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【作品にふれる】 #16 餞


向かう先に傾慕と彩りを


これは遊具です。 近年の遊具は明るく楽しいものではなく、「 危ないもの」としての位置付けが多く見られます。私がバイトで約半年間触れていた遊具も、少し変わった角度から見ると「危ないもの」でした。たった一歩何かが狂っただけで、社会の中で人間を消耗品のように扱うような環境はどこにでも生まれうる事、それで簡単に人間は壊れる事を体現していました。そんな危うい社会の中でも今まで私が出会った人々の進む未来が傾慕と彩りで溢れるように、もし向かう先が荒廃したとしても自身の輝きに想いを馳せられますように。

木下ゼミ T.M

高山4

制作の苦労に、それぞれのゼミならではのエピソード・・・今年度は、コロナ渦で増えてしまった悩みもありました。デザイン情報学科のみなさんに、卒制の裏側をインタビューしました。


Q1 卒制のテーマを決めたきっかけは何ですか?

私の卒制のコンセプトは「荒廃した遊具」です。まず、遊具について最初から考えていたかというと、体験型のものを作りたいって1年生の頃から卒制を見ながらずっとありました。卒制でやるぞと決めていたのは3つくらいあって、「体験として鑑賞できるもの」「非日常味があるもの」「見に来た人にワクワク感を与えられるもの」を作りたいとずっと思ってきました。なぜ「体験、わくわく、非日常」の軸になったかと言えば、今まで卒制の展示を見ていて楽しいと思えたのが、鑑賞するだけでなく触れられたりだとか、遊べたり、乗れたりだとか、多分乗れるものが好きなんです、おそらく。それで自分が見てて楽しいと思えるものを作りたかった。みんなの記憶に刷り込みたくて、大きなものを作りたかったです。卒展の1号館の遊具ってなったときにあれね!って言われたいです。さらに春からは現場に関係ない職場に行くから、最後に現場ガチガチのことがしたくて。パソコン作業よりも身体を動かしたかったのです。あとは、3年間続けていた舞台美術サークルのepa!も関係しているかもしれないです。私はパフォーマーとして活動していました。舞台をやってた理由がそもそも、私はせっかちなほうで、「ばっ」て出したら「どんっ」て伝わるものがいいんですよ!パフォーマンスは踊ってドンじゃないですか!だから具現化したものが好きです。それで体験とも繋がってきています。
  そしてタイトルの餞。移動手段が馬だった時代、旅立つ人に 馬のはなを行く方向にむけるっていう儀式あって旅立つ人の安全と幸福を願うって意味があります。「体験、わくわく、非日常」の3つ以外にも、ムサビを愛してるから、出会って関わった人の幸福を願いたい、って気持ちも込めながら、鑑賞する人にワクワクしてほしいという思いもあるので、こういうタイトルにしました。
  なぜ「荒廃」をつくるか、というのはアルバイト経験が関係しています。コロナ禍で暇になった時期に、遊具を作るバイトをしてたんですよ。ショッピングモールにあるような立体遊具や、凸凹の地面とかボールプールとかつくって、企画して施工する現場を管理する仕事をしてたんです。いいとこやぁって思ったんだけど、会社のメンツがかわりすぎる、日に日に社員消えてない!?と。ついに3ヶ月が経ち、社長会長以外全員とびました。出張から帰ってこないとか、飲み会から音信不通とか。そこで私が得た学びは「人の心は簡単に壊れる」ということでした。
 子供の遊具作ってる会社なのになんて夢がないんだと、そんな心情で荒廃っていきついたのですが、最初の、体験、わくわく、非日常のコンセプトからは離れられないということと、人はすごく簡単に壊れるということ、そっからそれを踏まえてみんなに幸せになってもらいたいっていう願いも込めつつ企画を進めました。


Q2 このアウトプット以外に別のアイデアはありましたか?

ことばを扱いたい時期もありました。人が壊れてた時って言葉が原因で壊れていっていた。言葉の影響力すごいなと思って。あと去年ぐらいに親とめっちゃ仲悪くて、言葉の威力はすごいんだな・・・と感じ、それを扱いたかったけれど、でもその威力が私にはすごすぎて扱いきれなかったです。その時自分の中でもまとまりをつけられていなくて。最近人生の落ち着きを今手に入れてるんですが、構想を練ってた頃は「ぐっちゃぐちゃパーティー」で。
ぐっちゃぐちゃパーティの理由としてはコロナ、家にこもるのが苦手すぎて。

あとはSNS広告のバイトをしているので、他の人よりもそっちが得意なんじゃないかなって思って、縦型広告の卒制も考えました。SNS広告をデ情でやってる人は少ないですし。でもやめちゃいました。社会出たらどうせやるしと考えまして。人より好きなだけで、広告業界の人ほど好きじゃないんですよね。広告のお仕事が大好きな社員さんは、Tiktokを休日にずっと見て流行をキャッチアップしていたり、自分はそこまでにはなれないな、と感じました。






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