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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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#宮廷

Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−30

「ちょっと、私の話を聞いているの! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット!」
エミリアは私を怒鳴りつけながら、グイグイとアタシの右手首を引っ張った。
彼女はさっきまで、アタシと向かいの席に座っていたはずだが、いつの間にか隣に移動している。呼んでも反応がないので、頭に血が上ったのは間違いない。
どうやら昔のことを思い出しているうちに、彼女の話を上の空で聞いていたらし

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−29

「ちくしょう……これじゃ、エルヴィラの方がまだマシだわ。私ってバカよねえ。本当に人を見る目がない。宮廷で生き残れるのか不安になってきたわよ! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット、あなたのために使った私の時間とエネルギー、今すぐ返して!」
エミリアは一気にまくし立てると、テーブルに突っ伏して号泣した。
「ごめん、ごめんよエミリア・パトリシア・クラリッサ・アリアンナ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−28

「お気に召したなら、新品買ってきてあげようか? 使いかけを他人にあげるわけにはいかないしね。タオルも、色違いのものでよければ、それと同じタイプのものがいくつかあるから、あげようか?」
とアタシがいうと、彼女は手に持っているチューブとタオルを見た。
「いいんですか? お姉様」
「いいのいいの」
「ありがとうございます、お姉様。それでは、両方ともいただきますね」
というと、義妹

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−26

以前から、エミリアのことをよく思っていなかった皇帝付き侍従の一人が、皇帝にエミリアがそばに控えていない時に「エミリア皇女に乱心の気あり」と、あることないことを吹き込んだのである。
だが彼女がかわいい皇帝夫妻は、その意見に耳を傾けないどころか、その侍従をきつく叱責した。その侍従は左遷され、その話はそれで終わり……のハズだった。
だがエミリアを快く思っていない連中は、それでめ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第25回 心の壁ー25

「構うものですか。本当のことだもん」アタシは、コーヒーをすすりながら言った。
「お姉様はよくても、ほかの人間はそうは思いません。ちょっとした一言で何もかも喪った事例は、枚挙に暇がないでしょう」
気がつくと、エミリアの口調はさっきまでの丁寧調から、ややきつい言い回しになっている。まずい、いささか調子に乗りすぎたか。
「ご忠告、痛み入るわ」
「反省のポーズだけならば、そこらの

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第一章 心の壁−24

「お姉様に、どうしても見てもらいたいものがあります」
義妹はそう言いながら、黒色のクラッチバッグから、一冊のファイルを取り出し、それを私の前に差し出した。
彼女のいわれるまま、アタシはそのファイルに視線を向ける。
「ま、立ち話も何だからさ、座って話そ」と言いながら、アタシは彼女に、執務室のソファに座るよう促す。「コーヒーでいいよね?」
「はい、お姉様と同じもので」エミリアは

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第一章 心の壁-22

だが、この安定した治世も長くは続かなかった。アインハルト5世から数えて5人目のプレアガーツ家出身の皇帝クラウス=フォルクハルト3世は若年で即位した上病弱だったこともあり、政界ならびに宮廷での佞臣の跋扈を許した。
不幸なことに、この皇帝はあまり政治には興味を示さなかった上、このころから極右思想にかぶれた人たちが、急速に勢いを増すようになった。このころの市民は賢かったから、議

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第一章 心の壁−21

「う、う、うーん」
アタシは裸のままベッドの中で両腕を上げて、勢いよく身体を伸ばした。
デジタル時計の表示は、朝の6時20分を過ぎていることを示している。
自分の左側に視線を向けると、隣で寝ているはずのオトコがいない。
なぜ、オトコが隣にいたのかって? そんなの決まってるじゃない。楽しんでいたからよ。
さて、ここで自己紹介といきますか。
アタシの名前はマルガレータ・ハンナ

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第一章 心の壁-20

「悪いが、もう一度言ってくれないかな。どうも年のせいか、耳が遠いものでね」
部屋の主は視線を逸らせたまま黒革の椅子にふんぞり返り、せわしなくパイプをいじりながら返事をした。
「ですから代表、エルヴィラの襲撃は失敗しましたとご報告しているのですが」
男はいくぶん顔を青ざめながら、部屋の主に先ほどいった言葉を繰り返した。
男の説明を聞いた部屋の主は、視線を逸らしたまま「フーッ」

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第一章 心の壁−19

「おいテメェ! さっきから黙って聞いていれば、いい気になりやがって」
キャサリンが今にも殴らんばかりに、キャサリンがつっかかってきたのを、私は彼女が羽織っている服の袖を引っ張って制止した。
「もうやめようキャサリン。こういう人間には、なにを言ってもムダだよ」
「クラウス、あなたにはがっかりだ。もう少し、分別のある言い方ができる人だと思っていたんだけどな」しょんぼりした表情を

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第一章 心の壁−13

フリーダは「はーあ」とわざとらしくとため息をつき、頭を抱えてテーブルの上に突っ伏したまま動かない。
「私にとってエルヴィラは『よき友人』だけれど『よき上司』とは言えないわね」
「へぇへぇ、『よき上司』でなくて悪うござんした」
私が彼女に返事した直後、私は店内の雰囲気に違和感を覚えた。室内に、イヤな臭いと共に煙が漂っている。
私は、すぐさま視線を、煙が漂う方向に向けた。

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−12

「だって、本当のことじゃないの」怒気を含んだ口調で、フリーダも言い返す。
「皇族としてのマリナは、ちゃんとお勤めを果たしている。それは私も認めるわ」
フリーダはグアテマラを一口飲むと、言葉を継いだ。
「私が言いたいのは、情報機関の幹部としてのマリナはどうなの? ってことよ。FGIKFは表向き政府の諜報機関だけど、その実態は、極右勢力とその支援者がターゲットだからね。マリナ付

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−11

「メールの内容は?」冷たい汗が、背中を流れるのがわかる。
「あなたのコップを、簡易鑑定キットで検査したらしいの」
「どんな結果だったの?」
「ごくわずかだけど、睡眠薬の成分が検出されたって。で、詳しい検査をするためにキャサリンは、そのワイングラスを別部署に持参するそうよ」
「……」ショックのあまり黙り込む私。
「これでわかったでしょ? あなたがバスルームで溺死しかけたのは、

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−8

ギムナジウム(高校)に進学しても、相変わらず他人との会話や集団行動が苦手だったクラウスは、校内で孤立していた。
修学旅行前に開かれたホームルーム(HR)でクラウスは、クラスメートのいじめを理由に、ギムナジウム(高校)の修学旅行を拒否すると宣言した。いじめ問題は、心ある数人のクラスメートが動いたことで解決したが、結局彼は修学旅行を、無断で欠席した。
修学旅行は原則として、同一

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