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随想:読書生活の始まりについて

 読書の始まりは、いつからだろうか?(4,774字)
 
 読書とは、文字を覚えて、
 本を読み始める事だが、
 いつから読み始めたと決めるのは、
 中々難しい。
 
 現在の日本の環境であれば、
 ひらがな、カタカナ、漢字、
 そしてalphabetを覚える。
 
 家庭、学校等で、
 これらの文字を習うが、
 この環境は、かなり恵まれている。


夏の教室


 
 日本人は幼少期に、
 二系統の文字を同時学習している。
 
 すなわち、東洋の漢字であり、
 西洋のアルファベットである。
 
 これは将来、英語北京語という
 二大外国語の学習を準備する。
 
 誰が考えたのか知らないが、
 日本の教育はそうなっている。

 欧米では、一系統、アルファベットだけだ。
 東洋の漢字も、中東のアラビア文字も教えない。

 


アラビア文字

 少なくとも国を上げて、子供に教えたりしない。
 特別な環境にいる子供だけだろう。
 
 そういう意味では、
 日本はまだ寺子屋教育的な凄さはある。

 母親たちは子供にアルファベットを教えたがる。
 よく考えると、この精神性は凄い。
 なぜか?
 
 日本は島国であるから、
 海外との付き合いは必須である。
 
 無論、全ての日本人がそうなる訳ではないが、
 そうなる可能性は、子供のうちに作っている。

 この教育が本格化したのは戦後だろう。

 今、貧困家庭が問題となり、
 識字率を下げ始めていると言うが、
 まだ微々たるものだろう。
 依然として高い筈だ。

 言語学習的には、日本は、
 非常に恵まれた環境にあると思う。

 よく教育関係者からは、
 否定的な意見を聞くが、
 当方はそう思っていない。

 全国民に、幼少期から、
 漢字とアルファベットを教えるとか、
 凄すぎと思っている。

 二系統同時で、
 大言語という点がミソだ。
 これは国家の大戦略だろう。

 ついでに、アラビア文字とか教えてくれたら、
 なおいいが、流石にそれは無理か。


金融・貿易

 日本人で、実際に外国語を使うのは、
 1割くらいだと思うが、恐らく、
 この1割が、海外の相手をしている。

 残り9割くらいは、職業的にも、
 生活空間的にも、日本語環境に留まる。

 多分、日本人の魂も、
 1割外国由来で、9割日本育ちだと思う。
 外国語と転生輪廻は連動している。

 当方も、職業的にも、
 生活空間的にも、日本語環境だ。

 ただ読書も動画も、
 一日数時間程度、外国語環境だ。

 当方の外国語能力が拡大し始めたのは、
 You Tubeを視聴し始めてからである。

 無論、それ以前からも古典語はやっていたが、
 2005年以降は、学習する外国語の数が増えた。
 
 学びたい外国語の動画を検索して、
 視聴するだけで効果がある。
 よいサンプルになる。
 
 だから20世紀と21世紀では、
 当方の能力・戦力もかなり異なる。

 

グローバリゼーション

 インターネットのお陰と言うべきか。
 テキストも音声も動画も入手できる。
 使わない手はないと思った。
 
 だが最初から、外国語ができた訳ではない。
 英語も、フランス語も、ドイツ語も、
 よく分からなかった。
 
 全く分からない訳でもないが、
 何か納得できない感じだった。
 
 だが大学で古典ギリシャ語をやった時、
 急に見えて来た。全部、繋がった。

 ヨーロッパの言葉は、これだよ!
 このルールなら、納得できると思った。

 近代語の文法は、
 語順が全てで、省略も多い。

 だが古典ギリシャ語は、
 文法が全部揃っており、
 語順は自由だ。

 古典語は、
 ルールが滅茶苦茶細かいが、
 省略が少ない。

 つまり、
 古い言葉の原型を見て、
 新しい言葉が分かった。

 そこから逆襲が始まって、
 英語とフランス語を再征服した。

 英語→フランス語→古典ギリシャ語
 →英語→フランス語だ。


ヘラスの戦士

 こういう経路を辿る人は、
 他にもいるのか、分からない。

 ここまでが20世紀の話で、
 21世紀以降は、You Tube等だ。

 北京語とラテン語の学習が始まり、
 ロマンス語系の諸言語が続く。

 だが母国語である日本語で、
 いつから本が読めるようになったのか?

 読書の始まりはいつからになるのか?
 思い出してみよう。

 子供の読書と言えば、まず絵本かもしれないが、
 そもそも、家に絵本が殆どなかった気がする。

 絵本を読んだという記憶が殆どないのだ。
 小学校から、図書室で絵本を見た記憶がある。
 だが家ではない。覚えているのは家の漫画だ。

 驚いた事に、漫画のふきだしの漢字に、
 手書きでふりがなが入っていた。
 母親?の配慮だろうか?

