デザイン情報学科卒業制作展2020

デザイン情報学科卒業制作展2020

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  • デ情卒制展の作品に、ふれる

    2020年度武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科卒業・修了制作展の展示作品のうらがわをご紹介!

最近の記事

【作品にふれる】 #1 怖いハローワーク

怖いハローワーク〜厳しい時代を生き抜いてきた女性たち〜 現在の日本で生きる私たちが当然のことだと思っている「職業権利の自由」は、1946 年に公布された日本国憲法に掲げられた「基本的人権」の一つである。しかしこの自由を女性たちが実際に手に入れ、女性が社会で活躍で きるようになるまでに様々な法の整備と長い時間を要した。江戸、明治、大正、昭和の4 つの時代にかけて実際に起きたストライキや抗争を取り上げ、現代に生きる私たちの視点から当時の社会における女性の立ち位置・教養・身分差

    • 【作品にふれる】 #24 山とともに

      山とともに〜父子の異なる目線から見た林業の魅力と定義〜 森を管理する仕事の林業。私の父もその一員である。林業は命を奪う様な多くの危険が伴う仕事である。それでも父は毎日仕事に向かう。東京都出身である私は、父が林業をする為に家族みんなで限界集落に引っ越した。私が東京に上京してくるまでの18 年間、全てのきっかけが林業にある。自分の意思で林業を選び越してきた父親と、選択権がなかったその子供。林業を職に持つ父親たちとその子供たちに対してインタビューをし、双方の目線から林業に対するリア

      • 【作品にふれる】 #23 いつかの食卓

        いつかの食卓〜はじまりもおわりもない日々〜 この一年間であっという間に日常が失われてしまうことを知ったと同時に、非日常だと感じる日々もいつの間にか日常に変わることを知った。これは決して以前のような日常が再び戻ってきたという訳ではなく、非日常な日々に慣れ、いつの間にかその日々を不変的な毎日だと感じているからだ。過去も未来も意味する「いつか」のように、日常と非日常、過去と未来のように反するものが紙一重に結ばれた世界に曖昧な境界を設けることで、新しい日常のはじまりとおわりに希望を生

        • 【作品にふれる】 #22 Rhythmic Gymnastics×Story

          Rhythmic Gymnastics×Story〜劇的な新体操団体戦のビジュアル提案〜 リボン等の手具を使い、音楽に合わせて演技をし、定められたルールの中で美しさを競うスポーツ「新体操」。その起源の一つに、物語性を重んじたロシアの「バレエ」という舞台舞踊がある。対して新体操はバレエに比べると得点競技なため競技性が強く、衣装も動きやすいようにシンプルなものが多い。そこで「もし、新体操がルール改定で物語性を強く求められるようになったら」をテーマに新体操団体チーム5 人の演技作品

        【作品にふれる】 #1 怖いハローワーク

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        • デ情卒制展の作品に、ふれる
          25本

        記事

          【作品にふれる】 #21 visible

          visible〜まだ知らない人の魅力〜 自分の日記やメモを見返した時、自分でも意外な自分に気が付いたり他人の、その人にとっては当たり前の知識や、知識のつながり方が自分にとっては新鮮だったり面白かったりすることが多々あった。そうした情報は人の中に存在しているのに「見えない状態」になっているために知ることができないのだと気づいた。それなら見えない情報を見えるようにしたいと思った。そのためには、人から情報をアクティブに引き出すことと、自分から調べなくてもパッシブに情報に出会えること

          【作品にふれる】 #21 visible

          【作品にふれる】 #20 弱者の王道

          弱者の王道〜人と映像をつくるために考えたこと〜 これは、私の映像制作に対するジレンマの記録である。大学1 年次より映像制作に参加する中抱いたのは、人と協働することへの底知れぬ愛情と、制作環境への疑問だった。プロデュースや助監督を担うことで実感した「しょうがなさ」を踏まえた上で、 肉体的にも精神的にも強者ではない自分自身が、どう映像をつくってきたのか、作りたいと考えたのか。その思考過程を留書し、課題を残すことが制作の主題となっている。 J佐藤ゼミ M.T  制作の苦労に、そ

          【作品にふれる】 #20 弱者の王道

          【作品にふれる】 #18 遊びでみる人と人の繋がり

          遊びでみる人と人の繋がり 〜「繋がる」UX に着目したゲームデザイン〜 今回私は「人と人が繋がる」とはどういうことなのかを「遊び」という分野に焦点を当て研究をした。アンケートやインタビューを行い、どんな遊びの時どんな体験をし、どんな感情になるのかを収集、分析していった。その分析結果から「繋がる」を最も実感してもらえるUX を落とし込んだゲームデザインを行った。当たり前になりすぎて気にも留めない「人と人の繋がり」というものを改めて意識することで、現在の人間関係や新しい出会いを

          【作品にふれる】 #18 遊びでみる人と人の繋がり

          【作品にふれる】 #17 Unboxed

          Unboxed 〜判断を判断する〜 「女の子だから文系にすべき」「こっちの方が大手だから」「もう30 歳だし、今の彼と結婚しようかな」 人は1日に35,000 回判断をしている。しかし、その判断は本当に自分自身で行ったものなのだろうか。Unboxed は無意識に固定化された認識や価値観のフレームを外し、自分の判断を客観視できるツールキットである。「判断を判断する」過程を経て、より前向きな判断への転換を作りたいと考えた。 今泉ゼミ H.E 制作の苦労に、それぞれのゼミ

