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読みたくなる書評

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読んだ本の書評をまとめた記事です
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#小説

東京都同情塔

東京都同情塔

芥川賞受賞作品で、一次売り切れになっていたので、気になって読んでみました〜

私は弱い人間です。私は私の弱さを知っています。私は私の欲望を完全にコントロールできます。私を動かすものは常に私由来の意志であり、私は私の言葉、行動すべてに、責任を取らなくてはいけません

ユキオ・ミシマの『金閣寺』
「意識の目から見れば、世界は永久に不変であり、そうして永久に不変であり、そうして永久に変貌するんだ」という

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ひと

ひと

琴絵さんがおすすめしていて、北砂の砂町銀座が舞台なので、土地勘もあって面白そうなので読んでみました〜

本当の「孤独」とは、自分を守ってくれる存在がいない状態

与えられた環境で生きる、あるいは生かされている。こういう心境になれたら「奪う」「勝ち抜く」という考えはなくなりそう

生きるとはそれだけでラッキーなできごと。その前提に立てば、生に対していくらか謙虚でいられる

「生きる」とは生きることを

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AI2041

AI2041

年間ベストブック3冠達成で、山積みになっていたので、気になって読んでみました!AIが変える未来を10個のストーリーで分かりやすく物語として理解できる書籍です

「人工知能」という造語を初めて使ったのはコンピュータ科学者のジョン・マッカーシーで、1956年夏に開催された伝説的なダートマス会議のこと

アマラの法則によれば、「人間は技術の短期的な影響を過大評価し、長期的な影響を過小評価する傾向がある」

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息が詰まるようなこの場所で

息が詰まるようなこの場所で

タワーマンションを舞台した小説で、気になったので読んでみました!

タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者

冬は太陽の高度が低いから、タワマンの高層階だと直射日光が奥まで入ってくる。逆に夏は高度の関係であまり日光が届かないから、イメージと違ってあまり暑くならない

タワーマンションに住んでいる家族同士の思いや、子供の受験など、書かれた小説です。実際に納得できるよ

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傲慢と善良

傲慢と善良

イビサさんが読んでるのを見て、気になったので読んでみました!久々の小説です

現代の日本は、目に見える身分差別はもうないけど、一人ひとりが自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて「自分がない」ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう。不思議な時代

悪意とかそういう

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特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来

特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来

2022年 第20回 このミステリがすごい!大賞を受賞したので、気になって読んでみました!!このミスなので、殺人事件かなと思ったら、特許事件を解決して行く小説で、めっちゃ最近のトピックスなどが入っているよくできた物語でした〜

交渉の材料は、世界に無限にある。法的対応だけだったら、ごねる、潰す、仲良くする、あきらめるの4つだけ。

弁理士の物語は初めてだったので、とても面白く最後まで一気読みでした

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

「本屋大賞 ノンフィクション本大賞」を受賞した、ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローで…」の続編が出たので、気になって読んでみました!
続編の方が、ページ数も少ないのでさくっと読めました〜

よく考えることは大事。誰かのことをよく考えることは、その人のことをリスペクトしていること。物語の息子の言葉が、印象的でした。

ノンバイナリーや、うしろめたさのリサイクルなど、日本にないカルチャーを知れて、

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52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち

2021年の本屋大賞 1位で、他にも多くの賞をとってるので、気になって読んでみました。

52ヘルツのクジラは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で1頭だけのクジラで、たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。世界一孤独だと言われている。

他の仲間と周波数が違うから、仲間と出会うこともできない。例えば群れがものすごく近くにいたとして、すぐに触れあえる位置にいても、気付

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