 だから絵本ではなくて、読書は、
 漫画から始まったのかもしれない。

 漫画日本の歴史とか、そういうのだ。
 聖武天皇行基菩薩光明皇后
 この三人が、強烈な印象を残している。


奈良の大仏

 なぜ聖武天皇は大仏を作ったのか?
 天然痘で日本人は絶滅しかけていた?
 僅か数ページだったが、何度も何度も読んだ。

 ちなみに聖武天皇が、なぜ大仏を作ったのか、
 明確に答えた学者はいない。
 ここに隠された神秘のベールがある。
 
 子供の頃から、
 大仏という存在が妙に気になった。
 
 夢にも出て来たし、
 神秘体験の始まりでもあった。
 
 あとは母親が聖書から、代表的な話を、
 ピックアップして、聞かされた。
 
 

出エジプト記

 モーゼが海を割るシーンがある出エジプト
 イエスが湖の上を歩くマタイ伝とかだ。

 別にクリスチャンでもない。
 どこかピューリタン風ではあったが、
 どちらかと言うと、神道系?だ。

 しかも『ホツマツタヱ』とか、
 珍しいものを信じていた。
 母が語る天孫降臨は宇宙神話だった。

 『古事記』にも『日本書記』にも
 出て来ない神様の名前を聞いていた。
 あと霊感があった。巫女体質だ。


学校の図書室

 小学校に上がると、図書室があった。
 一年生の時、江戸川乱歩の『怪人二十面相』を、
 手に取った。ページを開いたが、読めなかった。

 二年生の時、再び『怪人二十面相』を開いた。
 難し過ぎて、頭が割れそうだった。断念した。

 この時、味わった苦痛は終生忘れられない。
 何とか、大人たちが読む本を読みたかった。
 だが頭がついてこない。無理だった。

 だが三年生の時、悪戦苦闘して、
 江戸川乱歩の『怪人二十面相』を、
 読み切った。多分、これが最初の読書だ。

 四年生の時、翻訳本にも手を出した。
 モーリス・ルブランの『ルパン』を読んだ。
 『奇巌城』だったか。

 邦訳では、ルパン対ホームズだった。
 (原本では探偵エルロック)

 江戸川乱歩のルパン対明智小五郎も読んだ。
 小林少年の活躍に、胸が躍った記憶がある。

 この頃になると、10冊程度は読めていたので、
 来年図書館で、もっと本を読もうと思った。

 五年生の夏休み、毎日図書館に行き本を読んだ。
 50冊程度読んだ。第二次世界大戦の本ばかりだ。

 

市立図書館の書架

 ウィンストン・チャーチル
 『第二次世界大戦回顧録』、
 堀越二郎
 『零戦――その誕生と栄光の記録』、
 幸福だった。
 もう日本語であれば、哲学書以外は読めた。