          【作品にふれる】 #17 Unboxed

          【作品にふれる】 #16 餞

          餞 向かう先に傾慕と彩りを これは遊具です。 近年の遊具は明るく楽しいものではなく、「 危ないもの」としての位置付けが多く見られます。私がバイトで約半年間触れていた遊具も、少し変わった角度から見ると「危ないもの」でした。たった一歩何かが狂っただけで、社会の中で人間を消耗品のように扱うような環境はどこにでも生まれうる事、それで簡単に人間は壊れる事を体現していました。そんな危うい社会の中でも今まで私が出会った人々の進む未来が傾慕と彩りで溢れるように、もし向かう先が荒廃したとして

          【作品にふれる】 #16 餞

          【作品にふれる】 #15 処方箋文庫

          処方箋文庫 「よみぐすり、処本します。」 ー箱の中の本屋さん 『文学でも一本のカンフル注射くらいのききめはあるのだ。生命にとって。(- 新美南吉)』『小説は劇薬ですよ。魂の病人のサイミン薬です。(- 坂口安吾)』……明日への命をつなぐものでありながら、時には人体に悪影響を及ぼす点において、文学と薬は似ている。処方箋文庫は、前を向くための希望や明るさを与える「安定剤レーベル」と、非日常感やショックを与える「刺激剤レーベル」二種の処本箱から、利用者の心の状態や状況に寄り添った本

          【作品にふれる】 #15 処方箋文庫

          【作品にふれる】 #14 Steak

          Steak 〜心を解き放つ手助けをするドキュメンタリー作品の制作〜 私はこの作品で、親友二人をカメラに収めました。始まりは彼女らが私に家族の話をしてくれたあの日のことです。その時の景色、空気感、時間の流れ方全てを覚えています。この作品を通して私は映像の力で彼女らの言葉や想い、生き甲斐を、目に見える形で表現することで、二人の心情がプラスに動くことを試みました。美味しいステーキもちょっとのスパイスで絶品になる様に、この作品も彼女たちの人生をより素敵にするスパイスになってほしいと

          【作品にふれる】 #14 Steak

          【作品にふれる】 #13 虫臂鼠肝

          虫臂鼠肝 〜恐怖を昆虫の形を介して追求する〜 「恐怖」は絵画作品・映像作品などにおいて、1 つの大きな主題となり得るテーマであるが、その実態は様々であり、特に形と「不安」や「恐怖」との関係性はなかなか説明されていない。本研究は昆虫を題材にし、その恐怖の原因を形と集合という観点から研究するものである。虫臂鼠肝(ちゅうそひかん)とは取るに足らない、くだらないことを言い表した言葉である。概念は雲を掴むようなものに感じられるという部分を皮肉的に言い表した作品タイトルだ。本研究は目的

          【作品にふれる】 #13 虫臂鼠肝

          【作品にふれる】 #12 今日は何食べる?

          今日は何食べる? 〜自炊料理ゲーム〜 このゲームの目的は、配られたカードを組み合わせて、3日間3 食のメニューを作り、コインを最も多く集めることです。3 日間バランスのとれた食事をするためにはよく考えて材料を分配しないといけません。もし材料が足りなくなっても大丈夫。自炊料理は少し材料が足りなくてもなんとか美味しく食べれます。また、略奪、買い物などのチャンスカードによって予期せぬ事態が起こりますので、どう乗り越えるかもあなたの腕の見せ所です。「今日は何食べよう?」とウキウキし

          【作品にふれる】 #12 今日は何食べる?

          【作品にふれる】 #11 陸澄

          陸澄 〜現行の短距離走用「スパイク」シューズの摂理に挑む〜 陸上競技の短距離走に向けたシューズ。現行のスパイクシューズは自らのパフォーマンスを一定の水準以上に保つにあたっていくつかの問題点が見受けられる。それらをあくまで工学的、力学的観点からではなくデザインの観点から見直しを行った。シューズに求められる条件を研究し、そこから従来の製法に改善点を見出した。様々な実験を繰り返し私なりに導き出した最適解を本作品を以て提案する。 白石ゼミ M.Y Q1 卒制のテーマを決めたきっ

          【作品にふれる】 #11 陸澄

          【作品にふれる】 #10 marshmallow

          marshmallow 〜未来生活の思索:融ける家〜 本研究は「2050 年の日本」における生活の在り方を楽観的な技術の進歩予測と悲観的な社会変化予想の相反する要素を組み合わせ、構築しそれでも前向きに過ごす方法をデザインするものである。marshmallow / 融ける家は本研究の中でも「人口減少」と「自動車」に注目した提案物である。自動運転で移動する個室と減築による新しい形態の住宅によって、都市/住宅、住宅/ 移動体という概念を融かす。本研究の鑑賞を通し改めて「未来」を考え

          【作品にふれる】 #10 marshmallow

          【作品にふれる】 #9 Retro Optical Illusion

          Retro Optical Illusion 日本レトログラフィカル紀行 昨今、形を問わずレトロブームが到来している。「レトロ」には、最新の物とは異なった、過去の古き良き時代に思いを馳せることで、社会と自分との繋がりを確認でき安心感を与える力があるようだ。この展示では、江戸時代の絵師、大正時代の図案家、昭和時代のイラストレーターが2021 年の東京にタイムトラベルした際、それぞれの目で見た東京を描いた風景画が展示してある。普段私たちが目にする忙しく疲れた様子の東京に比べ、各

          【作品にふれる】 #9 Retro Optical Illusion