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あなたに出会えてよかった

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私たちの「子育て」はもう終わりを迎えます。「子育て」を共に闘ってくれた妻に想いを綴っていきます。
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1月17日

28年前の今日、当時、私たちが住んでいた奈良県香芝市でも大きな揺れを感じました。午前5時46分、僕は生後半年の娘をベビーベットからおろし、抱きかかえて、落ちてくるかもしれないモノから守るのに必死でした。幸い香芝市の震度は4でさして被害はなかったけれど、恐怖を感じた初めての揺れでした。

その一週間後、娘は痙攣発作を起こします。震災の映像を見ていた妻が、娘の異常に慌てふためく状況が当時の育児日記に残
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「性格の不一致」

「性格の不一致」

銀婚式を迎える僕たち夫婦は永遠の性格不一致

一緒にいる理由は、出会った頃の直感と積み重ねた日常

人となりも違うし、育った環境も価値観も違う

互いを「そのままでいい」と思えるのは幸せの証

今日は、妻の晴れの日 ブーケを手渡した

「手紙(娘へ)」

「手紙(娘へ)」

あなたが産まれた時、私は分娩室にいました。ママが死んでしまうんじゃないかと思うぐらいの難産の末、あなたは生まれてくれました。生(せい)のリアルを実感させて、ありがとう。

あなたは他人とは違う個性的な体質で生まれました。だから、1歳の誕生日は病室で迎えました。あなたを抱っこしながらの病室の窓から見える夜景を今でも覚えています。

言葉も遅かったし、大きくなるのも遅かった。もしゃもしゃした髪の毛がチ

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「29回目」

「29回目」

田原俊彦さんが唄った「ハッとして!Good」という曲の「ハッとして グッときて パッと目覚める恋」というフレーズは的を射ている。

私と妻との最初もそんなだったのだろう。毎日がバラ色だった。アドレナリンとドーパミンがドバドバと心を躍らせる。もう35年ぐらい前の記憶だ。

先日、29回目の結婚記念日を迎えた。いつもは家で祝うのだが、今回は近場で一泊した。隠れ家のような落ち着いた宿。地酒「風の森」を傾

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「違っていい」

「違っていい」

光明が見えたとはいえ、相変わらず食は細いし、感染症には弱くて、幾度か娘は生死の間を彷徨います。妻は、疲れ果てているにも関わらず、増々ナーバスになっていきます。あるきっかけがあって、私は決断しました。
 
「私が、仕事を辞めて、娘を看よう。妻は、なるべく娘から離す」
 
「イクメン」とか「主夫」という言葉もまだなかった時代。しかも、大学時代は「宇宙一ええ加減な人間」と呼ばれていた私が、病弱な1歳半の

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「一筋の光」

「一筋の光」

原因不明の痙攣発作、改善しない肝機能障害、甲状腺機能の低下、度重なる感染、一日3回溺れるように薬を飲ませ、点滴の針は娘の細い細い血管を潰し、問題は増える一方で、娘の命は陽炎のように揺れている。こんな生活がいつまで続くのか?と不安しかない毎日でした。
 
転機は、私の友人が知り合いの看護師さんを通じて、低血糖症の専門医を紹介してくれたことです。それまで懸命に対応して頂き、信頼していた医師を元を離れ、

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「コミットメントするのは誰?Ver.2」

「コミットメントするのは誰?Ver.2」

生後、半年頃から娘の痙攣発作が頻発するようになりました。発作の状況から「てんかん」を疑われ、抗てんかん薬(フェノバール)を処方されたのですが、相変わらず発作は起きるし、娘も薬の服用後はフラフラになってしまいます。
 
妻は気づいていました。「お腹の減っている時にしか発作は起きない」
 
これを主治医に訴えますが、聞き入れてもらえません。僕も「先生の見解を信じた方が良いのじゃないか?」と内心思ってい

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「死の淵、そして花火」

「死の淵、そして花火」

熟睡することなどできない入院生活を2年ほど続けたある夏の夜、私たち夫婦は、些細なことで、今、考えれば本当につまらないことで、互いに追い詰められてしまいました。
 
妻は、病室を出ていってしまいました。娘を放って探しに行くわけにもいかず、私は待っていたのですが、後で聞いた話によると、妻は、病院の屋上へ出て、そのまま、飛び降りようとしていたそうです。
 
(これで楽になれると…)心は穏やかだったそうで

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「慢性的な寝不足が睡眠障害に」

「慢性的な寝不足が睡眠障害に」

私たちの長女は、約2時間後には、低血糖状態に陥ってしまうので、2時間毎にミルクでの栄養(糖分)補給をしなければなりませんでした。
 
それが、毎日、毎晩続くのです。妻は、献身的に長女の面倒を診ましたが、慢性的な寝不足状態となり、疲れ果ててしまいました。その影響は、今、現在も続いています。
 
(つづく) to be continued

「あり得ない低血糖症状」

「あり得ない低血糖症状」

血糖値は、健康な人であれば、通常、空腹時で100mg/dL(以降、単位省略)前後です。一般に、血糖値が70以下になると、人のからだは血糖値を上げようとします。また、血糖値が50未満になると、脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足の状態になります。その時に出る特有の症状を、低血糖症状といいます。
 
ピンクの血の血糖値は、16でした。あり得ない低血糖状態です。おそらくほとんどのお医者さんもそのような

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「ピンク色の血」

「ピンク色の血」

あなたは、指先を針で刺したことがありますか?刺した経験がある人ならおわかりになると思うのですが、少し黒みかかった赤い血液が玉のようになって、指先で留まりますよね。
 
血液は、血漿や血球で構成されていますが、血漿成分に糖(ブドウ糖)が含まれていて、その糖の濃度を血糖値と言います。おそらく血液にはこの糖が含まれているから、血液は流れ落ちず、少量であれば玉になるんだと推測します。
 
なぜ、そう思うの

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「パパはドロボウ」

「パパはドロボウ」

大学5回生の時 ^^;。私には好きな女の子がいました。同じ学部の後輩だったその彼女はとてもチャーミングで頭が良く、サッカー部のマネージャーでもあったので、大変人気があったのです。図書館や研究室で見かけると声をかけて話をしました。甘酸っぱい思い出です。
 
学祭の夜、通例のOB会で飲んでいた私はトイレに立ちました。すると彼女が模擬店から出てきました。同回生の他の男の子と飲みにきていたのです。彼女はだ

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