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不毛会議 season 4 #151ー200

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とあるアパレルメーカーの会議室。 アズナブル=社長から毎日飛び出す 支離滅裂、奇想天外、叫喚地獄なワード集。 そんな言葉から生きることの奥義が見え隠れ。 ブラックユーモア人生指南…
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2020年2月の記事一覧

不毛会議 #151

不毛会議 #151

「お前。ファッションピープルになってんな?」

戦略として。

低価格ゾーンの生産だけではなく
中・高価格ゾーンの商品も同時に生産することのメリットを力説したスタッフに向けて
「ブルータスお前もか」ばりのニヒリズムを漂わせながら発言。

流行の第一線を行く人達への反逆心が強い人だった。

ファッションとビジネス。
これは商人魂と絶妙な温度差がある。
お洒落に傾向しすぎると自己満になりがちで、しかし

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不毛会議 #152

不毛会議 #152

「俺、小売り苦手!」

利率の低い卸メインの業態からシフトする。

利幅の取れる直営店の小売業態に力を入れたSPA強化を提言した瞬間に発言。

アズナブルは勝てないは勝負やらないのだ。

しかし時代はそうはさせてくれない。
本業が勝てない試合になりつつあるのだ。

恐竜は気候の変化が迫っても
進化を拒んだ故、絶滅したという。

きっと恐竜もこんな感じだったんだろう。

「俺、小型化苦手!」てな感じ

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不毛会議 #153

不毛会議 #153

「世界が回ってるとマジに思ったぞ、俺中心に」

昔話。

その当時
アズナブルの会社は業界を一世風靡していた。

作るもの作るものすべて高値(しかも高利益)で売れまくった。

東京都の高額納税者番付に載りゃそう思うに違いない。

そして

この会議室は今でもアズナブルを中心に周り続けている。
この会社にいればアリストテレスですら天動説を放り投げてアズナブル動説を唱えるだろう。

辞めるまであと47

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不毛会議 #154

不毛会議 #154

「毎度!!っていう営業をしてくれ」

卸営業チームの売上会議にて発言。

具体的な指示?そんなもんいらねーんだよ。
時代は関西ノリだ。勢いだ。

「会社を大阪にする」発言からしばらく経つが消えてなかったんだ。

毎度お騒がせしてくれるアズナブルでした。

辞めるまであと46日。

つづく

不毛会議 #155

不毛会議 #155

「無地にする?」

展示会で大量受注を頂いた。

商品はチェックシャツだ。

しかし、生地市場で必要量の生地を仕入れて生産をしているメーカーあるあるの"人気のチェック生地が売り切れてしまう"問題発生だ。

この場合、迅速に。
大量受注だから慎重に。
しかし違うけど似てるチェック生地を選び生産しなければならない。

生地を生産するにはミニマム(最低生産ロット)があまりにも大きすぎるからだ。

やむ

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不毛会議 #156

不毛会議 #156

「あれはヒロシがいた頃の話だから、パルパルオリンピックの翌年…あれ、ちがうな…パルパルの前の年だから…いや、ちがうな…(以下繰り返し)」

定番発言。

アズナブルが勢いに乗り始めた時期が1988年。ソウルオリンピックのタイミングだった。ちなみにパルパルとは韓国語で88を表す。

当時の事を表現する際に必ずこのくだりがある。

いっこうに本題が始まらないのだが、いつも登場する"ヒロシ"の説明はない

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不毛会議 #157

不毛会議 #157

「お前の良いところは・・・・やる気マンマン!!」

褒めること。

それが士気を挙げるのに大切だというブームが起きた。

100年に一度の奇跡。

アズナブルが褒めるとかありえない。
「トランプ大統領は童貞」くらいありえない。

しかし奇跡は奇跡。
本か人かテレビかラジオ
何かの影響を受けた朝の話さ。

ひとりひとり褒めよう。
順番に言おう。
まず1人目だ。

1人目。
苦笑いしながら眼を右往左往

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不毛会議 #158

不毛会議 #158

「服に臭いが付くじゃない!!」

事務所でお香を焚いていたスタッフに対してララァがヒステリックに発言。

気持ちはわかる。
商品に匂いがつくのは頂けない。

しかし話には前後というものがある。
お香を焚くにいたったのは数日前。

突然「一階のトイレに幽霊が出る!」とララァが騒ぎだした。

騒ぎ出すと止まらない。
救急車や消防車のように大音量でまくしたてる。
救急車と消防車と違い誰も助かることはない

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不毛会議 #159

不毛会議 #159

「この中にも退社した人間も何人かいますが・・・」

忘年会。

1年の締め括り、非常に大事な締めの言葉だ。

色々あった。
それも忘れて来る年の英気を養う。
そんな席での最後の締めの言葉。

皆さんおわかりであろうか?だ。

恐らく「退社した人間もいますが、来年は我々で頑張りましょう」みたいな事が言いたかったんだろう。
「この中に」を付けちゃうからおかしくなる。

退社した人間がここにいるほど平和

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不毛会議 #160

不毛会議 #160

「受注が付かないからって、可哀想じゃないか」

ララァが提案して作ったサンプル。

展示会に出したけど一枚の受注もつかずボツになった。

このことを聞いたアズナブルがキレ気味に発言。

我々は何を根拠に発注をすればいいのだろうか。
様々な商売の構造が崩れ去る音を聞いた。

あと不良在庫で軋む棚の音も聞こえた。

なし崩しに辞めるのか?まであと40日。

つづく

不毛会議 #161

不毛会議 #161

「福袋の利益率だしてくれ」

福袋。

その当時福袋は在庫一掃の手段だった。
もちろんまともに試算すれば赤字は当然。
というか
逆に不良在庫をお金に換えるという意味で意味のあるイベントだった。

それに対して利益を出すという事はナンセンス。どう考えてもマイナス利益しか出ない。

しかし時代より速く生きるアズナブル。
世の中はアズナブルの言うように後で変化していった。
福袋の中身を福袋の売価で利益が

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不毛会議 #162

不毛会議 #162

「任せる!」

あるスタッフが辞めると決意した。

悩みに悩んでついに思い立つ。
喉の渇きを感じながらノックをする。
ドアノブに手を掛けた手の感覚はない。
怒声、罵詈雑言の360度放射を受ける覚悟を決め

「退社します」

そう言い放った返事がこれ。

「任せる!」

この返しは想像できなかった。

スタッフを信頼して権限移譲する。
そんな話を聞いたことはあったが
まさか退社までセルフサービスとは

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不毛会議 #163

不毛会議 #163

「そのエクセルの表。魂こもってんのか?」

アズナブルがエクセルを少し覚えた時期。

スタッフのエクセルの表を背後から覗き込んで発言。

エクセルにいったい何を求めているのか。

深い闇を垣間見た気がした。

魂の火が消えるまであと37日。

つづく

不毛会議 #164

不毛会議 #164

「あ、そこ!ったく何でそっち行っちゃうかなぁぁ」

タクシー運転手が左折した瞬間に発言。

右折するまであと36日。

つづく