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Rivian(リビアン) IPO解説

これまでにAffirmLemonadenCinoPoshmarkCoinbaseCourseraMarqetaRobinhoodDuolingoWarby ParkerのIPOの目論見書の分析をnoteで配信してきました。

(また有望なSPAC上場企業を見つけることを目的として、BAKKTGrabのSPAC上場の分析も公開しました。)

IPO/グロース株の個別投資検討の際に、「会社が見せたくない部分」まで記載された目論見書を読む事は基本的な情報収集方法のひとつですが、英文300ページ以上にもなる目論見書を隈なく読む時間がない方もいらっしゃると思います。こちらのシリーズは日米でのIPOの実務経験を持つ私が、目論見書を読み込み、基礎的で重要な部分をまとめたもので、米国スタートアップのトレンドを把握されたい日本のベンチャーやVCの方にオススメです。また、このシリーズは創業者のバックグラウンドやビジネスモデルに重点を置いて分析していますので、タイムマシン経営を考えている起業家の方や、今旬の米国のスタートアップがどのようにして成長しているかに興味がある方にも役に立つと思います。

今回は、個人的に今年最も注目するIPOとなる、ピックアップトラックのEV(電気自動車)のリビアンのS-1(目論見書)を分析します。

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それでは会社概要から見ていきましょう。

■会社概要

社名:Rivian Automotive, Inc.
創業者:Robert J. Scaringe
設立:2015年
本社:アーバイン(カリフォルニア州)
拠点:カリフォルニア(パロアルト)、アリゾナ、バンクーバー、オランダ、UK
従業員:約6,274名
業務内容:ピックアップトラック・SUVのEV(電気自動車)

■IPOの概要

上場日:未定(2021年10月)
上場市場:NASDAQ
ティッカー:RIVN
主幹事:モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、JPモルガン
売出し株式数:未定
売出し価格:未定
調達予定額:$8bn
予定時価総額:$80bn

今回はSPAC上場でも、ダイレクトリスティングでもなく通常のIPOの形式で資金調達も企図されています。この3社がつけばホットディールと言われているモルスタ、GS、JPモルガンを代表のアンダーライターとして迎え、株式を引き受ける(証券会社が一度株式を買取りマージンを乗せて売り出す)シンジケート団には他に20の投資銀行が名を連ねています。

日系の投資銀行としては、8番目と10番目にみずほ証券と野村証券も入っていました。野村証券は欧州のリーマンブラザーズを買収したこともあり、最も海外でも、最もと言って良い程、有名な日系の投資銀行です。また、北米のみずほ証券はテックに強いシニアバンカーを何人も引き抜いて強化した背景もあってか、今回シ団に入っているようです。

このようなトップクラスのIPOに日系の投資銀行が入っていることは珍しく、今まで10件の米国IPOの目論見書をnoteにまとめていますが、過去に日系の名前が入っていたのはロビンフッドのみずほ証券だけでした。野村証券とみずほ証券の2つの日系の投資銀行の名前が入っている本件は珍しいディールと言えると思います。

また今回のIPOでリビアンは$8bn(約8,000億円)の資金調達を行う予定で、時価総額は最大で$80bn(約8兆円)となると報道されています。$8bnの調達は過去10年間の米国企業の調達額で、4番目に大きいものです。

■創業者:MITで博士号を取得した秀才:18歳の頃からの夢を叶え、イーロンを凌ぐ若さでIPOする「完璧」な人物

Robert J. Scaringe (ロバート・ジェイ・スカリンジ)

リビアンは元々、メインストリーム・モータースを前身として2009年にロバートが創業した会社です。ロバートはフロリダで育ち、小さいころから近隣の住民のガレージでクラシックカーをリストアしたりしていました。ボンネット、フロントガラス、エンジン部品を部屋に保管していたりするほど、車が大好きだったそうで、18歳の時には自分で車のメーカーを立ち上げることを志していたそうです

ロバートは、エンジニアリングの領域で全米でもトップに君臨するMITにて、機械工学の博士号を取得しています。更に所属していた研究所は「オートモーティブ・ラボ」で、車に関する最先端の技術の専門家です。彼は博士号を取得した後の、2009年にリビアンの前身のメインストリーム・モータースを創業しました。その後何度かピボットして2015年にリビアンを設立します。

