小南 湊音/konan minato

理系大学生|吹奏楽部|打楽器奏者|学生指揮者|思考のアーカイブとして

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マガジン

最近の記事

一組を語る(第4回)

学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、第三楽章「マーチ」について言及する。 全体外観速度の指示はTempo di Marcia。 マーチのテンポは時代や国ごとに異なるが、この場合は、現在の日本で演奏される場合よりもずっと遅いのではないかと思う。イモージェン・ホルストが指揮する一組のマーチはかなり遅い。120

    • 一組を語る(第3回)

      学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、第二楽章「インテルメッツォ」について言及する。 全体外観ホルストの手稿譜の表紙に「各楽章は、同一のフレーズで構成されているため、この組曲は休みなしに通して演奏されることを望む」とある。 「同一のフレーズ」とはどういうことか。それは登場する主題をシャコンヌ主題と並べてみ

      • 一組を語る(第2回)

        学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、第一楽章「シャコンヌ」について言及する。 全体外観第一楽章では「シャコンヌ」という古い形式を用いている。ホルストが一組を作曲した当時に研究していた、イギリスの作曲家「H.パーセル」の影響か。「シャコンヌ」とは、3拍子の舞曲であり、バスあるいは和声を基にした変奏のこと。「

        • 一組を語る(第1回)

          学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、作曲の経緯や、管楽合奏の歴史、様々な楽譜の版について言及する。 作曲の経緯1909年作曲。作曲の経緯や初演についての記録はなく、詳細は不明。グスターヴ・ホルストの娘イモジェンは、父グスターヴの伝記を記しているが、そこにはこの曲についての記述がほとんどない。ホルスト自身は

        一組を語る(第4回)

        マガジン

        • First Suite for Military Band
          4本
        • 吹奏楽・学生指揮者 関連まとめ
          12本

        記事

          最近の悩みあれこれ

          最近、吹奏楽界隈の音楽の方向性と自分の音楽の方向性が乖離して悩みがちなので、ここに書き留めておきたい。 吹奏楽部の捉え方私は、吹奏楽部も含めた一般の吹奏楽団は、演奏を通して音楽に親しみ、演奏者個々人の音楽性を豊かにする場だと考えていた。したがって、演奏技術の向上だけが目的ではないし、それは、生涯にわたって音楽に親しむという大きな目標を達成するための、一つの手段に過ぎないと思っている。 過度な"綺麗さ"の要求いつから演奏会全体の完成度が技術的な尺度だけで評価されるようになっ

          最近の悩みあれこれ

          コンクール前夜に

          ※コンクール前夜に書いた文章を後日投稿しています 明日はいよいよ吹奏楽コンクール. 恐らく,これが生徒や学生として出る最後のコンクールとなるだろう. 前日の自分が,今日までのことをどう見ているのか,残しておきたい. 選曲のことひとまず,今年度のコンクールに至るまでの道のりを書く. コンクール曲は,確か去年のうちに決まっていた気がする.最大の論点となったのは,団員の「やりたい」を優先するか,コンクールで演奏するにあたっての効果(楽曲自体がどれだけ優れているか,楽団のサ

          コンクール前夜に

          推し曲を語りたい!

          指揮者になってからというもの,演奏会やコンクールの選曲に携わることが多くなり,色々な曲に触れてきた.また,大学に入ってから,それ以外でも多くの楽曲に触れる機会があった.そんな中で,多くの推せる曲に出会ってきた.今回は,私の感性にビビットきた曲たちを紹介していきたい. 解説は,その気になれば書き足していくつもりである. G.ホルスト編吹奏楽のための第一組曲/First Suite for Military Band "Concert Band"ではなく"Military

          推し曲を語りたい!

          吹奏楽コンクールを”愉しむ”

          今年もコンクールの時期が近付いてきた。私が書いたnoteを見返していると、去年のこの時期に書いたnoteとコンクール終わりに書いたnoteが出てきた。 コンクールを目指す姿勢は、基本去年から変わらない。しかし、去年書いた記事にいくらか追加したいことが出てきたので、今年も懲りずにコンクールへの決意を語ろうと思う。 コンクールを「楽しむ」ことについてまず、なぜ「楽しむ」ことと「高みを目指す」ことが二律背反になるのかについて考える。 受験でもスポーツでもそうだが、練習(勉強)

          吹奏楽コンクールを”愉しむ”

