逃げて良し
ちょうど2週間前、ふと思い立って友人と占いに行った。占いの結果に気分や行動を左右されることはないのだけど、エンタメとしての占いは好きだったし、なんとなく背中を押してほしい気分だったからだ。
わたし「来年フリーランスになろうかと思って」
そう告げたわたしの手相や四柱推命を見る占い師。結果は、イケイケGOGOだ。でもなんだか腑に落ちない。”成功”が手相に表れてるって言われてもな~。本当に「仕事メッチャ上手くいく!」って手に書いてあるわけでもないし。なんだか少しモヤモヤする。
わたし「うーん、でもいいのかなあ。わたし、会社で働くのが苦手で。だから、フリーに逃げてもいいのかなって…」
すると、占い師の男性はキッとわたしの方を睨む。
占い師「逃げる?!」
わたし「えっ」
占い師「逃げるってのはさあ、良くないよね。前向きじゃないよね」
わたし「……」
総合的に”この先、なかなか良し”な占い結果ではあったが、その「逃げは良くない」という言葉が頭から離れず、丸2日間、そのことばかり考えた。
……なぜ逃げちゃいけないんだろう?
そしてもう一つ。
のちに金運が上昇すると言われたわたしと友人。そんな我々に彼はこう言った。「2人とも、順調にいけばちゃんと富を築けるよ。やったね。やっぱりさ、人生”勝ち組”がいいもんね」。この”勝ち組”という言葉も頭にこびりついた。人生における”勝ち組”とは。勝ち組になりたいって気持ちは、世の中のデフォルトな感情なのだろうか。勝ち組になると、どれくらい幸せなのか。うーん、とにかくなんだか気持ちよくないな。お金がほしいかって言われると、全然そうじゃないんだよなあ……。
この日、背中を押してほしいという甘い気持ちで占いに行ったけど、そもそも”わたしがどんな人間か”を知らない相手から「本当にほしい言葉や結果を引き出す」なんてことがまず無理難題であったと反省。その代り、あのあとお茶をしながら友人(もうすぐで10年来の付き合いになる)がかけてくれたシンプルな言葉の方が、わたしの心をホッとさせてくれたのであった。
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話は変わって、2018年12月20日に、週3日だけライティングしに行っていた職場を退職した。7年間社会に身を置いて気づいたことはたくさんある。週5日間働くのがつらいとか、人間関係が難しいとか、色々言ってきたけれど、一番大きかったのは「会社や団体の一員として、みんなと同じ方向を向くことが苦手」という自分を発見したことだった。社長や上司に親愛の念を抱きづらかったり、みんなと同じ信念やミッション感を持って、何かに取り組むことが難しい。だから周りとの温度差が生まれ、考え方にも乖離が起こり、その場にどんどん居づらくなってしまう。
じゃあヒガシノさん、もう社会で何もできないやんけ!と思われるかもしれないが、それはちょっとだけ違う。これが、外部の人間という立場だったら話は別なのだ。社長がどんな想いを持っていて、どんな人が働いていて、どんなサービスを作っていて――そこにどんな理解しがたいビジョンがあろうと、人間性の違いを感じようと、フムフム、面白いね!って興味を持てる。難しい注文だったり、サービスを理解できず頭がこんがらがりながらも、その会社・商品・働く人々を魅力的に見せようと、頑張って文章を書ける。
それがなぜなのか?という理由は、正直よく分からない。(たった少しの意識の違いなのかもしれないが……)分からないけど、わたしは「一歩外に出た人間」として、どこにも属さない立場の方が、ちょっと気持ちがピリッとして、そしてイキイキとして居られるらしい。これは世紀の大大大発見であった。
2018年12月20日に退職してから、もろもろ準備をはじめた。3日間かけて部屋の片づけを行なったり、ノートPCを頼んだり。それから、フリーランスの『節税』に関する本も読んだ。というのも、この2年間わたしは「週3日会社勤務&それ以外の日はフリーで仕事」という、半分フリーライターとして働いてきたので、保険関係は会社側が払っていた。しかし来年からは、完全フリーの立場。保険も年金も全部切り替えなければならない。
節税の本を読み進めるにつれて、どんどん不安が募ってゆく。付箋の数が増えるたびに、居てもたってもいられなくなる。一般的な会社員より保障も受けられる待遇も少ないフリーランス。これで本当に食べていけるのだろうか?ちゃんとお仕事をもらえるだろうか?好きだからフリーになったんだ!なんて言っていたけど、本当は不安だから豪語していただけかも。お金の管理も、節約することも苦手。とにかく不安。少しだけ、泣く。
それから今、綺麗になった部屋でこのnoteを書く。少し落ち着いた。退職してから、毎日自炊。なんていうか、びっくりするほど健康だ…。
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あの占い師の男性が言った「逃げは良くない」は、単純にわたしのマイナスな言葉に対する鼓舞であっただろう。でも、わたしは逃げないと心も体もどうにかなってしまうので、これからも前向きに逃げていきたい。とはいえ逃げた先でも全然上手くいかず、また途中で逃げ出したとしても、それもまあ”良し”だろう!
それから”勝ち組”になりたいかどうかって話。来年からのわたしは「さーて!来月もまともに生きれるか?!」みたいなドキドキ生活が始まるので、毎月、ちゃんと生きれるだけのお金が稼げればそれはもう勝ち組、優勝間違いなし。(やったね!)
退職した日の電車の中で、5年前、入院中の父が、正社員じゃないフワフワしたわたしの身を心配していたことを思い出した。でも結局わたしは一度も正社員になることはなく、「お父ちゃん、こんな生き方になっちゃいました!」と電車に揺られながら報告した。
たくさん話しましたが、とにかく来年からも、みなさんに面白おかしく、自分の日々をお伝えできるといいなと思っています。同時に、フリーライターとしていっちょ修行してみます。
それでは、今年もありがとう。
また来年。
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※原稿・漫画のお仕事依頼は大歓迎です!
noteでは好き勝手に、てにをは・誤字脱字もごっちゃごちゃに書いていますが、お仕事はしっかりとやらせていただきますので……。
(求人広告・広報・インタビュー系を中心に取り組んでいましたが、今後はそのほかのジャンルにも挑戦していく予定です!)
もし何かございましたら、お気軽にご連絡ください!
medama.kaisya@gmail.com
2018年12月29日 ヒガシノメーコ
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