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ボウキョウによせて

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南葦ミトの個人企画 #ボウキョウによせて 参加作品です。
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「ボウキョウによせて」2nd Season

「ボウキョウによせて」2nd Season

長編小説「ボウキョウ」への感想note募集企画を、連載終了後バージョンに改めましたので、良かったらご参加くださいm(_ _)m

どんな企画?南葦ミトの小説「ボウキョウ」の感想note(200字から参加OK)を書いてくださった方に、南葦から100円サポートさせていただきます。また、無料マガジン「ボウキョウによせて」への収録、twitterでのシェアもさせていただきます。

無料マガジンに綴じてあり

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現実から取り残される面影 -ボウキョウによせて- 第八話

現実から取り残される面影 -ボウキョウによせて- 第八話

 この文章は、南葦ミトさんが連載されている長編小説「ボウキョウ」第八話から発想を得て書いた二次創作物(ファンアート)です。

 ボウキョウとは:
「故郷と家族」をテーマにした長編小説。
 読む度に、私たちが忘れてはならない東日本大震災で発生した地震による津波や原発の被害について深く考えるきっかけを与えてくれます。


 
6.9

「充希……充希が幸せになれる場所は、もうあの家じゃない。だから、

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そっと撫でた背中から伝わる悲しみ -ボウキョウによせて- 第七話

そっと撫でた背中から伝わる悲しみ -ボウキョウによせて- 第七話

1.3 

 俺がもっと慎重に決断していれば。もっと麗愛に寄り添っていれば――

「土地の話をしてる時……『跡継ぎもまだ生まれてないのに』って言ったのが、嫌でした、我慢できませんでした。あたし達の苦労なんて知らないくせに……って」

 小刻みに震えながら、目に溜めた涙をこぼさないようにしながら、お袋に向かってゆっくり言葉を選ぶ麗愛を目の当たりにして、ハッとした。麗愛が抱いてきた苦しみは、俺のものと

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ボウキョウ エピローグ 感想note

おーしーまーい!!!あーりーがーとー!!!

故郷って、なんて素敵なのだろう。

読み始めて、最初にそう感じました。
どこかと比べても「この風、この空、この緑には勝てない」と言い切れる故郷があるって、うらやましい。生まれた土地でそのまま暮らしていたわたしは、故郷と言える場所がなくて、学生時代は、故郷のあるともだちをうらやましく思っていました。「田舎だから」とか「何もないし」とか口では言いながら、み

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ボウキョウ第11話 感想note

ここまで書けて、ほんとうによかった…

まず、読み始めて、第10話の流れを汲んで、テンポが戻り、描かれる内容もタッチも穏やか。物語がハッピーエンドに向かう様子にほっとしました。登場人物それぞれが物語の始めよりも、なんだか「そのひとらしく」なって感じられるのは、大きな出来事にぶつかって、それぞれが何かを感じ、思い、考え、歩き出したからかもしれませんね。

読みながら、とにかく、ハッピーエンドに浸る浸

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ボウキョウ第10話 感想note

望まれる感想は書けていないかもしれないけれども。

もともと充希の物語だから、充希の回想が多いのは当然なのだけれど、終盤に入って、充希の記憶の描写がとても多く感じられました。
記憶の欠落について、最近、わたし自身も病院でいろいろ訊かれ、知る機会があったのですが、つらく苦しい出来事があったとき、防衛反応としてヒトは該当する出来事の記憶を忘れることがあるそうです。
充希が、こんなにも、たくさんのことを

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ボウキョウ第9話 感想note

だめだめな感想文もラストスパート?かな?

