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【作品にふれる】 #24 山とともに

山とともに〜父子の異なる目線から見た林業の魅力と定義〜
森を管理する仕事の林業。私の父もその一員である。林業は命を奪う様な多くの危険が伴う仕事である。それでも父は毎日仕事に向かう。東京都出身である私は、父が林業をする為に家族みんなで限界集落に引っ越した。私が東京に上京してくるまでの18 年間、全てのきっかけが林業にある。自分の意思で林業を選び越してきた父親と、選択権がなかったその子供。林業を職に持つ父親たちとその子供たちに対してインタビューをし、双方の目線から林業に対するリアルな思いを写しだし、ドキュメンタリームービーとして描く。

今泉ゼミ N.K

Q1 テーマを決めたきっかけは何ですか?

お父さんが林業に携わっているんです。林業って危ない仕事で、私の友達のお父さんも、林業をしていて倒木で亡くなってしまったことがあったんです。そういう出来事もあって、やっぱり危ない仕事なんだなって思って。お給料も高いわけじゃないんですよ。それでもその仕事を続けてるっていうのは、よくないことにも感じられるけれど、自然のために、大きなことのためにやってるんだって考えると誇りに思います。

林業を営むために私の家族が住んでいるのは、福井県の限界集落。限界集落は不便だしつまらない。お父さんが林業やってるせいで、一応東京で生まれたのに、0歳のうちにあんな田舎に引っ越すことになっちゃったんです。でも、そういうのを聞くと、自分にとって全てのはじまりって林業なんだなって。学生の最後にこれをテーマにするのはいいかなって思ったんです。

Q2 お父さんにとって林業とは?

お父さんは多摩美出身で、グラフィックデザイン学科なのに、木で作品を作るのが大好きでした。作品を作っていくうちに、山とか木への興味がどんどん高まって。大学の助手だった頃森に入る機会があった時、その山が管理の行き届いていない山だったそうで、いい山がなくなってしまっている事実を知りました。なんとかせねばと思って、きこりになると決め、試験を受けたそうです。美大生って本当にいろんなとこで働くよね(笑)お母さんも多摩美出身なんです。「東京帰りたい」とか「田舎」とか文句言ってるけど、なんだかんだ着いてきてずっと一緒に暮らしています。

川口1

Q3 ゼミ展はどうでしたか?

15分のドキュメンタリー映像を制作しました。内容は、お父さん目線の林業の場面と、働いてる人のインタビューです。go proでお父さんがとってくれました。嬉しそうにしてました。今泉先生が「毎年卒制で両親の方が熱くなっちゃう人いるんですよ。」っておっしゃってて、「それ私だ」って思いました(笑)


Q4 進めていく中でどんな苦労がありましたか?

コロナの流行で、現地に直接行けないっていうのが大きいです。あとは、動画を遊びでしか作ったことがなくて、ほとんどはじめてのような状態でした。

映像は2回撮りました。1回目がお父さん目線で、次の映像は林業に従事する親御さんを持つ子どもたちの目線。私の地元は林業をしてる人が多くて、近所の子たちにインタビューできました。インタビューで感じたのは、予想以上に子どもたちの心がきれい!私みたいに交通が不便とか田舎が嫌だとか思ってなかったんですよ。学校まで片道1時間半の限界集落。小学校は3人だったり1人だったり。一回都会に出た人からみると、何が楽しいのって思っちゃうかもしれないけれど、子どもたちは今の環境で満足してるし、お父さんのこと尊敬してるって言っていました。地元に中学までしかないから、高校はある程度都会に出なきゃいけないのですが、「大人になったら、ここに帰りたい」って言ってる子もいました。小さい子で小2、大きい子で高1。親思いでいい子たちだなって素直に思いました。卒制とは別の動画にまとめて、親御さんにプレゼントしようと思ってます。
やっぱり教授は、情報量、知識の蓄えがすごいです。そして、使ってるものも情報も最先端。教授はこれからもずっと若いんだろうな。おすすめの本をうまく関連づけて教えてくださいます。ぱっときくだけじゃ何が関係あるかわからないけれど、よく読んでみるとこのテーマにとって重要な点が書いてあったり。私がおすすめしていただいたのは『ファンベース』。林業の前に、地域おこしについて考えてて、そのときに教えてくださった本です。


実は、林業というテーマに決定する前に他のアイデアもあったんです。自分の好きな事として、ヴィンテージ品に関するものか、地域おこしについてのものか。地域おこしは、よく考えてみると本当にやりたいことではないと思いました。ヴィンテージ品は、なにか答えを見出すことができないなと考えました。ヴィンテージが大好きってことしか答えがないから、わざわざ卒制にするまでもないって。教授に相談もして、人生のきっかけになってる林業の方が、見る人にも伝わるだろうと考え林業をテーマにすることに決めました。

川口3

川口4

Q5 担当教授はどんな方ですか?

本当に最先端の人なんですよ。
ゼミもハイブリッドスタイルで、オンラインでもオフラインでもいいんです。
マイクも自分で買ってらっしゃるんじゃないかって噂です。スマホをスタンドでたてて、オフラインの学生も映るようにしてくれるんです。
デバイス二台持ちで、ふたつのアカウントを駆使して、先生の顔も見えるようにして。
今泉先生の人柄が伝わるエピソードだと思います。

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