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ポーランド妖図鑑 ズモラ Zmora


さて、Zmoraズモラという妖とは一体何なのか、とWielka Księga Demonom Polskich(ポーランド妖大辞典)などで調べてみました。

Zmoraズモラの定義

①女の妖、夜行性、寝ている人を窒息させる

と、確実に人とは異なる「妖」のカテゴリーに入れられている場合と

②半妖怪、生存中(もしくは既に死んでいる人)の魂

と、ちょっぴり人間寄りのカテゴリーに入れられている場合があります。
ただ、どちらのケースでもこのZmoraズモラは人間の女の姿を取っています。

Zmoraズモラの語源

 zmarłyズマルゥィ(死んだ)、 morzyćモジッチ(ひもじくさせる)からきているそうです。

Zmoraズモラの見た目

 背が高い女、不自然に長い脚、透けたような体で骨までうっすら見える、異様に顔が青白いというのが共通した見た目で、ある地域では眉毛がないのがZmoraズモラの印ともいわれています。
 
 いや、眉をいじりすぎて眉毛がない人、個人的に沢山知っているんですけどね、、、。魔女の印じゃないけど、眉毛がないのがZmoraズモラの印なんていわれたら、『えぇっ!』となる人が結構な数でいそうだわ。

こちらはBestiariusz słowianski(スラブ・ベスティアリ)にでてくるZmoraズモラ。個人的には、もうちょっと骨っぽいんじゃないか、と思いを巡らせていたのですが、皆様のご想像はいかに?


Zmoraズモラの特徴

 夜寝ている人を、窒息させる。狙いを定めた家に入り込み、寝ている人間の胸の上に座り込み、骨ばった膝で胸を押し付け血を頭に上らせる。そして、出てくる鼻血を心ゆくまで舐めとる。時には首筋やこめかみに傷をつけて血を流させ、それを舐めることもあるが他の吸血系妖(一番有名どころは吸血鬼バンパイア)の犠牲者とは異なり、死ぬことはないし、襲われても同様の妖にはならないそうです。
 被害は(血を取られたせいで)力が抜けるぐらいだけど、時間の経過とともに元に戻るのが特徴。ごくたまに、お腹を空かせすぎたZmoraが血を吸い過ぎて人が死んでしまうことがあるそうですが、これは例外中の例外だとか。
 Zmoraズモラに襲われている人間は、寝ながら叫び、大量の汗をかくそうです。そして、目を覚ますとZmoraズモラは逃げるといわれています。

 現在の状況判断では、夢でうなされている人ですね。確かに、今でもそういう人は起こしますねぇ。
 寝ながら鼻血なんかを出していたら、もう間違いなく起こしますね。これを放っておいたら、それは人としてどうかと思う、、、。

★Zmoraへの対処法

 ① カササギなどの猛禽類をドアに打ち付けておく。
 
 ② Zmoraズモラに襲われていると思われる人のそばで、第3者が右手に瓶を持ち、左手で苦しんでいる人の頭からつま先までの目に見えない「気」を瓶に詰め込みコルクをしめ、水のあるところに投げ捨てる。その瓶からはしばらくの間、赤子の鳴き声のようなものが聞こえてくるが無視する。

 1番の対処法は、きっと馬小屋でしょうね。さすがに住居のドアにカササギの死骸がぶら下がっていたら、嫌すぎるでしょう。いや、でも日本も節分にイワシの頭を玄関先に飾るぐらいだから、ありでしょうか。

 
 このZmoraズモラの定義の最後に、「懺悔の念で死んだ人間の魂」というのがあります。どうみてもこの定義が、キリスト教会が後からねじりこみました感が凄いのですが、私の感覚では民間信仰では「妖」もしくは「半妖」のほうが優勢のようです。

 

 
 

 

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