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【青い春夜風】

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悩める2人の不登校少年と、その2人を3年間担任した1人の若い熱血教師の物語。「青春とは何か?」という問に対して、3人は答えを見つけることが出来るだろうか。
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2023年7月の記事一覧

【あとがき 青い春夜風】

【あとがき 青い春夜風】

 お付き合いしてくれた皆様、ありがとうございました。「青い春夜風」、昨日完結させることができました。

 「書こう!」と思ったきっかけは2つ。ひとつは、もう30手前になるのに社会からはみ出してしまった私が改めて「青春とはなんぞや?」と思い、私自身が青春を感じたくなったことです。
 ふたつめは、今問題化している不登校生徒の増加と、若手教員の離職率について私なりに抉ってみたくなったことです。

 ひと

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【青い春夜風 あらすじ】

【青い春夜風 あらすじ】

 中学2年と3年の境目で、雅と光佑は2人鉄棒に座って1年を振り返り、1年とそれより先について語り合う。2人は中学1年の時に起きた「事件」をきっかけにほとんど登校しなくなっていた。そんな彼らを3年間担任する晴野は、大切な1年間の為に奔走する。青春って、なんだろう?

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青い春夜風 30

青い春夜風 30

Before…

【三十】 二年前に成人となり、今年で二十歳。昔「成人式」と呼ばれていた式典は今「二十歳の集い」なんて呼ばれている。準備を終えて煙草を吸っていると、照れた顔をした幼馴染が時間通りに来てくれた。
「光佑、袴か!似合ってんじゃん!」
 ずっと俺の面倒を見てくれた光佑は予告通り、黒を基調に銀のド派手な袴で登場した。本人はとっても嫌そうだけど。さて、どこから振り返ろうか。まず、中学を出るあ

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青い春夜風 29

青い春夜風 29

Before…

【二十九】 待ちに待った体育祭は、恩師の暴力によってあっけなく中止となった。翌朝、浅い眠りから覚めたのは朝の五時頃だった。雅はきっと起きているが、昨晩ビールを一杯一気に飲んでから、ずっと布団に籠って出てこない。
 昨日の暴力事件を、煙草を咥えて振り返る。いや、あれを果たして「暴力」という言葉で片付けてしまっていいのだろうか。

 登校した俺たちを待っていたのは二年前、結果的に延期

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青い春夜風 28

青い春夜風 28

Before…

【二十八】 天候にも恵まれ、テント上げや放送機器の準備といった直前の準備が終わり、他の先生方と教え子を迎える為に職員室へ戻る途中だった。自転車で三年の生徒が登校してくる姿が見えていたので、「ちょっと教室見てきます」と伝えて他の先生たちよりひと足先に教室へ向かった。
 昨日の夜、遅くまでかかってしまったが「黒板アート」というものに挑戦した。海賊漫画のワンシーンで、腕に仲間の印をつけ

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青い春夜風 27

青い春夜風 27

Before…

【二十七】「今日は早いじゃねぇか、下手すりゃ学校開いてねぇんじゃね?」
「大将は皆の気持ちを盛り上げないと!鼓舞、ってやつよ!」
「大将、なぁ。にしても騎馬戦大丈夫かよ?」
「ど真ん中に光佑いるんだから大丈夫だよ。信頼してるぜ?」
「あいよ、その信頼には応えねぇとな。」
 いつもより三十分以上も早く、俺たちは家を出た。まぁいつもがギリギリ過ぎるので何とも言えないところはあるが、こ

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青い春夜風 26

青い春夜風 26

Before…

【二十六】「今まで本当によく頑張った、グランプリおめでとう!」
 拍手喝采、喜びの余り涙を流す女子、それに引っ張られて笑いながら頬を濡らす男子。夏休みが終わり、期末試験も無事に乗り越えると、我が校は一ヶ月行事ムードが訪れる。感染症の流行でかなり小規模になったままだが、二週間で合唱練習及び本番になるコンクール。九月の下旬から始まった合唱期間、贔屓目抜きに三年三組の団結力が強力過ぎた

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青い春夜風 25

青い春夜風 25

Before…

【二十五】 夏休みのド頭で襲われてから、あれは何事だったのかと思うほど何も起きないまま、夏休みの最終日が訪れた。あれから親父は帰ってきていない。医者には雅のばーさんがその都度連れて行ってもらい、あの怪我はもう完治したと言っていいくらい回復した。

「今日の晩飯は?手伝うよ!」
「んじゃテーブルの上片付けて拭いといてくれ。メシ食ったら俺がシャワー浴びっから、先済ませちまえ。上がる頃

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青い春夜風 24

青い春夜風 24

Before…

【二十四】 安静という自宅謹慎の日々は、一日は長く感じても一週間だとあっという間に過ぎ去らせる。雅のばーさんが町内旅行から帰ってきた後も、雅はうちに泊まってくれた。寝床は一人よか狭く蒸し暑いが、時々傷が痛む時に氷を袋詰めしてくれたり、鎮痛剤を引っ張り出してくれたりと何度も何度も助けられた。

 晴野先生が来てから一週間が経った頃、親父が帰ってきた。八月になったばかりのクソ暑い日の

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青い春夜風 23

青い春夜風 23

Before…

【二十三】 家路を走る車の中で、ぐちゃぐちゃだった頭の中をひとつひとつ整理しようと試みる。
 午前中の部活までは、特に大きな問題も無くいつも通りだった。熱中症対策で午前七時半開始のため、定時より一時間早く出勤した。午後はリフレッシュするために休暇を取得。行きたいラーメン屋があったので、そこで美味いもんでも食べてから買い出しに行って、夕方くらいからのんびりしようと決めていた。

 

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