 なぜ第二次世界大戦を選んだかと言うと、
 漫画日本の歴史が、幕末で止まっていたからだ。

 当時の世相で、明治以降の歴史はダブーだった。
 少なくとも、子供には明かされていなかった。

 六年生も引き続き、第二次世界大戦を追い掛け、
 全体で100冊程度、読んでいたと思う。

 アドルフ・ヒトラーの『我が闘争』も
 隠れて読んだ。
 12歳で、そんな本を読む子もいるのである。

 おかけで、戦史に詳しくなった。
 独ソ戦から太平洋戦争まで分かっていた。


アテナイの学堂


 
 次の目標は、哲学書だった。
 プラトンアリストテレスだ。
 
 なぜか古典ギリシャ語は最初から意識していた。
 だからカタカナで単語をかなり覚えた。
 
 哲学書は、一般に難解だと言われる。
 13歳で挑戦して挫折し、14歳で少し読めた。
 
 プラトンが完全に読めたのが15歳、
 『ソクラテスの弁明』『パイドン』などだ。
 
 16歳の時、プラトンでは『国家』に出て来る
 エルの神話と洞窟の比喩を読んで衝撃を受けた。
 
 なおソクラテスは、
 同人誌が書けるくらい
 キャラを掴んだ。
 
 だから『クサンティッペ、ソクラテスの思い出
 というショートショートも書いた。
 
 実は当方、ソクラテスVS親鸞なんて、
 夢のような対戦カードも組める。
 
 何かテーマを決めて、
 この二人を議論させたら、
 きっと面白い。多分、再現できる。
 
 ちょっと脱線した。
 アリストテレスは17歳の夏だった。
 『形而上学』『ニコマコス倫理学』だ。
 
 アリストテレスの存在論の中心概念、
 οὐσία、ウーシア、実体は、後に、
 修士論文の研究テーマとなった。


兵士と連帯


 
 他、カール・マルクスの『共産党宣言』とか、
 レーニンの『帝国主義論』とか読んだ。

 変な高校生だ。昔がたきなのか?
 大学紛争など、とうの昔に終わっている。
 
 この流れで行けば、
 マルクス主義に行く筈だが、
 あいにく、左翼には行かなかった。
 左翼で無神論など、
 最初からないと思っていた。


ジュネーブのルソー

 ルソーの『人間不平等起源論
 『社会契約論』も読んだ。
 人類社会の自然状態とは何か?お題だった。

 特にジャン・ジャック・ルソーを読んで、
 左翼にならない人はいないと言われるが、
 当方は左翼の魔法にかからなかった。
 
 だがルソーには、ただならぬ親近感を覚えた。
 能力分布図が近似しているとさえ感じた。
 
 この頃から、近代日本文学も読み始めた。
 川端康成の『みづうみ』に衝撃を受けた。


一石教授

 あと高校生の時、記憶に残っているのが、
 NHKの『アインシュタイン・ロマン』だ。
 今でも、微分積分やれば良かったと思っている。

 大人になってから、
 クルト・ゲーデルにはまった時、
 アインシュタインには、再会する。

 後年、社会人になってから、
 ITの資格でCCNAとか取得した時、
 再び、理系の道が開きかけていた。
 今でも時々、理数系・工学系の入門書を読む。

 エンジニアでは、
 電話のアレクサンダー・グラハム・ベルと、
 月ロケットの
 ヴェルナー・フォン・ブラウンが好きだった。
 彼らの小説は書きたいと思う。


月世界

 特にベルは、
 三世紀のローマに飛ばして、
 電話を作らせたい。
 糸電話から始まるローマ世界転生だ。
 産業革命前夜のローマならイケる。

 これが高校生までの話だ。
 
 大学では、
 ヘーゲル全集とか読破した。
 ドイツ観念論を経て、
 ハイデガーの森を逍遥した。


Schwarzwald


 
 あと働きながら、大学に行った。
 家の事情だ。苦学した。

 学費は四年間で完済した。
 単位は意地でも落とさなかった。

 卒業した後、完全にバーンアウトして、
 働かず、二か月ヨーロッパを独りで回った。


journey to home

 ドイツとフランスだ。
 マルクとフランの時代だ。
 ユーゴ内戦で難民が溢れていた時期だ。
 20世紀の最後の数年間だ。


アウローラ


 
 最後にちょっとだけ、
 秘密の話をしよう。
 
 こんな秘密、明かされても、
 困惑するだけかも知れない。
 
 だがもう少しだけ、
 おつきあい願いたい。
 
 ナポレオン・ヒルの瞑想ではないが、
 当方が何か書く時、祈る対象が七人いる。
 
 アリストテレス、ルソー、シェイクスピア
 川端康成、芥川龍之介夏目漱石宮沢賢治だ。
 
 奇妙な組み合わせが、
 この七人から力を借りている。
 
 瞑想する時、いつもこの七人が
 円卓に座っている。
 
 座長はアリストテレスだ。
 副座長はルソーだ。
 
 ルソーは最後まで結論を言わない。
 司会進行役に徹している。
 他の人に全部発言させた後に、
 いつも言う。
 
 ナポレオン・ヒルの瞑想は、
 経営者のためのものだが、
 当方は小説、記事を書くために転用している。
 
 あと小説や記事を書く時、
 個別に名指しする時もある。

 哲学・思想関連の記事はアリストテレス、
 芸術・外国文学はシェイクスピア、
 政治・歴史・音楽関連の記事はルソーだ。

 『国際情勢:パリ五輪2024』は、
 ルソーに、お願いしてから書いた。
 政治・社会思想だからだ。

 どの辺がルソー?と言うなら、
 エマニュエル・トッドのくだりか。
 ガリレオ裁判云々とかそうだ。

 『仏の顔も三度まで、釈迦族殲滅戦』は、
 芥川龍之介にお願いして書いた。

 『星辰の孔子』は、宮沢賢治だ。
 『私は白い猫だよ』は、夏目漱石だ。

 未発表だが、『私の守護霊はお姫様 
 ~My guardian spirit is a blue princess~』
 は、500ページくらい書いてある。
 川端康成にお願いして書いた。

 こんな事をして、一体何になるんだ?
 と思われるかもしれないが、
 彼らは今も存在するので、
 当方からの呼びかけに、
 全く応えない訳でもないと思う。


夢、無限軌道

 特に宮沢賢治は、
 『銀河鉄道の夜』しか読んでいないが、
 かなり応えてくれている気がする。
 
 読書生活の始まりは、我が闘争の始まりだった。
 9歳の時、江戸川乱歩の『怪人二十面相』
 から始まった旅は、まだ終わっていない。


おみおくり


                                 

                                 了

プロフィールに代えて 2/1   1986年8月15日、祖父の思い出

ポータル 大和の心、沖縄特攻


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