そうそう、そんなんだよね。
「都合の良い解釈」からの「自己嫌悪」ってほんとうにほんとうに出口が遠い。それだけでなく、足取りが重くて、歩みも遅い。誰かが「こっちこっちー!」と手を振ってくれていたって、ほぼ気づかないし、気がついても返事ができるかできないか、くらい。第9話を読ませていただいて、わたしも、ついついその道を通りがちなので、充希もそうだったのかな、

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ボウキョウ第8話 感想note

こんなの、感想文じゃなくて、感情文だって。

西山実里さま。
「閲覧注意」と断りを入れてくださってありがとうございました。
一番最初に西山実里さんが断りを入れてくださったおかげで、わたしはここへ読み入ることができ、読み終えることができたと思っています。

こんなはじまりの感想文は変だろうとわかってはいるのですが、第8話を読み終えて、いちばん最初に彼女にお礼を伝えたいと感じました。

完全にわたし自

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ボウキョウ第7話 感想note

なんだか感想文っぽくなくなってきているかも。

あー。うー。
「あたし、実は……」から、産む産まないの話題になるとは思ってなかった…
記憶喪失、東日本大震災、原発事故、放射線の健康被害、妊娠、出産、流産、SNSでの誹謗中傷についてまで…「すごい長編!」と知ってはいたのですが、話題の広さにびっくりしました。わたしは小説を書いた経験がなく、これからも書く予定はないので、小説の書き方について疎いのですが

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ボウキョウ第6話 感想note

ようやくです。順に公開していく予定です。

いくら「過ぎ去った」といったって、すべての出来事は地続きにある。
「過ぎ去った」と言いたいのは、思いたいのは、その出来事を直視できなくて、背を向けたい自分なのかもしれないなあと思うことがあります。
わたしだけでなくて、あぁ、充希もそうだったのかな、なんて考えながら、第6話、読ませていただきました。

出来事は、幾通りも、とらえ方があります。同じ出来事でも

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ボウキョウによせて 〜#勝手に感想note〜

ボウキョウによせて 〜#勝手に感想note〜

書く書くと言いつづけ、たいへん遅くなってしまいました。すみません、ミトさん。たとえグーパンされても文句は言えません。あ、でもどうせなら肩でお願いします(俗に言う肩パン)



読ませて頂き、まず始めに「お疲れ様です」と言わせてください。書くにあたり、とてもご苦労があったのではないかと思ったので。もちろん文には出ていません。なんとなく背景を感じ取りながら読みました。たくさんの人にお話を伺ってかなり

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固い決意の眼差しを知る -ボウキョウによせて- 第六話

固い決意の眼差しを知る -ボウキョウによせて- 第六話

5.9

 話が通じないのなら、一歩も歩み寄ることができないのなら。しがらみとなるものを一切捨てて、一人で我が子達を育てる覚悟でいた。咲子さんと話をするまでは。



 ショッピングモールのフードコートの端っこで、私は身を縮めながら座っていた。絶望感と怒りと悔し涙でいっぱいで、顔を上げられる状態ではなかった。

「まずは、お水でも飲もうか」
 咲子さんの柔らかい声と共に、水の入った紙コップと、

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「ボウキョウ」第5話 感想note

謝辞祭りやエピローグ。もう、サポート企画第2弾まで…わたし、ほんと、遅筆もいいところ。困ったものです。

あぁ、そうか。なるほどなぁ。

これが、第5話を読ませていただいて、わたしから一番初めに漏れた言葉でした。

「思い出」も記憶。わたしは、何かを記憶に残すときも、思い出すときも五感を通ると考えているので、序盤からちりばめられている、充希が五感を通して、いろいろなことを思い出していく描写が印象に

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抗いようのない爪痕に鳥肌の立つ -ボウキョウによせて- 第五話

抗いようのない爪痕に鳥肌の立つ -ボウキョウによせて- 第五話

5.02

 その写真が視界に入った瞬間、このまま通り過ぎてはいけないとなぜか感じた。それまで真司くんと歩きながら盛り上がっていたゲーム話も中断して、気づけば足を止めていた。瓦礫と泥とで混沌に包まれた写真。背筋が凍り、唾は上手く飲み込めなかった。

「これ……」初めて見た写真のはずなのに、妙な既視感があった。しかし、具体的にいつどこで見たのかという情報は自分の頭の中に入っていないようだ。これもきっ

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