【作品にふれる】 #23 いつかの食卓
いつかの食卓〜はじまりもおわりもない日々〜
この一年間であっという間に日常が失われてしまうことを知ったと同時に、非日常だと感じる日々もいつの間にか日常に変わることを知った。これは決して以前のような日常が再び戻ってきたという訳ではなく、非日常な日々に慣れ、いつの間にかその日々を不変的な毎日だと感じているからだ。過去も未来も意味する「いつか」のように、日常と非日常、過去と未来のように反するものが紙一重に結ばれた世界に曖昧な境界を設けることで、新しい日常のはじまりとおわりに希望を生み出せないかと思い、家族の食卓を舞台に短篇映画を制作した。
今泉ゼミ E.A
制作の苦労に、それぞれのゼミならではのエピソード・・・今年度は、コロナ渦ならではの悩みもありました。みなさんに、卒制の裏側をインタビューしました。
Q1 卒制での悩みや苦労は何ですか?
悩みはたくさんありました。
今回のテーマが「日常」と「非日常」という二つの軸でした。
カメラワークを固定する撮り方を採用したのですが、これがとても大変でした。
固定するということは、同じ画角のシーンを一気に撮らないといけません。
カット1のシーン1〜シーン7を同じ画角でとらなければなりません。
例えば、食べ物を差し出すシーンが飛ばし飛ばしにいくつかあるすると、全て同じ画角にしないといけないので、だいぶ先のシーンの分まで必要な食べ物を一気に用意して、だいぶ先のシーンを先にまとめて撮ったりするんです。
だから時系列順に撮れず、苦労しました。
また、日が変わると食べ物は作り直さない新しく用意しないといけないので、2つのケーキを毎回作り直していました。
撮影終わりに必ず食べてもらっていました。全部で8個くらい作ったと思います。
あとは、家の中で「キャー!」とパニックになるシーンがあるのですが、
閑静な住宅街で撮っているので、音を気にしつつ、しっかりとパニックの雰囲気を作るのに苦労しました。目玉焼きを割ってパニックになるシーンでしたが、役者さんにとっては目玉焼きを割ってパニックになった経験なんてないと思うので、やりにくかっただろうなと感じます。
私としても、こういう風に表現してください、と明確に伝えるのが難しかったです。
Q2 制作を通してのアドバイスは何かありますか?
「香盤表をしっかり書く!」です。何時までにこれは撮り終わる、としっかりきめると良いです。当たり前のことだと思いますが、私はそこがきっちりできてなくて、仮撮影をしてみたら全然撮り終わりませんでした。料理なども全て用意するところから時間を測ってやってみたのですが、結局予定していた全体の6分の1しか撮れませんでした(笑)
Q3 ゼミでのエピソードを教えて下さい。
テーマは決まったけど、どう映像化したらいいか迷っていた時に参考映像を送っていただきました。「Sparkles and Wine -Teaser」
ものに対して、光を当てる角度を変化させていくと、印象はどう変わっていくのか、という実験です。これを真似して私も実験をしてみました。ゼミはオンラインで参加していたので、家でもできる実験を勧めてくれたことがありがたかったです。
Q4 制作プロセスを教えて下さい。
4年生になってすぐに、テーマを決めて、演出を考えました。
その後、内容を考えつつ、6〜7月に照明や音響の実験を挟みました。
秋になってから、台本を考え、絵コンテをかき、仮撮影の後、撮影を行いました。
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