共感のためのポイント2 共感のストーリーを組み立てるためのテクニック

共感は、相手を理解することから始まります。
相手を理解する際のコツに関しては、以前に「6つの視点」を取り上げてすでに説明しました。6つの視点それぞれにどのような働きかけが効果的なのかを整理して締めくくりましたが、まずは、その内容を復習することから始めましょう。

・ 「問題意識」と「関心の対象」に対しては、新たな問題意識や関心の対象を相手に提供する
・ 「価値観」と「持論」に対しては、こちらの意見を主張し過ぎず、むしろ相手の意見を利用する
・ 「セオリー」に対しては、こちらが前提にしているセオリーを共有する
・ 「思考パターン」に対しては、相手の思考パターンに合わせてシナリオを練る

これらを理解した上で、今回は共感の方法を、手順を追って説明します。

1. 「共感してほしい相手」を特定する
2. 「共感してほしいこと」「合意してほしいこと」を洗い出す
3. 「6つの視点」を利用して「共感してほしい相手」を理解する
4. 「共有したいこと」を洗い出す
(=相手の「6つの視点」それぞれに対して働きかけるには、どのようなことを共有すればいいかを考える)
5. 「共有したいこと」の活用方法を練る
(= どの「共有したいこと」を、どの視点に対して、どのように活用すれば、共感や合意を達成できるかを考える)
6. 共感に向け「ストーリー」を練る

理解が深まるように簡単な例を紹介します。

・ 共感してほしい相手
  > 事業責任者(経営幹部)
・ 共感してほしいこと
  > 既得権にしがみつく人たちがいる
・ 合意してほしいこと
  > 変革チームを結成す
・ 6つの視点
  > 問題意識 ・・・ 売上規模が縮小傾向にある
  > 関心の対象 ・・・ 東南アジア地域への進出
  > 価値観 ・・・ お客様第一
  > 持論 ・・・ 米国型経営は日本には馴染まない
  > セオリー ・・・ ブルーオーシャン戦略
  > 思考パターン ・・・ 根拠のない数値より論理的な予測

・ 共有したいこと
  > 売上規模が縮小傾向にあるという事実
  > 売上規模が縮小傾向にある現実と将来予測
     このままだと、事業はマズいことになる
  > 顧客満足と低価格・短納期を両立
     顧客分析を徹底し、知見に基づく最大公約数の共通技術を開
     発すれば、両立は可能
  > 社内の変革チームが責任をもつ
     外部に丸投げすることなく、社内の変革チームが責任をもって推
     進したいという思い
  > 商材開発を戦略的にマネジメント
     市場分析から商材の企画、投資までを戦略的にマネジメントする
  > 売上縮小対策が成功しない理由
  > 自社がこれまで、売上規模縮小への対策が成功しかった理由
     現状維持派の抵抗が原因だった

・ 共感したいことの活用方法
  > 「問題意識」に働きかけて「既得権にしがみつく人たちがいる」こ
    とに共感してほしい
   → 「売上規模が縮小傾向にあるという事実」を活用する
  > 「価値観」に働きかけて「変革チームを結成する」ことに合意して
    ほしい
   → 「顧客満足と低価格・短納期を両立」を活用する
  > 「持論」に働きかけて「変革チームを結成する」ことに合意してほ
    しい
   → 「社内の変革チームが責任をもつ」を活用する
  > 「セオリー」に働きかけて「変革チームを結成する」ことに合意し
    てほしい
   → 「商材開発を戦略的にマネジメント」を活用する
  > 「思考パターン」に働きかけて「既得権にしがみつく人たちがい
    る」ことに共感してほしい
   → 「売上縮小対策が成功しない理由」を活用する

・ ストーリー
  > 現状認識
     「売上規模が縮小傾向にあるという事実」を伝える
     「売上縮小対策が成功しない理由」を語る
  > 施策への誘導 ← ストーリーを練る際に追加した項目
     「顧客の要望や期待を満たすだけの受け身対応ではダメだった」
     を力説
  > 施策
    「商材開発を戦略的にマネジメント」の必要性を訴える
    「顧客満足と低価格・短納期を両立」を具体的な実現方法を使い説
    明する
  > 合意形成
    「社内の変革チームが責任をもつ」を実行計画と共に提案する

これは、私の度重なる実践を通じて成果が証明されたやり方です。
自分なりの工夫をしながら、ぜひチャレンジしてみてください。

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