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【作品にふれる】 #20 弱者の王道

弱者の王道〜人と映像をつくるために考えたこと〜
これは、私の映像制作に対するジレンマの記録である。大学1 年次より映像制作に参加する中抱いたのは、人と協働することへの底知れぬ愛情と、制作環境への疑問だった。プロデュースや助監督を担うことで実感した「しょうがなさ」を踏まえた上で、 肉体的にも精神的にも強者ではない自分自身が、どう映像をつくってきたのか、作りたいと考えたのか。その思考過程を留書し、課題を残すことが制作の主題となっている。

J佐藤ゼミ M.T 


制作の苦労に、それぞれのゼミならではのエピソード・・・今年度は、コロナ渦ならではの悩みもありました。みなさんに、卒制の裏側をインタビューしました。


Q1 卒制のテーマを決めたきっかけは何ですか?

自分の4年間を振り返ったときに、やはりずっと続けてきた映像制作を取り上げたいなと思いました。

まず、映像制作の場がとても好きなので、関わった作品のメイキングを撮ろうと。
そして、写真だけではなく、制作の裏側を文章で残しておきたいと思いました。

私は表現者だけではなく、表現を成立させる立場になりたいと考えています。映像でいうとプロデューサーですね。

映像は他の分野に比べてお金も時間もかかるので、ブラックといわれることが多く
まわりのスタッフにそれをさせるのがつらいなと思っていました。
でもこれから仕事を続けていく内に
その申し訳なさに慣れてしまうような気がして、
今の自分の視点を形にしておきたいなと感じました。

学生の集大成としてというよりは、
これからの自分に対して今何を残せるか、伝えられるか、と考えて
このテーマを取り上げようと思いました。

伊藤1

伊藤3


Q2 ゼミのおはなしを聞かせて下さい。

J佐藤ゼミはとにかく話を聞いてくれるゼミです。先生をはじめ、ゼミ生みんなが。
がんじがらめになっていたときに、はなすことで悩みを消化することができたと思います。撮った写真も、どれだけの量を撮ってもちゃんと見てくれます。
今年はSlackで個々人がオンライン上でも作品相談できるようにしていました。私は日記を載せていて、みんなすぐ反応してくれるので嬉しかったです笑

伊藤4

Q3 制作中の苦労や悩みはありましたか?
最初は解決策を提示しようとしていて海外の映画制作に対する助成金のあり方を調べたり、本を読んだり、プロデューサー、監督の方に話を聞いたりということをしていました。
でもそのなかで、みんなやりたいことは近いし、志を持っている人はいる。でもそれを実行することが難しいんだと実感しました。
そのときはものすごく壁を感じて、途方もないなという気持ちになりました。
 1960年代のプロデューサーの本でも同じことを言っているような中、実際に商業現場でのプロデューサーを経験したことがない私が卒制としてまとめても、ただの机上の空論になってしまうだろうと思いました。
 だからこそ、俯瞰ではなく常に素直な私的な視点を意識するようにして、日記を形にすることを選びました。調べたものももちろん大事に取っておきますが、製本した日記というのは、今しか残せなくて、後から変えようがないものなので、主旨に合っているんじゃないかと。先生には「5年後みて恥ずかしくなるようなものにしな」と言われましたね。もう既にちょっと恥ずかしいです。

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