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【感想】思い残しにそっと寄り添う姿にホロリ。ナースの卯月に視えるもの

 note創作大賞受賞作、秋谷りんこさんの「ナースの卯月に視えるもの」を読了しました。

 こちらの本は以前から気になっていて、本屋で出会えたら手に取りたいと思っており……。

文庫本ゲット!

 今回、本屋で偶然出会えたのでゲットしました。記事は、こちらの作品のガチ感想を紹介します。

 読書感想文、超超久しぶりに書いたよ〜!


 人間の死は、ある日突然訪れるのかもしれない。もし自分が亡くなったら、どんな思い残しがあるのだろうか。

 私の場合、おそらく3歳になる娘の存在だろう。でも、いざ3歳の子を残した場合、思い残しを1つだけ選ぶことができるだろうか。自分にとって、強い思い残しってなんだろう。

 ぐるぐるぐる。

 「ナースの卯月に視えるもの」を読了した途端、ぐるぐると頭に様々な思いが駆け巡る。ぶんぶんと、藪蚊が飛び交うような感覚。自分にとって、何が大切なのか。強い思いを感じる物事とは。

 本を読み終えた途端、ブワーっと走馬灯のようにこれまでの出来事が駆け巡った。

 私が倒れ、卯月さんが担当してくれたなら。卯月さんには一体、何が視えるのだろう。

 こちらの作品は、看護婦の卯月さんに宿る特殊能力「患者の思い残しがみえてしまう」によって、ストーリーが展開する。

 卯月さんは、患者たちの思い残しをなくすために、あらゆる手段などを駆使して奮闘しようとする。その奮闘ぶりが健気だったり、少しクスッと笑えるユニークなものもあり、つい応援してしまいたくなる。

 病院は人の病気、死につながる部分も多く、時には辛辣なシーンもある。

 そんな中でも、ほっこり笑えるシーンや、美味しそうなご飯をもぐもぐ食べる光景などがふんだんに盛り込まれており、楽しく読み進めることができた。

 ネタバレになってしまうので細かい部分は割愛するが、ご飯を食べるシーンがリアルで、本当に自分も一緒にご飯を食べている気持ちになり、思わず「ご馳走様」と口ずさんでしまう。

 そういえば、数日前に娘が入院し、朝マックを食べたっけ。卯月さんと同じように。共感ポイントも多くて、気づけばすうっと物語りの中に入り込んでしまう。

 上手い書き手は、自分の世界に引き込むのが上手いと思う。そして、読者が読みやすいようにと、配慮を徹底している。

 こちらの作品は丁寧な描写、わかりやすい表現が多く、自然と世界の中へ引き込まれてゆく。秋谷さんの筆力が素晴らしいからこそだと思う。

 ほっこりシーン、クスッと笑えるユーモラスな表現など、読者への配慮が随所に散りばめられた、秋谷さんの優しさや気遣いが感じられる一冊だ。

 最後のあとがきでは、秋谷さんが看護婦の仕事で意識してきたこと、伝えたいテーマが紹介されている。

 私は普段、あとがきを先に読んでしまう派だが、今回はどうしても最後に読みたかった。そして、最後に読んで「正解」と実感する。

 作品を読み進める中で、卯月さんはどうしてこんなに患者さん思いで、優しくて一生懸命なのだろう。辛いお話の中でも、救いの部分も盛り込まれていて、一話ごとに不思議とほっこりする。

 きっと作者の秋谷さん自身が、仕事にこれまで真摯に取り組んでこられた方で、なおかつ患者さん一人一人ときちんと向き合ってこられた方なのだろう。

 私は看護婦ではなく、しがない末端ライターの1人。こちらの作品を読んで、仕事ひとつひとつ、読者一人一人とちゃんと向き合っていかなきゃ。思い残しのないように。ふと、そんなことを考えさせられた。


 今回の記事では、秋谷りんこさんの著書「ナースの卯月に視えるもの」の感想を紹介しました。

 一話完結なので、時間のある時に一話ごとに読めます。

 文庫本なので、電車内など持ち運びにも丁度いいです。もしよければ、ぜひ手に取ってみてくださいね。

 久しぶりというか、何年振りに読書感想文書いただろうか(笑)

 本の感想はあまり書かないので、新鮮でした!サーっと思いついた感想を並べてみたけど、読書感想文はこんな感じで合っているのかな……?

 この度は、素晴らしい本をありがとうございますー!今後の活躍を心より応援してます。

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