彼はアウトドアが大好きで、ハイキングや自転車に乗ることが趣味です。アウトドア好きというところも、自らの趣味の経験を活かしてピックアップトラックやSUVの電気自動車を開発したことが分かります。

また、環境に対する問題意識を強く持っていて、今はわかりませんが、彼自身動物由来の食品を食べないヴィーガンだそうです。環境に配慮した生活を送っていることからも、環境に配慮した自動車であるEVを開発するパッションがあることが分かります。

彼は1983年生まれで、IPOが実現すれば38歳の若さで自分の設立した会社を上場させることになります。テスラのIPOは2010年で、イーロンマスクが39歳の時のIPOでした。つまり、あの天才と言われているイーロンマスクよりも1歳若い年齢でEVの会社を上場させるということです

また、リビアンはイリノイ州にある三菱自動車が保有していた工場を買取り、量産化の主要拠点にしました。このあたりも、トヨタの工場を買取ったテスラと似ている点で、ロバートがイーロンマスクと比べられる一因となっているようです。

小さい頃から情熱を注いできた車の領域で、全米トップ校の博士号を取得した後に起業し、18歳の時からの夢を叶え、イーロンを凌ぐ若さでIPOをする「完璧すぎる人物」です。ちなみにロバートは結婚していて子供は3人いるそうです。ちなみにロバートのサラリーは$650kでボーナスも同じく$650kと年間$1.3mmの年収となっています。

■基本ビジネスモデル: アウトドア向けのトラックとSUVの電気自動車のD2C

リビアンはコンシューマー向けにピックアップトラックとSUVの電気自動車を販売しています。この2つのモデルに加えて、商用向けのバンのEDVが発表されています。

リビアンは他の自動車メーカーと同じく、自動車のデザイン、開発、製造を自社で行なっています。販売に関しては、従来の自動車メーカーはディーラーを使って販売しますが、リビアンはオンラインで販売を受け付けるD2Cモデルを採用し、消費者に直接販売しています。テスラも自社経営のショールームやサービスステーションで車両を販売するD2Cモデルで販売を行なっていて、EV業界はD2Cモデルがスタンダードになりつつあります。

リビアンが最初に開発したのはR1という車のシャーシ(プラットフォーム)でした。このR1というシャーシを使ってコンシューマー向けに開発されたのがフラッグシップモデルのR1T(トラック)とR1S(SUV)です。

R1T(トラック)とR1S(SUV)は所謂「ライフスタイル」や「アウトドア」のブランドイメージを強く打ち出していて、高級路線のテスラとはまた違ったかっこよさがあります。「家族で乗れる」「雪道も山も走れて、アウトドアで使えるEV」という独自の路線を打ち出しています。

リビアンは2018年にロスアンジェルスで行われたモーターショーでR1T(トラック)とR1S(SUV)をサプライズで発表し、その完成度の高さから大きな注目を集めていました。その後合計で約$11bnの資金調達を行い、両R1モデルの量産化のためにイリノイに工場を設置していました。

■簡易財務分析

リビアンは2019年、2020年、2021年の上半期で売上を計上していません。最初に販売されたモデルのR1Tは今月(2021年9月)から納車であるため、2021年の下半期から売上が計上されるものと考えられます。その為、掛かったコストのほぼ全てがNet Lossとして計上されています。また、2020年にはNet Lossが前年の倍以上になっていますが、これは量産化の為のイリノイの工場を整備する為に投資を行った為です。

■新車販売以外での売上も計画

リビアンは将来的に新車販売以外からの売上を計画しています。車両のマネジメントシステム、アクセサリーの販売、ローンや保険、配達(納車)費用、充電、ソフトウェア、メンテナンス、中古車再販でも売上を上げる予定です。下記は一台あたりに計上出来る金額(000’)をまとめたものです。

