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芸術の正体って、なんだろう。[ひとりごと]

おはようございます。真白けいです。
芸術と聞いて自分には関係ないやと思ったあなた、あなたにこそ聞いてほしい話があります。

芸術と聞いて一般に考えるのは、音楽・美術・文芸・演劇でしょうか。ボクもそうでした。

ニガテな芸術

なんだかかしこまって厳たるルールみたいのがあって、その中で有識者が良い評価をつけたものを、よくわからずともありがたがる、みたいな。

なんとなくお察しいただけたかもしれませんが、そんな芸術にまつわる骨組みみたいなものが、ボクはニガテでした。

だって美術の教科書で見る絵画はなにがすごいのかイマイチ伝わってこないし、音楽で名作と呼ばれる曲を鑑賞したところで作者の伝えたい意図とは全然違うことをボクは思ってたりする。

もしや、みんな盲目的に有識者の言葉を信じ、わかったフリをしてるだけなのでは。

そんな風にも思いました。
そして、お菓子、特にフランス菓子などは芸術だとか、はたまた日常で食べて美味しいものだとかさまざま言われる中で、
ボクは完全に日常的に食べられるお菓子派でした。

お菓子を芸術だなんて言ったら、食べてほしい人に食べてもらえなくなる。ボクみたいな芸術とか権威嫌いに嫌われてしまうと思っていたからです。

芸術の正体

そんなある時、なにやら大々的にアピールされているイベントを耳にしました。それは、ヨーロッパの過去の画家ルノワールの展覧会でした。

始めはもちろん行く気もさらさらありませんでしたが、あまりにもそのアピールに遭遇するし、ちょうど暇な日ができたので、まあなんの気無しに行ってみようかという気になりました。

行きました。

絵の前に立ちました。

見ました。

何度も重ねられた絵の具。
微妙な色彩の変化。
筆の強弱。
光の反射が目に滲みる。
絵の中の女の子の目に宿る息吹。

ああ。そうか。なるほどな。
この目で、間近で見て、ようやく腑に落ちました。教科書で見てもわからないはずでした。

ボクはその絵に、人間の筆致を見ました。
はるか昔、たしかにこの絵の前に立ってこれを描いた人間がいた。
伝えたくて、伝えたくて、筆を運び、色を重ね、細部に目を凝らして。

ボクは多分、その人間の息遣いに涙していました。

そして思いました。芸術は、ボクの思っていたものよりもっとずっとシンプルだったと。

ならばフランス菓子は芸術だ

ボクが思うに、芸術とは、人間の細やかな息遣いの中に広がる世界ではないか。

少し難しい言い方をしてしまいました。
つまり「ああ、こんなことが可能なんだ」と感じ入った時には、そこに人間の真剣な思いや、微細な工夫を感じ取っているのではないでしょうか。

ボクは恥ずかしながら、あまりにも遅くそれに気づきました。

多分、電車の中でハッとさせられたら広告も、一瞬にかけるアスリートの躍動も、芸術だ。
多分、手入れの行き届いたホテルの部屋も、ぴったりハマるように設計された蓋と箱も、芸術だ。
日常にも紛れ込む芸術。美しい。

ならば、フランス菓子は芸術でないどころか、むしろこれこそ芸術だと胸を張って言えます。

お菓子というのは繊細で、すぐに傷ついて、味も見た目も損なってしまいます。
毎日ショーケースに並ぶのは、同じように見えても一つ一つ全てに気を払って作られたものです。
そこに職人の心遣いを感じられたなら、これはまさしく芸術です。

しかも、食べることができる。
全身で感じることのできる、一瞬の芸術。

これからも、お客さんにそう感じてもらえるよう、お菓子に真摯に向き合っていきたい。
そうしたら、それだったら、機械化せず手仕事の意味もあるのかな、なんて思ったり。

これからも芸術であってほしい。
ボクの芸術の解釈が正しいのなら。

相変わらずルールや権威はニガテだけど。

そこかしこ

あなたは今、どこにいますか?
どこでもいいや。一呼吸置いてから、周りを見渡してみてください。

あなたは今、なにをしていますか?
なにしててもいいや。一呼吸置いて、周りを見渡してみてください。

人が心を込めて作ったものには、芸術がある。
それに気づいて、忙しくて荒んでしまいそうな日常に美しさを見つけられたら、いくらか鮮やかな世界で生きられるかもしれません。

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