資本主義はなぜ資本主義というのか

資本主義はなぜ資本主義というのか

・資本主義とは何かの優しい覚え方

 資本主義について説明します。

 いろいろなアプローチがあると思いますが、見た目から連想できるように説明します。

・資本主義の漢字を見る

 資本主義の「資本」という言葉を見てみましょう。

 「資」は「次」と「貝」からなっています。

 これの読みは順番を変えて全部で6通り考えられます。

 「本」はただの「本」としましょう。

 とすると資本主義の資本は「次」と「貝」と「本」から成り立っています。

 「貝」はお金のことです。

 とすると資本主義は「次」と「金」と「本」から成り立ちます。

 これをどう読むか。

 いろいろな読み方ができます。

・「次」と「金」と「本」から読む

 その順で読むと「次の金の本」となります。

 これは普通に言われる、資本、元手というそのまんまの意味になります。

 次に「金→次→本」の順番で読んでみましょう。

 「金を次の本に」となります。

 これもこれも資本の意味になります。

・次を最後に置く

 「金→本→次」の順番で読んでみましょう。

 「金を本に次へ」となります。

 金を使って次に繫いで行くといういう意味になります。

 次という言葉には時間的な意味があります。

 本というのは根源的があるので次に何かへ向かって、しかも「次」と組み合わせると展開していく、発展していくというニュアンスになります。

「本→金→次」として見ましょう。

 「本は金で次へ」となります。

 上と同じく金を本に何かを進める、増やすというニュアンスになります。

・金を最後に置く

 「次→本→金」として見ましょう。

 「次いで本を金に」になります。

となります。

 本を金に繋いでいくことになります。

 本から金が生じると言うことでしょう。

 「本→次→金」と読みます。

 「本を次いで金へ」になります。

 本から金を生み出すことになります。

 この際、本が既存しているかしていないかは問題にならない所がポイントです。

 また「本」という字からは「本でない」もの、つまり「本」が変化するか「本」がそのままでそれとは別の何かを生じるという意味になります。

・資本主義とは

 上記をまとめると金を本として更なる金を生むと読むことができます。

 その場合2つの可能性があります。

 もともと金がない所から金を作りその金が金を生むのが1つ。

 金はもともとあってその金から新しい金を生むのが2つ目です。

 これはどちらでも構いません。

 この金を「生む」を「作る」あるいは「刷る」と読み替えます。

 するとこれは中央銀行の貨幣の鋳造や紙幣の印刷を思い浮かべさせます。

 管理通貨体制から全てをスタートすると1つ目になります。

 金本位制のような制度から管理通貨体制に移行すると2つ目になります。

・投資とは

 お金がお金を生む場合には2つの場合があります。

 1つはお金の総量は一定である場合です。

 この場合は誰かのお金がお金を生むと誰かのお金はその分減ることになります。

 これはお金のパイが一定の場合で全体ではゼロサムになります。

 もう1つの場合はお金の総量が一定でない場合です。

 特に増えていく場合を考えます。

 この場合はお金全体のパイが増えるので、誰かのお金が増えても誰かのお金が減るとは限りません。

 みんなのお金が同時に増えてウィンウィンになる可能性があります。

 前者の場合を投機、後者の場合を投資と名付けます。

・資本主義は成長が前提

 資本主義は投資で社会全体のお金の量を増やしていく考え方です。

 お金のやり取りだけではただのゲームです。

 しかしお金は財やサービスに替えられると考えます。

 すると財やサービスの量が一定でお金の量だけ増えていくとお金の希少性が減って財やサービスの値段が上がっていくことが分かります。

 逆に財やサービスの量が一定でお金の量が増えていくと財やサービスの値段が上がっていくことが分かります。

・財やサービスが増加する場合

 財やサービスが増加する場合にお金の量が一定だとお金の価値が高くなり財やサービスの価値が下がります。

 これがデフレです。

 長年日本を苦しめていたものです。

 他方で財やサービスが増加してお金の量も増加するとどちらの増加率が高いかで3通りになります。

 財やサービスの増加の方がお金の増加より多いとやはりデフレです。

 これもやはり長年日本を苦しめていたものです。

 財やサービスの増加がお金の増加と比率が同じなら財やサービスの値段は変わりません。

 財やサービスの増加がお金の増加より少ないとインフレになります。