■海外展開:北米→EU→APAC

IPO時点ではリビアンのサービス提供は米国とカナダのみに限られています。近い将来海外への展開を予定していて、北米の次はヨーロッパ地域での販売を予定しています。その次に主要なアジアパシフィック市場にも進出する予定であると記載があり、日本への進出があるとすると、EU市場進出の後になりそうです。

■旗艦モデル①R1T:2列シートの5人乗りのトラック

↑ブランドイメージが伝わりやすい動画で是非ご覧ください。
動画再生できない環境の方向けの画像↓

R1Tは2021年の9月から納車が始まった車種です。2列シートの5人乗りのトラックで写真のようにテントを張ることも可能で、アウトドアでの利用が想定されています。

R1Tの販売価格は$67,500〜$73,000です。

キッチン付き

IHクッキングヒーターと15リットルの水が貯水出来るタンクに加え折りたたみ式のシンクが備わったキッチンがついています。

■旗艦モデル②R1S:3列シートの7人乗りのSUV

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R1Sは2021年の12月から納車が始まる車種です。3列シートの7人乗りのSUVで砂漠や雪道を走ることが想定されています。

R1Sの販売価格は$70,000〜$75,500です。

■R1TとR1S共通①:パノラミックルーフ

R1TとR1Sの両車種は、天井が後部座席の方まで全面ガラス張りになっていて昼でも夜でも空を見渡すことができます。

■R1TとR1S共通②:サウンドシステム、ヴィーガンレザー

スピーカーはMeridian製のハイエンドスピーカーを使用しています。また、非動物性のレーザーを使ったシートを採用し、環境にも配慮しています。

■予約販売申し込み者にも株式が割り当てられる可能性

2021年9月末の時点で、R1TとR1Sで合わせて48,390台の販売予約が既に入っています。リビアンは今回のIPOに際して、「Directed Share Program」という株式の割当プログラムを設定しています。前述の20の投資銀行が株式大半を売り出しますが、残りの株式はこのプログラムによって、リビアンの従業員と役員に加え、2021年9月末の時点でR1を予約している48,390人にも割り当てられる可能性があるとのことです。

■米国のトラックとSUV市場が成長→トラックEV市場は競争激化

日本ではピックアップ・トラックはあまり馴染みがないかもしれませんが、車道が広く、海、川、山、ハイキング、キャンプなどの自然のレジャーがより一般的な米国では人気のある車種です。2010年から2019年9月までのセグメント別新車販売台数を見ると、ピックアップトラックのシェアはグローバルでは3.7%ですが、米国ではその4倍の14.6%と高い人気となっています。

出展:日経X Tech

2019年の新車販売を車種別で見ると、ピックアップトラックは16.8%です。2010年では13.1%でしたが、3.7%シェアが上昇しています。また、SUVを見ると2010年は27.3%だったシェアが46.8%に上昇し急成長しています。トラックとSUVのシェア拡大に代わってセダン、ハッチバック、その他の車種がシェアを落としています。2019年にはトラックとSUVで63.6%のシェアとなっていて、目論見書に記載の最新のシェアでは70%を超えているようです。

このように米国ではトラックとSUVの人気が強くなっています。このような背景もありテスラもサイバートラックという近未来的なデザインのトラックを発表し既に120万台以上の予約が入っています。フォードも主力EVのモデルの一つにトラックを投入し、GMもハマーのEVの販売を発表し、競争の激しい市場となっています。

■EDV:アマゾンが10万台発注した配達用バン

2030年までに商品配送で排出されるCO2の50%をオフセットする目標を掲げています。その目標達成の一貫で2030年までに配送の為の車10万台をEVに置き換える目標を持っていますが、その目標達成の為に10万台発注されたのがEDVです。

EDVはアマゾンの配達員とともに何時間も運転してデザインされたバンで、アマゾンの配達オペレーションに特化して作られ、500、700、900キュービックフィートの3つのサイズ展開があります。

ちなみに、AWS(Amazon Web Services)もリビアンのクラウドサービスに使われ使用料のディスカウトを受けているそうです。

■サービス拠点と充電ステーション

2021年9月末時点で、リビアンはカリフォルニア州、イリノイ州、ワシントンン州、ニューヨーク州に6つのサービスセンターを設置しています。また、ミシガン州に24時間対応のサポートセンターや米国の30の州に145箇所のリビアンの充電ステーションを設置しています。

