけでも、私が住んでいる小都市ですら目を見張るような発展がありました。そしてその発展に伴い、人々の意識メンタルも確実に変わっていきました。
 便利な世の中になったけど、なにか忘れ物をしてきたんじゃないか、大切にしていたものをどこかに置いてきてしまったんじゃないかという説明できない焦燥感が一定年齢以上のポーランド人の間に漂っているのは気のせいじゃないでしょう。
 何を選び取り、何を捨ててきたのか、とポーランド社会の変化のなかで生きてきた自分自身もこの20年を振り返り当時の選択に思いをはせることがあります。

 ただ一つ、社会の変化で確実によかったな、というのはポーランドでは民間団体が「全ポーランドが子供たちに読み聞かせCAŁA POLSKA CZYTA DZIECIOM」という活動を大々的に繰り広げ、『子供にとって、本の読み聞かせは人生の中でかけがえのない時間』、『本を読むことは、子供たちの心、頭脳、そしてモラルの育みを助長する』ということを社会の人々の意識化に働き続けています。
 家に本があるのが普通という環境で育つ子だけでない、というのはこちらに来てまざまざと見せつけられました。
この運動ムーブメントのおかげで、1人でも多くの子供が大人に読み聞かせてもらったという思い出を抱えて、成長してくれたら、と思います。

★★★本日のヘッダー写真★★★

 家人と私の趣味の違いが如実に表れているこの選択。
街を歩いてて、ふと彼が「あぁ、、、これ、、、これ買っていく」と手にしたのは白い天使。質感はゴツゴツしていて撫でると指の先がこすれるかんじ。隣でうっとりしている彼を横目に『へぇ~』と思う私がいる。
 きっと、何かよばれるものがあったのでしょう。

 別の日。

 別の町を歩いていて露天商の前で立ち止まる私。一点に目が釘付け。連れて帰りたい悪魔の彫り物がここにある。つるつるして、肌触りが良い。魂までは売れないけど、貨幣との交換でよいならつれて帰る、と交渉してホクホク顔で悪魔をわきに抱える私。(実際は値段を聞いて一瞬、ほんの一瞬ためらった 苦笑)
 隣にいた彼が何を思ったかは人知れず。
 ただ、「やっぱりね」のような呟きが聞こえたような、聞こえなかったような。


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