「影響力とお金」〜アフリカ×職人起業家から学んだ周囲を変える方法
先日、衝撃的な話を聞きました。
ある高級ブランドの40〜50万円で売られる洋服。その生地の加工ができるのは世界でも一部の職人さんだけ。でもこの職人さんへ払われる工賃はたったの600円。
もちろん、高級ブランドは商品を製造しているだけではなく、ブランディングにも多額の費用をかけていることでしょう。それでも、世界で一部の職人さんしかなしえない技に対する工賃が600円って・・ファーストフード店の時給の半分やないか!
そして、その下請けの職人さんの財務諸表はずっと赤字スレスレだったそうです。
10年以上、数百社以上の企業の財務諸表を分析し続けた私が、最近ようやく気づいたこと、それは
お金は、モノゴトの価値を必ずしも正しく表すものではない
ということです。
この高級ブランドと職人さんの話を教えてくれたのは、信用金庫に勤務された後、アフリカと職人の技術をかけ合わせたファッション事業で起業された中須俊治さん。
私が最近とっても幸せだったことのひとつが、このクレイジー(失礼!)な起業家の中須さんと、5年前から勝手に組織づくりの師匠として参考にしている、社会システムデザイナーの武井浩三さんのお二人にお会いできたことです!(武井さんの著書は”理想の組織を追い求めて・・ティール組織ってなに?”で紹介しています)
このお二人がちょうど、学生さんなどに新しい人材育成を手掛ける、京都のNPO法人グローカル人材開発センターさんのスタッフ向けの研修に来られた機会に、参加させていただきました。この神イベントを一般公開してくれた、グローカルさん、本当にありがとう!!
お二人のゲストとの3時間は自分の参加したイベント史上最高に濃密な時間でした!全部は伝えきれませんが、その100分の1でもみなさんに伝わって、ほんの少しでも何かが変わるきっかけになればと思って書きます!
お金ってそんなにえらいの?
世界で数人しかできない技をもつ職人さんの工賃が600円の一方、40〜50万円で売られる高級ブランドの洋服。金額は市場でフェアに決められているように見えつつ、全くそうではないのかもしれません。
最近、お金に関する常識が覆ることがよくあります。
信用金庫勤務を経てアフリカで起業された中須さん。彼のアフリカの話からも、お金に関するいくつかの発見がありました。
アフリカでは、誰もがその人の言うことを聞く、みんなからめちゃくちゃ尊敬されている「ビッグマン」と呼ばれる人がいるそうです。
そんな「ビッグマン」とは、一体どんな人かというと、大富豪のようなお金持ちではありません。ビッグマンとは、いろんな人にギフトを与えまくる人。与える人こそが尊敬されているのです。
また、中須さんが、アフリカの現地の人を雇用して初めてのお給料を支払った時、「めちゃくちゃ喜んでくれるだろうな!」とワクワクして支払ったところ、お給料を受け取ってもそこまで喜ばれなかったそうです。
それでは、現地の従業員がうれしいことはなにか?
現地の方々の多くは、出稼ぎのために各国に散らばっている人も多いようですが、それでも友達や家族全員がみんな、誕生日パーティーに国境を超えて戻ってくるそうです。つまり、「好きな人と好きな時間を過ごすことが大切」なのです。
仕事とのために家族の時間を犠牲することをいとわない、仕事最優先の従来の日本とは違いますね。
「経済が発展していないアフリカだから、お金のありがたみがわからないのだろう」
以前の私なら、そう考えていたかもしれませんが、最近、日本に住む自分の周囲も、このアフリカの方々のお金の感覚がしっくり来る環境へと少しずつ変わっている気がします。
お金よりもストーリー
中須さんがクレイジーなエピソードは、書ききれないほどたくさんあるのですが、そのひとつは、お子さんが生まれる直前に、手堅い職業である信用金庫を退職されて、真新しい事業を起業されたこと。
起業の成功率は数%と言われています。さらに、自分の熟知した専門分野で起業されたわけではなく、ファッションという全く未経験分野で、さらに遠く離れたアフリカと日本での事業を始められました。
そんなゼロからの起業、当然、信用金庫での勤務を続けていた頃と比べると収入は激減のはず、というより、最初数年は収入ゼロでしょう。
お子さんが生まれる前に、そんな経済的を激変される意思決定には、自分が奥さんのご両親だったらもう怒り心頭かも!という状況です。(この義理のご両親とのエピソードも感激でした!これはまたの機会に 笑)
そんな、傍目にはクレイジーに見える決断をされたのは「子どもにどんな背中を見せたいのか?」という自分の価値観からだそうです。
私は一度会っただけですが、こんな中須さんが大好きになりました!