          好きなお店の店員になってみて

          最近、2か月弱の短期雇用のバイトの契約期間が終了した。気持ちが冷めないうちに思ったことを書いておこうと思う。 好きだったお店の従業員に今回のバイトは接客業だった。主な仕事内容としては、品出し、レジ打ち、商品の場所を聞かれたときの案内など。入ったきっかけは、単にそのお店が好きだからという単純なものだった。 入ってからというもの、仕事を覚えるのにはなかなか苦労した。特にレジ打ちはかなり苦労した。研修などのご丁寧なものはない。初日から現場のレジに入る。 最初は実際にレジ打ちを

          好きなお店の店員になってみて

          定期演奏会を終えて

          この記事を最後に全然記事の執筆をしておらず、気づいたら定期演奏会が終わっていたので、近況報告に記事を書こうと思います。 勉強について夏休みにやろうと目論んだことは色々ありましたが、結局吹奏楽に明け暮れて終わりました。特に、解析力学の勉強が全然進まなかったので、2学期の授業が始まる前に慌てて再開したものの、すぐ授業のペースに追いつかれました。 1学期から変わらず続けたものと言えば、線型代数のゼミです。これは、基本的に夏休み中も週1回集まってやっていました。ただし、メンバーの

          定期演奏会を終えて

          コンクール終わりに

          コンクールに向けて決意を固めた時に書いたnoteを思い出しました。 コンクールが終わった今、もう一度読み返してみると、いろいろと思うところがあったので、ここにアーカイブを残しておこうと思います。 コンクールに出る?出ない?まず、コンクールに出るか出ないかの段階から議論がスタートしました。誰がどのような意見を持っているのか具体的に知ることはできませんでしたが、1つの意見としてあったのが、「演奏会ばかりだと飽きる」という意見でした。 現在私が所属している大学の楽団の演奏会は

          コンクール終わりに

          ただの悪口です。

          ちょっと口調が荒くなります。 でも理系の人間として言わせていただきたい。 日本の科学リテラシーが総じてガバガバすぎる。 「科学」を、唯一絶対の正しい答えを導き出せる魔法の呪文のように思うのはいい加減やめた方がいい。 天動説は覆って地動説になった。 相対論の発見によって時間はどこでも一緒でないことがわかった。 質量がないと信じられていたニュートリノはじつは質量をもっていた。 今まで積み上げた通説が覆された例はいくらでもある。 今回のコロナ騒動でそれが顕著に見えた。

          ただの悪口です。

          「親ガチャ」に見る日本社会の分断

          「親ガチャ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 虐待やネグレクトなどの重大な問題? それともただの被害妄想? この言葉によって社会の分断を見せつけられた出来事があったので、気持ちが冷めないうちにここにまとめます。 始まりは語義の違いから昨日の寝る前(日付回ってたので正確には今日)、こんなツイートを見つけました。 「親ガチャが甘えである」と聞いて、かなりドキッとしました。これに対して、リプライと引用ツイートで一部の人が猛反発。一例として、以下では、noteで小説を書

          「親ガチャ」に見る日本社会の分断

          吹奏楽コンクールについて

          最近課題曲が公開されて、いよいよ今年も吹奏楽コンクールの季節が近づいてきました。 今年の夏にコンクールに出場できれば、私は高校2年以来の出場となります。高校3年生の時は、コロナ禍により吹奏楽コンクール自体が中止になり、大学1年生だった去年は、サークル活動が制限され、十分に練習ができなかったため、出場を断念しました。 これだけコンクールに出ないと、吹奏楽コンクールがとても恋しく感じ、「出場したい!」「”ゴールド”金賞取りたい!」「代表に選ばれたい!」と思うあまり、視野が狭く

          吹奏楽コンクールについて

          学校における音楽活動の持続のために

          今、学校における歌・管楽器演奏等の音楽活動が制限されています。しかしそれは確かな根拠に依拠するものではなく、一部の人の先入観に基づくものである可能性が非常に高いです。 現状の把握ひとまず、こうなるに至った経緯を振り返っておきましょう。 授業での管楽器演奏はダメ、じゃあ部活は? 発端は末松大臣の記者会見でした。 これは、文科省が公式HPに掲載している資料の以下の部分が根拠なっているものと考えられます。 さらに、上記の文章にも出典があるものとみられます。 出典http

          学校における音楽活動の持続のために

          先日文部科学省が楽器演奏の自粛を学校に要請したことによってTwitterの吹奏楽民が激怒し、今Twitter上の”吹奏楽界隈”がかなり荒れています。いま書いている大学のレポートが書き終わったら、考察記事を出そうと思います。

          先日文部科学省が楽器演奏の自粛を学校に要請したことによってTwitterの吹奏楽民が激怒し、今Twitter上の”吹奏楽界隈”がかなり荒れています。いま書いている大学のレポートが書き終わったら、考察記事を出そうと思います。