マガジンのカバー画像

娘が生きた記録

21
先天性表皮水疱症の娘が頑張って生きた210日間。
運営しているクリエイター

記事一覧

よく頑張ったね

よく頑張ったね

娘が亡くなってからいろんな人に「よく頑張ったね」と声を掛けてもらった。

娘は小さい体で毎日痛みに耐えて生きてきた。
本当に、本当に、よく頑張ったと思う。

でも同時に、こんなに頑張らなければならなかったのは私のせいでは?とも思う。

1回目の輸血はまだNICUに入ってた頃。
医療が発達してない時代なら、娘は6ヶ月も生きてない。輸血がなければ、2ヶ月ちょっとで亡くなってたんだろう。

でも私たちが

もっとみる

よく頑張ったね

血が止まらない退院後、やはり出血がなかなか止まりません。糜爛にうっすら膜ができていても(フィブリン膜?)タオルなどで軽く抑えるだけでもすぐ剥がれてしまい、そこから出血し始めます。病院でもらったカルトスタットで止血を試みますが、何枚変えても止まらないこともありました。一方、呼吸はこわいくらい静かになっていました。モルヒネのお薬を始めてからよく眠るようになったのですが、睡眠中は息が止まっているのではと

もっとみる

在宅酸素と最後の輸血

悪循環が止まらない退院して顔色がよかったのはほんの1週間くらい。処置中の出血量がすごくて、あっという間に輸血・点滴の貯金はなくなってしまいました。血がなくなると、処置中も出血しなくなるんですよね・・・出血が少ないと処置はしやすいのだけど、本当に悪循環。そして、退院から2週間後の外来でアルブミンの点滴をしてもらいます。でも、点滴をしても元気になることはもうなくて、パンパンに浮腫んだ顔は真っ白。次の外

もっとみる
ハーフバースデー

ハーフバースデー

いつまで生きられるだろう表皮水疱症でいくつかある病型のなかでも、娘はほぼ全例が感染症などで1歳未満で亡くなる「重症汎発型 接合部型表皮水疱症(ヘルリッツ型)」。"ほぼ”というのは、3歳くらいまで生きた子もいたみたい。

NICUに入院中は大きな水疱も糜爛も次々できていて、こんな状態で自宅に戻って、感染を防ぐなんてできる気がしなくて。自分の子だけは大丈夫かもなんて楽観視もできるはずなく、退院したのは

もっとみる
呼吸がおかしい

呼吸がおかしい

「最後」はどうやって決めるのかNICUを卒業してから約3か月間で入院での輸血と点滴2回、外来での点滴も2回。輸血や点滴のたびに元気にはなるものの、その元気が持続できる期間がだんだん短くなってきました。

産まれた当初、夏にはお別れだと思っていたのに、自宅で生活を始めてからはミルクもたくさん飲めて、みるみるうちに傷が治り始め、もしかしたらこのまま1歳まで生きられるのかもと淡い期待をしていました。その

もっとみる
皮膚処置に使っていたもの

皮膚処置に使っていたもの

娘が使っていた被覆材と軟膏などを記録しておこうと思います。

被覆材全身には使う場所に合わせてカットしたメピレックスライトを使用。訪問看護師さんやヘルパーさんに手伝ってもらう時にわかりやすいように、どの部位に貼るのかをマジックで記入していました。↓

背中・腰に貼る被覆材には、線を引いて中心からずれないように。ずれるときれいに覆えないので。↓

腕・脚の関節の部分が難しく、なるべくフィットするよう

もっとみる
食塩水のお風呂

食塩水のお風呂

表皮水疱症は、傷口からの感染予防のためにつねに清潔にしておかなければいけません。
娘は毎日1回午前中にベビーバスでの沐浴と、被覆材の交換をしていました。
沐浴の時間以外は、1日3回飲んでいる痛み止めが効いているのか痛そうな様子はないのですが、沐浴の時間は毎回ギャン泣きです。沐浴の前に座薬の痛み止めを追加で入れてみたりもしましたが、泣き方に変化は見られず・・・あがって軟膏を塗ったり被覆材を貼ったりす