「この人のことをnoteに書きたい!」「何か一緒にやりたい!」と惹かれるのはなぜか?
イベントの最中、会場から「影響力とは何だと思いますか?」という質問がありました。これに対する武井さんがまさにその答えをくれました。
影響力とは「自分らしさ」の純度
武井さんの考える「影響力」とは・・
その人がその人らしく生きていて、周囲が自ずと感じてしまう
その人がどれだけ自分らしく生きているかの純度
中須さんの、信用金庫を就職先に選ばれたことから(これにも深いエピソードがありますが省略)、安定した信用金庫を退職し、アフリカ×職人さんの事業に挑戦されている人生は、まさに中須さんらしさが滲み出ています。
だから、信用金庫で勤続◯年の中須さんではなく、信用金庫を退職して自分の価値観に素直な挑戦をしている中須さんを、私だけでなく、みんなが応援するのです!(中須さんの事業、アフリカドッグスは、京都大丸でポップアップショップをだされたりとブレイク中!)
「影響力」とは、「リーダーに求められる力」「世の中を変える力」というように、大きく考えがちかもしれません。
でも、「影響力」の本質とは、私が中須さんに対して感じた「この人いいな」「この人応援したいな」という、純粋な気持ちではないでしょうか。
そう考えると「影響力」を持ちたい人。自分の半径5mの周囲の人たちをちょっぴりでも幸せにしたい人から、組織のリーダーとして、世の中を変えたい人にまで共通する「やるべきこと」があります。
それは決して、ノウハウ本や授業から学べることではありません。それは、自分自身との対話から、自分の価値観を明らかにすることです。
そして、自分の価値観に基づいた行動をしているか?価値観に基づいて今後どんな行動をするのか?を見つめ直すのです。
そんな中、ほとんどの人は現状とのギャップに悩むことでしょう。そのギャップの多くがお金や収入かもしれません。
最初の職人さんの工賃のように、信念に従って社会にとって良い行動したからといって、お金がフェアに返ってくるというわけではありません。
しかし一方で「お金ってそんなに偉い?」という考えもあります。大切な人との時間を大切にするアフリカの方々の価値観や、安定した職業を捨てた今こそ魅力的な中須さんを見ると本当にそう感じます。
とはいっても、自分以外の家族のためにも、ある程度のお金を確保するのも大切ででしょう。
自分の価値観と現実とのギャップ、誰も正しい答えをくれる人はいません。現実とのギャップに苦しみながら行動して、自分なりの答えをつくりあげていくしかないでしょう。
そんな自分の価値観と現実のギャップの中で悩みながらも、行動を重ねていくと、失敗や後悔もあれば、人に救われるという得難い経験をすることもあるでしょう。
このように、現実とのギャップがあっても、少しでも自分の価値観に正直にあろうと、人間らしい試行錯誤を繰り返す過程からこそ、自分らしさがにじみ出て、周囲の人が「応援したい!」という「影響力」がわきでてくるのです。
私が一度会っただけで多大な影響を受けた、爆発的な「影響力」をお持ちの中須さんのnoteはこちらです🔽
というわけで、私も自分らしさの純度を高めるべく(笑)、先日、仕事がテンコ盛りの中でも急遽、大好きなシュノーケリングのために子供2人をつれて南の島に行ってきました。
今日書いたのは、濃密なイベントのほんの数百分の1で、武井さんとの対話などまだまだ書きたいことは山盛りあります。急にシュノーケリングに行ったために仕事が山盛りのまま残っている現実と、noteを書きたいという気持ちのギャップを乗り越えて、引き続き続編を書く予定ですので、気長にお待ち下さい(笑)
P.S. サムネイル写真は、お姉さんに引っ張ってもらいながらシュノーケルをしている次男とマンタを激写したものです。マンタと子供と泳いでいる瞬間は最高でした!こんな瞬間を大切したいですね。
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