充電ステーションは米国とカナダに10,000箇所以上に設置される計画です。

■フォードとの提携

2019年の4月にフォードはリビアンに$500mm(約500億円)の出資をして、株式の5%以上を保有しています。一時期、フォードはリビアンのフレームを使って電気自動車を開発しようとうしていましが、現在は自社のフレームを使って開発を進めているそうです。

■リスクファクター①:テスラからの訴訟問題

直接的な競合であるテスラは2020年夏にリビアンに対して訴訟を起こしています。元テスラの従業員でリビアンに移籍した人は180名近くいますが、そのうちの4名が機密文書をテスラから持ち出していて、リビアンはテスラから情報を抜き出すことを奨励していたとして、訴訟を起こしました。(賠償金の金額は非公開。)

2021年4月にはリビアンはテスラが先にリリースしていた、アプリベースのサービスやリモートで車を診断する機能をローンチしました。そのアプリの機能がテスラのが先にリリースしたものと酷似していると報道がされていました。また、リビアンはテスラのスーパーチャージャーのような急速充電ステーションのネットワークを設置すると発表もしています。

また、つい先日(2021年10月)テスラは「リビアンがテスラの次世代バッテリーのコア技術を盗み、技術盗用をやめていない」という内容を抗議する文書を新たに提出していました。

テスラがこのタイミングで再抗議の文章を提出する動きは、明らかにリビアンのIPOを意識していると思います。リビアンを脅威に捉えているからこそ、IPO直前の大事な時期に追加の文章を提出して攻撃しているものと思われます。

■リスクファクター②:イリノイ州のディーラーからの訴訟

リビアンが抱える訴訟リスクはテスラによるものだけではなく、イリノイ州の車のディーラー達からも訴訟を受けています。イリノイ州のディーラー達はリビアンが採用するD2Cモデルでの販売が州の法律に違反すると2021年の3月に訴訟を起こしました。

従来の車メーカーとパパママディーラー企業
この問題を理解するには、アメリカの車メーカーと地方のディーラーの関係を先に理解する必要があります。イリノイ州のような地方では産業の種類が都市に比べて多くなく、車の販売は地元の経済を支える大事な産業の一つで、カーディーラー業務は、所謂パパママ経営の中小企業が行なっています。ディーラー業務は州法によって規制されていて、車を販売するには州のライセンスが必要です。車メーカーが作った新車をライセンスを持っているパパママディーラー達が販売するという構図は、米国の三大車メーカーのビグ3であるフォード、GM、クライスラーが作り上げたと言われていて、車メーカーがバーゲニングパワーを持っている状態です。元々ディーラー達は、車メーカーの圧力を受けながら新車を販売してきました。また、同時に車の修理などのアフターケアでも利益を得て、生活してきたという背景があります。

テスラが従来のカーディーラーのエコシステムを破壊
このエコシステムに風穴を開けたのがテスラです。テスラは自社の電気自動車を自社経営のショールームで直接販売を始めました。テスラは販売店の出店に際して複数の州で訴訟を受けました。車の販売にはライセンスが必要で、車メーカーによる直接販売は州法に違反するというという内容の訴訟でした。結局テスラは数に制限を受けつつもライセンスを取得し、複数の州で、直接販売するという処置を取っていました。

EVメーカーはディーラーを必要としてしない
今回のリビアンの訴訟の背景も同様で、カーディーラー達がリビアンによる直接販売を阻止したい狙いによるものです。EVメーカーはそもそもカーディーラー達を必要としていません。オンラインや直接経営のショールームで車を販売できるので、その方が中間マージンを省くことができます。また、EVはアフターサービスを従来のガソリン車ほど必要としません。オイル交換もなければ、車のOSはクラウドを通じてアップデートされるので、ディーラーによるサービスも必要ないという訳です。

