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「手紙(娘へ)」

あなたが産まれた時、私は分娩室にいました。ママが死んでしまうんじゃないかと思うぐらいの難産の末、あなたは生まれてくれました。生(せい)のリアルを実感させて、ありがとう。

あなたは他人とは違う個性的な体質で生まれました。だから、1歳の誕生日は病室で迎えました。あなたを抱っこしながらの病室の窓から見える夜景を今でも覚えています。

言葉も遅かったし、大きくなるのも遅かった。もしゃもしゃした髪の毛がチャーミングでしたよ。発育を心配するママに「彼女はみんなより2~3年はのんびりと生きてるよ」と僕は言いました。遅くたって何が悪い。今でもそう思います。

確かに他の人たちとは違う子育てだったのでしょう。我慢することも多かったのは事実です。でも、医師、学校の先生、保育士さん、難病を抱える子どもの親御さん達、そう、たくさんの子どもを愛する人たちに、あなたは出会わせてくれたりました。

そして、あなたのジイジとバアバの献身に気づかせてくれました。彼らもあなたと同じように私たちが生まれた時に愛して、育ててくれたのです。

あなたはナイーブなので、友だちは多くはありませんでした。でも、とても友だちを大切にしましたね。素晴らしいと思います。そして、多くは語らないけど、人の話をとても共感的に聴きます。そして、あなたの書く文章が素晴らしい。『高瀬舟』の感想文を今でも折に触れて読み返します。

僕はあなたの頭を叩いたことがあります。僕が未熟でした。ごめんなさい。僕にとってはとても引っかかていたその事実を、成人したあなたは許してくれました。ありがとう。

あなたは、とても素晴らしいパートナーと出会いました。小さかった頃はあんなに手間がかかったのに、二人の船出に僕たちの出番はありません。ママが驚いていましたよ。そして、ママとしては最後にもう少しだけ「お世話」をしたかったのでしょう。優しいママですね。

僕はね。もうあなたに何の心配もありません。あるのは頼もしさだけです。あなたは人間として成熟しました。まだ、伸びしろはあるけどね。それでも困った時には相談してください。あ。そうだ。あなたは遠慮しない人です。だから、大丈夫だね。それは僕たちがあなたを愛したからそうなっているのです。

私からあなたへ贈る言葉です。「あなたは、あなたのままでいい。」

I have a dream. 私の「夢」は、日本に活動家を養成する学校をつくることです。 私の「モットー」は、Life is Art. Life is Play. -生活をアートできるようになれば既に幸せ-