もっとみる
栄養問題

栄養問題

ミルクからエレンタールへ元気になればまた口から栄養を摂ってほしかったので、ミルクの時間になったら経口で飲めるだけ飲ませてから残りを注入していました。
口から飲める量は20mlあるかないかですが、飲み始めの吸い付きはとてもよくて、ミルクを飲むのは好きなようでした。
退院後、しばらくは笑顔も見られて元気そうだった娘。
毎日700mlくらいをコンスタントに摂取できるようになったので、体重が増えるのを見守

もっとみる
記念撮影

記念撮影

経管栄養になる直前、近所の写真館で記念撮影をしました。

体重が増えていないと分かった頃に、なんとなく嫌な予感がして予約をしておいた日程が、ちょうど経管栄養になる入院前でした。こんなに転げ落ちるように容体が悪くなっていくとは思ってなくて、滑り込みセーフ。

私のお宮参りの着物がきれいに取ってあったので、お宮参りはできない代わりにそれを着せて記念撮影をしたかったのです。

家族4人の写真も一枚。

もっとみる
経鼻経管栄養

経鼻経管栄養

退院してから1週間ほどで、また入院することになりました。
輸血と点滴の後はミルクの飲みが良くなったように見えましたが、自宅に戻ってみると、結局1日トータルで300ml飲めれば良いほう。
吐き戻しは減ったものの、飲む量が増える様子はありませんでした。

自分で飲めないのであれば、経管栄養にするしかありません。
鼻から胃へチューブを通すことで食道の内壁を傷つけてしまうリスクはありますが、十分に栄養を摂

もっとみる
点滴が漏れてしまう

点滴が漏れてしまう

ついに再入院生後4か月、NICUを出てから初めての入院となりました。

入院したときはひどい脱水状態だったようで、もう少し遅かったら、もっと容体が悪くなっていたかもしれないと。

もっと早く入院させるべきだったのか・・・と落ち込みつつも、娘はすべてが常に「よくない状態」なので、どこまでが大丈夫で、どこからが危ないのか、分からなかったというのも正直なところ。なんなら亡くなる直前までよくわかりませんで

もっとみる
授乳で試行錯誤

授乳で試行錯誤

退院してから1か月半。
最初はたまたまかな?と思ったものの、
さすがに体重がまったく増えていないのはおかしい。
体重を増やすために試行錯誤が始まります。

体重が増えない原因は?どうして体重が増えないのか、いろんな角度から考えてみます。

①母乳が出ていない?
②吸う力が弱くなっていて飲めていない?
(口腔内にもびらんが多数あるので、吸うのが痛そう)
③飲める量が少ない、すぐおなかいっぱいになる?

もっとみる
体重が増えない

体重が増えない

退院後、外来での最初の体重測定日。
退院まで順調に体重は増えていたし、母乳とミルクも飲ませていたので、
どのくらい増えているのかな~と思いながら測ってみると。
なんと、、100g以上減っている!!
この時期の赤ちゃんの体重が減るなんて全く考えていなかったのでびっくり。
授乳間隔は1日6回くらい。
生後3か月だから平均的な回数だし、
授乳時間が短いわけでもなく、吸う力が弱そうにも思えなかったので、

もっとみる
皮膚がきれいになっていく

皮膚がきれいになっていく

退院してから2週間ほど経ったころの娘の皮膚は、ずいぶんきれいになっていました。
その時はまだ栄養状態もよく、自宅に戻り刺激が減ったことと、私が処置に慣れてきたことで、治癒する速度がびらんができる頻度を上回ることができたようです。

大きな水疱ができなくなる入院中は、体重が増え、手足の動きが活発になってくるに従って、腕も脚も、おしりも、おなか周りにも、毎日のように新しい水疱・びらんができ、きれいなの

もっとみる