 最後のがインフレになります。

 これは最近世界中を苦しめているものです。

・労働力と人口の問題

 財やサービスとお金を考えてきましたがこれに人口や労働力を加えて考えてみます。

 人はお金を使います。

 お金を使って財やサービスを買いまし、労働力を買う場合もあります。

 また人はお金で雇われて労働力になります。

 労働力としての人は財やサービスを生み出します。

 財やサービスを生み出す必要がなければ人が必要ないので低賃金や失業の問題がうまれます。

 また人は財やサービスを消費します。

 しかし人がサービスや財を購入しないと需要低下状態になります。

 財やサービスを生むには労働力だけでは不十分な場合がありますがここでは省きます。

 というわけで人や人口は大切な要素になります。

 人口が多いとどうなるかというと一人当たりの財やサービスの分配がすくなくなります。

 また人口が多いと一人当たりのお金の量が少なくなります。

 逆に人口が少なければたくさんの財やサービスを生み出せます。

 同様に人口が少ないと財やサービスの消費が減ります。

 この様にお金、財とサービス、人口の比率が経済の大切な要素となります。

・比の問題

 全てはまずは第一義には比の問題になります。

 解析学とか統計学と代数とかいろいろ使いますが、そのような数学ではなく算数や小学校のところで十分です。

 人、財やサービス、お金の量の変化率を調べた場合には微分積分を扱うこともあります。

 集合や集団を扱うので統計学を扱う場合もあります。

 変数を扱うので方程式も出てきます。

 そういった中学、高校、大学レベルの数学でなくても小学校の比さえ理解していれば第一歩としての経済は分かります。

 世の中は等価交換と言っても等価が世の中によって変わります。

 多いものが少ないものに対して相対的に貴重でなくなり、少ないものが基調になります。

 そのように静的な比、お金、財やサービス、人の比率で交換レートを見るのが経済では大切です。

・投資とは

 投資こそが資本主義の要です。

 資本主義の前提というのはお金がお金を生むことです。

 それと同時にお金の総量が減ったり同じままであったりするのではなく増えていくことが前提です。

 ある経済学者はオークンの法則というGDPと失業率が逆相関する法則から経済学の入門の授業を始めます。

 資本主義の本質を教えることを念頭に置いているのでしょう。

 お金を増やすためには何をしたらいいでしょう。

 簡単に言うと中央銀行で貨幣を鋳造したり紙幣を印刷したりするだけでいいです。

 ただその際にお金をどれだけ作るかを財やサービスの量、人口などが増えなければインフレを起こすだけです。

 お金を何に使うのかが問題になります。

 貯金や消費は資本主義を説明する際には脇へ置いときます。

 資本主義ではお金を新たな種類の財やサービスを開発したり、財やサービスの総量を増やすことでに使います。

 それが成功すれば生産が上がり、失業率が下がり、所得も増え、消費も増えます。

 投資の成功とは生産と所得の増大です。

 投資がうまくいけば経済は成長します。

 経済成長こそが資本主義の前提です。

 経済成長しなければ世の中に財やサービスは増えません。

 また消費も所得も雇用も減ります。

・資本主義の前提

 資本主義の前提は最初に書いた感じの解説からわかるようにお金を増やすことです。

 もうちょっと広げて考えると、お金だけでなく財やサービス、人口も増やすとも考えられます。

 本が次には増えているのです。

 これは経済成長を旨とする制度であることがあります。

 この思想に含まれた含意は人類のあくなき進歩と発展です。

 経済成長はし続けるという考え方です。

 経済成長がしないとなると資本主義の根拠が怪しくなります。

・需要供給は一旦置いておく

 大雑把に経済学で最初に習うのは需要、供給、だと思います。

 ただまずは比から始めた方が理論化しやすい面があるのではないかと思います。

 熱力学手は0番法則や1番法則では力動や変化の方向は示されません。

 ただ“比”だけを示します。

 変化の方向が示されるのはエントロピーの法則でこれは2番か3番法則だったと思います。

 自由エネルギーなどの変化しうる方向を表しうる考え方はエントロピーを内包しています。

 人類の歴史の流れは進歩、経済成長が必然、というものではありません。

 ただ資本主義で経済成長がなくなる場合には資本主義の前提がなくなることになります。

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