Utopiec ウトピェッツ
ウトピェッツ、この言葉を聞くと大多数のポーランド人の頭の中で 水の妖 → 見かけはめちゃキモイとなります。この言葉の連想の先に「美しい」とか「妖艶」とか、そんな形容詞は一切出てきません。小説の中に出てくるウトピェッツ も、大抵ヒーローはその姿に息をのみ、ヒロインになると恐怖の叫び声をあげてしまうというパターンですね。はっきりいって見なきゃよかった、という後悔が前面に出てくる姿をした妖怪です。
それでは、手元にあるポーランド妖怪大辞典をひいてみますと・・・
1: ウトピェッツの特徴
スラブの水の妖で、性格は悪い。
人や動物を溺れさせたり、破壊したりして人間に害を及ぼす。水に溺れて死んだ人の魂や、この世に生を受けたが生まれずに死んでいった者の魂からなるともいわれている。
ということで、元は人間だった半妖怪というカテゴリーに分類されることもあります。
2: そしてその姿を形容すると・・・
背が高く、やせこけた人間の姿で緑のすべりやすい膜のようなものにまとわれている。頭は大きく、暗色の髪の毛の色をしている。
この姿かたちは、地域差といいますか個体差がけっこうありまして「見なきゃよかった」という点ではブレないのですが、姿が男のようであったり女のようであったりと色々あったりします。
3: 行動パターンはといいますと・・・
通常は水の中にいるが、新月の夜だけは岸に上がることができる。岸に上がっても、身体から水がしたたり、少しの間でも立ち止まるとそこはたちまち大きな水たまりができる。
4: 好きなこと・・・(ん?なんだかインタビューのようになってきた)
なぞなぞ。
5: 嫌いなこと・・・
詐欺
これは妖基準じゃなくて人間基準としても立派なモラルの持ち主じゃないの。
昔は子供たちに水の周りでは気を付けるように、という警告の意味で トピェレッツが持ち出されていたようです。井戸を覗きこまないように ー トピェレッツに引きずり込まれるから、という話は同国の東の方では特にあったようです。
湖や川で溺れるなどして行方不明になった人たちは、この妖怪に水底に引きずり込まれたと考えられていたようですね。泳ぎが得意だった人が突然おぼれたり、今さっきまでその川辺で遊んでいた子供の姿が消えた時、日本の天狗にさらわれた人の話と同じようにこの地域の人たちも何かの理由付けが必要だったのでしょう。
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