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スラブ世界の天地創造


 私たちが耳にする、天地創造の話はキリスト教の旧約聖書が基本になっております。で、別にキリスト教信者でもないのに多くの人がこの話を知っているし、下手すると信じている人たちもいたりしますよね。(アメリカでダーウィンの進化論を信じていない人たちなんか、この手だろうなぁ・・・)
 
 いいですよね、こう、未知の空間があって。物語としてもきれいに成り立っているし、人間のほとばしる想像力に乾杯、と私なんかは思うのですが、じゃぁ、日本で日本古事記を読んだ人はどれくらいいるのだろう、果ては日本人以外で日本古事記の話の流れを知っている人はどれくらいいるんだ?と思うと、こう異国の文化の根源ですら自分の教義世界観を浸透させ、尚且つ揺るがせるキリスト教というのは、ある意味凄いなと感心してしまいました。

 あ~、また前振りが長くなりましたが、、、スラブ世界にもキリスト教以前の世界があるので、とうぜん別の天地創造の物語があります。 先日から読み進めているのですが、『まとめる能力』というものに見放されて生きている私には要約するのがなかなか骨の折れる仕事でしたが、とりあえず、ひと段落したので小出しにこちらで紹介いたしますね。

 では、 はじまり はじまり~

1:世界の初め

 初めは天も地もなく、闇の中に聞こえる波の音だけ
 上も下もなく、前も後ろもない ただ、水の中に命の源があるだけだった
 氷のように冷たいその場所にある金色の卵
 卵の中では燃えたぎる炎がゆらめいている
 やがてその炎は熱を、力を増大させ殻を破った
 
 一番大きな殻の破片は、水の外へと飛び出し、大空を作った。
 いくつかの殻の破片は、泡立った波に乗り、空へ向かって持ち上げらた。
 この時に山と地底が出来、さらに 始まり 熱望 変化 目的 が生まれた。

 卵から生まれた神は初め、白毛の大きなワシ、もしくは白ハヤブサと言われているため白神と呼ばれている。ただ一羽、何もない空を飛び、誰かを、何かを探しても空の円天井と海の波しか目に入らなかった。やがて初めのうちこそは、水に映った自分の姿だと思っていたものが、水面近くまで降下すると黒い影が自分の動きをまねているのが確認できた。
 白神は喜んだ。しかし、水面に近づくとその影は水底にもぐり目の届かないところにいってしまう。
 がっかりした白神は、波の合間に浮かんでいた殻の上に停まった。

 神の持つ創造力と知を使い、金の船を作りだし自分自身は獣の形ではなく人の形に近いよう作り替え、次に相手兄弟に会ったときは相手を怖がらせたくないと考えた。そして、片割れを探しに航海に出た。
 長い航海ののち、海の波の合間が『知っている影』を映し出した。
「君はだれなんだい?」
「僕を船にのせてくれるかい?そうしたら、話すよ。初めから、つまり卵から、、、」

第2話へ続く


 う~ん、スラブの世界の始まりが卵だとは。
『初めに言葉ありき』という文句は聞いたことがありますが、『初めに卵ありき』はそれこそ初めてです。
 でも、スラブ世界、そういえば卵ってだいじにされてるかも。
 


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