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好きに理由なんかいらない

理由が欲しい

何かに失敗すると、僕はすぐに原因を探していました。風邪を引くと、寒くなってきたのに、衣替えしなかったからだとか。仕事でミスをすると、あの時に確認しなかったからだとか。人間関係がこじれると、あの時、言ってしまった言葉がまずかったのではないか。そんな風に思考を巡らせてしまうのでした。

中には原因もわからないものもありました。就職したばかりのときに、僕は、酷いいじめにあいました。でも、いくら理由を考えてみても、分らなかったのでした。無理やりに絞り出した理由が、僕は正当に扱う価値がなかったから。この世界は、思うほど平等ではないのかもしれないって。

だからといって、理由があるにしても、ないにしても、同じ過ちは、繰り返してしまうのです。今年もまた、寒くなってきたのに衣替えをめんどくさがってしなくて、風邪をひいてしまいました。また、同じような確認ミスで仕事で失敗しました。また余計な一言をいってしまい、人間関係をこじらせてしまいました。そして、過去を振り返ってみても、僕は職場が変わるたびにいじめにあっていたのも事実でした。

ときどき、そんな成長していない自分に腹立たしくも情けなくもなってしまいます。

きっと、次に失敗しないために理由をさがしていたんじゃないのかもしれない。そう思うようになりました。失敗から学び、自分を成長させるための原因追及ではなかったのではないかということ。だって、そこから自身がどうしていくのかまでは考えなかったからです。

次第にその迷いは大きくなって、遂に、僕は自分の正直な気持ちに辿り着いたのでした。ただ単に自分を納得させたかったんだ。自分にしょうがないねって言わせたかっただけだったんだって。

理由を求めるあまりに

ある日のこと、僕は、当時勤めていた会社の人に言われて、奴隷のように働くようになりました。それは、がむしゃらに頑張りたいとか、夢を叶えたいというおもいからではなく、僕自身が納得することが出来たからでした。それは、これまで歩んできたことが上手くいかないのは、全部僕のせいで、僕に魅力な人間でないからだと。だから、だれも認めてくれていないだろって。

確かに、僕は人に認められるような人間ではないことに気が付いたのです。僕は何度もおなじ過ちを繰り返す愚か者だったからです。

また、その方は、こうも仰いました。それらをカバーしていくには、死ぬ気で何かを成し遂げる必要があるよと。そのチャンスを僕にあげよう、この会社で成功することを。だから、死んでも努力し続けなさい。

だから、僕は、寝る間を惜しんで、死んだ気になって、働きました。その結果、精神を壊してしまいました。重度のうつ病にかかってしまったのでした。

僕の頭の中は、ぐちゃぐちゃでした。そして、僕がうつ病になった理由を探してみると、答えは、僕がダメな人間だったからとしか理由は見つけられませんでした。そんな現実を突きつけられて絶望はしましたが、僕は理由探しをすることが辞められませんでした。

この理由探しの癖から抜け出すことはできませんでした。

どんな時も理由がないと、自分の気持ちを傾けられなかったのです。何かを好きになるのにも、理由も必要としました。何にでも誰にでも理由欲しがりました。

好きな人、友人付き合い。みんな理由が分からなかったから、付き合うのも辞めたこともありました。とても悲しい気持ちでいっぱいでした。

理由がなくても大丈夫

失敗した理由は確かに、自分の成長のために必要かもしれません。

でも好きなことに関して理由はいるでしょうか。
時に、好きになった理由を追求することは、暴力ともいえるくらい、自分に圧力をかけてしまうものです。

本当は理由なんて、どうでも良いものではないのかと思うのです。適当に探せば、いくらでも出てくるものだから。好きに理由は大した意味はないと思うのです。

それよりも、好きなことをしている自分が心から笑えていたり、ワクワク、ドキドキしたり、好きという感覚というか。なんか取り換えがきかないような感じというか、これだっていう直感のようなものが働くというのか。言葉に出来ないなにか。論理的に説明ができないから好きになったのではないでしょうか。

つまり、好きに理由はいらないと思うのです。

好きな人や大切な人をどうして、好きになったのか説明できないのも、きっと好きになるのに理由がいらないからだと思うのです。

だから、自分の好きの感覚は、疑う必要もなく信じてよいものだということなのです。それが、たとえ、人と分かり合えることがなくてもです。

だから、あなたの好きという感覚は本物なのです。

どうか、それを疑わないで欲しいのです。

どうか、信じてあげて欲しいのです。

例え、理由がわからないとしてもです。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
メルシー

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