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本と本屋にまつわる色々

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本屋巡りや間借り以外での、本とか本屋とかについて考えたこと
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記事一覧

版元日誌「「たくさん売る」以外の在りかた」を読んで

はじめに

版元ドットコムで「「たくさん売る」以外の在りかた」という記事が出ていました。これを読んでみると個人的に「あ、ここ興味深いな」と思ったところを見つけたので、以下、書いてみます。今回書く内容を一言で表すならば、「近世出版の制度に似ている」です。これ以降は説明です。
noteにも記事があるので貼っておきます。

※過去の制度と見比べて「あ、これ、〇〇(任意の制度名)と似てる!」とやるのは雑だ

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年の瀬にお知らせ(C101向け寄稿)

年内最後のご報告です。

「国会図書館のすごし方 突発ペーパー」に1本寄稿しました。「寄稿しました」、というのもなのですが、今回のネタ元は自分です。

このツイートを拾っていただき、あれよあれよと話が進んで1つのものにしていただきました。
本ペーパーの寄稿者には、『調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』(皓星社)の著者である小林昌樹氏や皓星社、兼近代出版研究所の河原努氏などがおります

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ちょっとしたお知らせ

ちょっとしたお知らせです。別にnoteやめますとかそういう話ではありません。

おしらせかねてよりBOOKSHOP LOVERで連載をしている「松永弾正の本屋紀行」、連載開始から最近までの記事をまとめ直し、1冊の本にしました。
書名は『本屋の周辺Ⅰ AROUND THE BOOKSTORE』。

版元は、いつもお世話になっているH.A.Bookstore。『あの本屋のこんな本 本屋本書評集Ⅰ』など

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有隣堂古書部について調査をしてみる 2

有隣堂古書部について調査をしてみる 2

今回のお題さて、前回の「有隣堂古書部について調査をしてみる」からしばらく経ってしまった。今回は有隣堂の社史を読み比べていこうと思う。本題から少しそれるような形になるのはご容赦願いたい。

有隣堂の社史確保状況日本の古本屋にて『有隣堂七十年史』と『有隣堂百年史』を確保することができ、手元には『有隣堂七十年史』(以降『七十年史』)、『有隣堂八十年史』(以降『八十年史』)、『有隣堂100年史』(以降『百

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若葉台(横浜市)本屋案内

若葉台(横浜市)本屋案内

開店初日に行ってきました。

BOOK STAND 若葉台若葉台。と言うとおそらく北海道を拠点とするコーチャンフォーがある京王相模原線の若葉台を思い浮かべると思います。今回はその若葉台ではなく、横浜市にある若葉台です。
こちらの若葉台は、十日市場・青葉台・長津田・三ツ境・鶴ヶ峰・横浜からバスで行けるところにあります。週1本、南町田からもバスがあるそうです(免許維持路線)。
そんな若葉台に2022年

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本屋でフェアをやってみた 5

いざ当日準備をしていただき、12月31日、2021年もあと1日というところでフェア開始となりました。自分も棚がどのようになったのか気になったので現地を訪れてみました。

やはり大型本の面陳はインパクトありますね……というのは置いておいて、自分で選んだ本が本屋に並ぶというのはなかなかに壮観でした。店長に挨拶をし、棚を見せてもらいつつ棚の配置を再検討。ついでにこの時は『一万円選書』(ポプラ社)を挿す旨

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本屋でフェアをやってみた 4

フェアの切り口を考えるやり取りをした中で、並べ方を少しばかりイメージしていましたが明確に思い浮かばず…そのため、それぞれの本について「テーマ」を設定しざっくりと考えていくことに。
その中で、おぼろげにテーマが3つ浮かんで来ました。

「本屋」を旅する

本屋の「人」を旅する

本屋の「システム」を旅する

まず『「本屋」を旅する』。こちらはこの3つの中で一番広いテーマです。ブックショップガイドやパ

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本屋でフェアをやってみた 3

リストから本の調整、その前にリストを送った後、このフェアについて返信が来ました。
そこには「ららぽーと横浜という立地上、主な客層はファミリー層である。そのため、都心の本屋で同じようなフェアをやるような反応は期待できません。」とのこと。
テナントの性質上、客層がファミリー層である旨は既に把握していたので個人的には問題ないかなと思っていました。いかんせん、ららぽーと横浜自体そこそこ行ってるので…
むし

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本屋でフェアをやってみた 2

2回目の今回は、企画応募~やり取りについて書いていきます。

企画への応募、その前にららぽーと横浜店がフェアを募集しているツイートを発見し、早速メールを送ってみました。この時は自分の企画がOKになるとは思っておりませんでした。
その理由は、自分が出版関係者ではないためです。
あくまでもこの企画は「出版業界」にいる方向けのもの。それに趣味で本屋を回っている人間が応募するのです。ほぼ100%弾かれるだ

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本屋でフェアをやってみた 1

本屋でフェアをやってみた 1

はじめに今回から数回にわたって、2022年1月にあった「本屋で本屋を旅する」フェア@紀伊國屋書店 ららぽーと横浜店 について書いていきます。
なお、この一連の記事について、note等の媒体へ書くことを紀伊國屋書店 ららぽーと横浜店の店長より承諾いただいています。また、各回の原稿についてもチェックいただき、OKをいただいております。
この場を借りて改めて御礼申し上げます。
また、このフェアに際し、本

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古書店系図を作ってみる 2

一誠堂を起点とした古書店系図(暫定版)今回は、神田神保町にある一誠堂書店から独立した店を系図としてまとめてみた。
なお、それぞれの店舗から独立した書店については、調査してわかった時点で加筆するため、今回のは暫定版とする。
なお、基本的に氏名は敬称略で記載する。予めご容赦いただきたい。

上記以外にも様々な古書店のご子息など(高尾書店(大阪)の高尾武彦など)が一誠堂で修行をしていたようだが、この系図

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古書店系図を作ってみる 1

古書店系図を作ってみる 1

はじめに古本屋を回っていて気になることがある。「うちはXX書店(XXは任意の本屋)で修行していた」、ということだ。
つまるところ、その古本屋ができる前に店主が働いていた古本屋をまとめておきたい。そうすると自分の中でも整理ができるのではないか、とふと思い浮かんだので、ちょっとやってみることにした。

同様のことをやっているものはあるか?答えはYes。『五十嵐日記』巻末に、神保町の南海堂書店関連の系図

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有隣堂古書部について調査をしてみる

有隣堂古書部について調査をしてみる

はじめに神奈川県横浜市に本店がある新刊書店有隣堂。数種類のブックカバーを選ぶことができたりブックカバー自体の販売もやっていたりなどしている(今回は関係ない)。また、出版事業も行っており、神奈川県のご当地版元にもカウントできる、はず。
そんな有隣堂だが、戦前に古書部を持っていたようなので、ほんの少しだけ調べてみようというモチベーションになったので備忘録目的で書いてみよう。
※なお、本件については調査

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本屋本トーク3回目をやってきました

さて、昨年末辺りからやっている本屋の本の本の話。今回で3回目となりました。
前回までの2回は主に自分がマシンガンの如く話すだけでしたが、今回は雅子ユウさんメイン回です。
主に外地の本屋・流通の話です。大阪屋號書店とかの話とか出てきます。
『桂馬の高跳び』、『植民地時代の古本屋たち』、『満洲出版史』、『資料年表 日配時代史』辺りを持っていると「あ、この人達ここ話しているのか」となると思います。

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