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若葉台(横浜市)本屋案内

開店初日に行ってきました。

BOOK STAND 若葉台

若葉台。と言うとおそらく北海道を拠点とするコーチャンフォーがある京王相模原線の若葉台を思い浮かべると思います。今回はその若葉台ではなく、横浜市にある若葉台です。
こちらの若葉台は、十日市場・青葉台・長津田・三ツ境・鶴ヶ峰・横浜からバスで行けるところにあります。週1本、南町田からもバスがあるそうです(免許維持路線)。
そんな若葉台に2022年8月27日、新しい本屋ができました。

店舗外観

運営はBOOK TRUCK。様々なところに車で出店する、BOOK TRUCKです。二子玉川本屋博にも来ていたので、知っている方はかなりいるかと思います。
棚についてはクラウドファンディングのページの方が詳しいですが、初日見た限りでは、新刊多め。古本で目立っていたのは平凡社の『国民百科事典』と『暮しの手帖』。あと、反町茂雄の『一古書肆の思い出 1』(平凡社ライブラリー版)などがありました。新しくできる新刊書店だと、よくミシマ社などの本がセレクトされがちなのですが、あまり見かけず。学参や子供向けの本、漫画も取り揃えており、地域の本屋を指向しているように感じました。
個人的には建築関連のデザイン本とか料理本が面白かったです。
初日なのでまだまだ本がこれから増えていくと思うので、今後が楽しみな1軒です。
店内ではコーヒーとクラフトビールが飲めるようだったので、せっかくなので中国産のコーヒー豆を使ったアイスコーヒーを飲んでみることにしました。かなりスッキリした中にちょっと甘い感じがしました。中国産のコーヒー豆、というのはここに来るまで聞いたことがなかったです(勉強になりました)。

ちなみに、BOOK STAND 若葉台はクラウドファンディングをやっています。

若葉台の本屋について

さて、今回伺ったBOOK STAND 若葉台、この場所には以前本屋がありました。この跡地をわかばダイバーシティスペースWakkaが使用し、その一角に本屋がある、というようです。
BOOK STAND 若葉台の前はというと、福家書店がありました。

未だに書き換えられていない看板(福家書店の存在はまだ確認できる)

この福家書店、BOOK STAND 若葉台のクラウドファンディングでは2019年の夏に閉店したと記載がありました。急ぎで書いているので自分ではまだ正確な閉店時期は調べておりませんが、ここ2・3年での閉店であることは間違いなさそう、と思っています。
福家書店の前にも同じ場所には本屋がありました。軽く店で話を伺った時に「有隣堂」が出てきたので、帰宅して手元の社史を参照したところ、たしかに有隣堂がありました。自分も若葉台に近いところがかつての生活圏でしたので、有隣堂があったことはおぼろげながらに記憶がありました。
昭和57(1982)年11月17日から平成16(2004)年2月4日まであったことを、社史から確認できています(『有隣堂百年史』)。
手元には有隣堂古書部の調査のために買っておいた『有隣堂七十年史』、『有隣堂八十年史』(以降『八十年史』)、『有隣堂百年史』(以降『百年史』)がありますが、この中で若葉台店について記述があるのは『八十年史』、『百年史』の2冊(『七十年史』は若葉台店開店前のため、記述なし)。開店時について詳細にかかれているのは『八十年史』、閉店については『百年史』が詳しく書いているので、それぞれ引用してみます。
まず、開店時について。

…(前略)…
この若葉台居住者のためのショッピングや憩いの場として、若葉台ショッピングセンターが開設され、その1階専門店街(41店舗)に当社の出店が要請された。
 従来の出店立地と異なり、マンモス団地の中心地への出店ということで、「横浜市北部における拠点として、地域住民の需要に応える」ことを目的に出店が計画された。
…(中略)…
 昭和57年11月17日、書籍・文具を扱う若葉台店(90.2坪)、音楽教室を中心として若葉台ミュージックセンター(54.9坪)がそれぞれ開店した。

有隣堂八十年史

有隣堂出店当時のコンセプトも引用しておきます。

…(前略)…
「店づくりの特徴としては、店内におけるお客様との会話、レファレンス業務に重点をおき、地域住民のコミュニケーションを大事にする店づくりに主眼をおいています。ですから、地域文化の一角を担う店であると同時に、地元の皆さんと一緒に育っていく店、そんな感じの店にしていきたい」

有隣堂八十年史

上記の内容を述べたのは初代店長であった山根建樹氏という方。山根氏は若葉台店開店後、昭和62(1987)年9月に横浜高島屋書籍売場に異動していることまでは掴めました(『百年史』より)。

この有隣堂若葉台店、1階は本屋でしたが2階にはミュージックセンターが開設されていました。ミュージックセンターについては以下の通り。

 一方、若葉台ショッピングセンターの文化教室の開設構想に対し、若葉台入居主婦の80%を20~30代が占めることから、楽器本部も音楽教室の開設を意図し、同センターの2階に5教室開設することになった。

有隣堂八十年史

閉店については以下の通り。

平成13年(2001)2月もシァル文具センターを閉じたのを皮切りに、同15年(2003)12月にはニュースパーク店、翌16年(2004)2月に若葉台店を閉鎖した。
…(中略)…
若葉台店は採算面では問題がなかったものの、設備の老朽化が進み、長期的な展望に立っての再投資の見通しが立たなかったことによる。

有隣堂百年史

この辺の判断については、人口動態とかを照らし合わせながら見ていくといいのかもしれません。


ダイバーシティスペースWakkaについては↓が詳しいので、貼っておきます


今回買った本

今回買った本は『若葉台団地 夢の住まい、その続き』の一冊。ちょっと「幻冬舎の本か……」となってしまいましたが、購入。かつての生活圏に近い場所だったのですが、近い故に知らないこともかなり多いはずというのが購入理由。そういえば若葉台も学校の統合があったな、となりましたね。
もしかすると、有隣堂撤退の理由、若葉台団地の高齢化が一つあったのか、とか思ったりしています(根拠はない憶測です)


BOOK STAND若葉台のアカウントは↓


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