このようなEVメーカーとカーディーラーの戦いは2010年代の前半から続いているもので、もちろん州政府も巻き込み様々な議論がなされています。州としてはカーディーラーを守ることに加え、車を購入する消費者を守ることも必要です。従来のエコシステムを、大きな視点で俯瞰すると、中間業車であるディーラーは中間マージンを発生させ、消費者の観点からは最適な価格で車を購入することの阻害要因になり得ます。2035年にはガソリン車の新車販売は規制される動きになっていて、今後もEVメーカーのプレゼンスは大きくなっていくことが確実です。一方で、従来のメーカーからの新車販売を実業としている地方のディーラー達には、EVメーカーのD2Cによる販売方法は驚異となっていて訴訟が発生しているという背景です。

■リスクファクター③:初期の売上の柱はアマゾンに偏っている→アマゾンとの関係維持が鍵

前述のとおり2021年9月末時点でリビアンが受けた両R1モデルの予約注文数は4,8390台です。リビアンはアマゾン専用に作ったバンの注文を10万台受けています。

2019年の9月にアマゾンの子会社であるアマゾンロジスティクスとリビアンが結んだ契約は、アマゾンが商品を配達するためのラストワンマイルデリバリーのサービスに向けて、バンのデザイン、開発、製造を行うということに合意をした内容です。

また、最初のバンがアマゾンに納品されてからの4年間、リビアンはアマゾンに専属でバンを提供するという、エクスクルーシブな内容になっていて、リビアンは、少なくともその4年間は別の企業にバンを売ることができません。リビアンはアマゾンからの注文に専属で提供するというリスクを取って応えているということです。

そして、10万台の予約注文をアマゾンから受けていますが、最初のバンがアマゾンに納品されてからの4年間〜6年間の間にアマゾンはバンの注文を止めることが出来て、最終的な注文の台数も確定することが出来る内容になっています。

アマゾンが行なった予約注文に関しては、パブリックになっている周知の事実ですが、実際の内容はエクスクルーシブで、最終発注や台数はアマゾンの意思決定によって変更することが可能となっている内容です。もし、リビアンが提供するバンの質が思ったほど良くなかったり、充電ステーションの開発が出来なかったりすれば、アマゾンは注文台数を減らすということも可能です。リビアンがこれまでにアマゾンバンの開発に費やしてきたコストはアマゾンに請求することが可能な契約に内容になっていますが、最低注文数は規定されていないようです。

前述のとおり、リビアンは次世代バッテリーの技術に関して、テスラからの訴訟問題を抱えています。テスラがリビアンにバッテリーの使用を求めたりするという可能性もあります。テスラからの訴訟がアマゾンバンで使っているバッテリーやその他の技術に波及すると、アマゾンから入っている注文の数に影響を及ぼす可能性もあるため、テスラとの訴訟問題をどのように対処していくかは、リビアンにとって大きな課題になります。

投資家

アマゾン、T. Rowe Price、Global Oryx Company、フォード、Manheim Investmentsが5%以上の株式を持っている投資家です。

感想

EU米国の12の州でも2035年までにガソリン車の新車販売が禁止される動きが活発になってきていて、電気自動車を開発する会社が有望視されています。リビアンの他にもEVの新興上場企業はLucid MotorsやNikolaが挙げられます。両企業は複雑で時間のかかる上場のプロセスを省略できるSPACでの上場でした。Nikolaに関しては技術力を誇大に宣伝して投資家を集めたとして、会長が起訴された事件も起きていました。一方、リビアンの上場は正規ルートでの上場です。正規の上場は管理体制の整備、各種財務諸表の整理やSECが規定する基準をクリアする必要があります。SPACに頼らずに正規のルートで上場出来る力を見せたという点で、他の2社よりも有望であると思います。

リビアンの最大のライバルは販売台数で先を行くテスラで、前述のように訴訟された相手でもあります。テスラは電気自動車の高級路線で成功していますが、リビアンは米国で販売シェアの高いSUV+ピックアップトラックの主戦場での戦いに挑んでいます。テスラの訴訟問題含めて、今後もリビアンの動向に注目していきたいと思います。

投資は個人の判断でお願いします。本分析は株式の購入を勧めるものではなく、ビジネスの分析を趣旨としています。

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参考記事

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