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株式会概念化と共感 代表取締役。実践の場で培った計画力や概念化力を武器とするビジネスコ…

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株式会概念化と共感 代表取締役。実践の場で培った計画力や概念化力を武器とするビジネスコンサルタント。 自動車設計からキャリアをスタートしたので製造業には嗅覚が働きます。プロジェクトマネジメントを活動の軸足に、今では新事業開発、商品企 画、業務改革などにも活動の幅を広げています。

マガジン

  • 今だからこそ”正解のない問題を解く力”

    このマガジンは、以前に公開したマガジン「正解のない問題を解く力」の再掲となります。 新たな試みとして、毎回の記事の冒頭に、お伝えしたい内容を【ポイント】として書き足しました。 ビジネスにおける概念化力の大切さをお伝えしたくて書き続けた「正解のない問題を解く力」でしたが、当時は私が note 駆け出しだったこともあり、地味に終わってしまいました。しかし、ここには私が心血を注いで手に入れた大切な理論や価値観が描かれています。 そこで、この内容を、さらに多くのビジネスマンの皆さまにお届けしたく、再掲に踏み切りました。 ものごとを概念的にとらえ本質を見抜くスキルが「概念化力」で、「正解のない問題」を解く上で有効です。 「正解のない問題」には正解がないばかりか解法すらありません。​「正解のない問題」の難しさはここにあります。 ブログを通じて、さまざまな角度から概念化力を掘り下げます。

  • 計画の技術  私たちには計画力が不足している

    私は2013年に計画の本(「実行に効く」計画の技術)を著しました。 あれから6年、いまだにビジネスコンサルタントを続けている私ですが、計画力で多くのお客様の課題を解決し、お客様の計画力向上にお役に立ってきました。 そんな私がいま、改めて、自らが著した本を振り返ります。 目的は、計画の技術を以前よりもわかり易く整理されたものとして、皆様にお届けすることです。 「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」 これが、計画の技術を考えるきっかけでした。

  • 小野寺工業のチャレンジ

    小野寺工業は、大型工作機の国内最大手である近畿工作機を主要取引先とする加工制御装置メーカーです。小野寺工業と近畿工作機には資本関係こそありませんでしたが、かつては事実上の系列会社の位置付けでした。 ​ところが近年は、この関係にも暗雲が立ち込めています。海外企業の参入などで業界の競争が激化しているからです。 ​後ろ盾を失いつつある中で、小野寺工業は変わらなければなりません。彼らは海外向けの新事業を立ち上げることにしたのでした。 ところが、一部の古い勢力はそれに反発します。 ​そんな最中に、コンサルタントの浦田慎二は変革請負人として起用されたます。 小野寺工業はこの窮地をどのように切り抜けるのでしょうか。 ​変革チームのメンバーは、ものごとを本質的にとらえる技を学びながら、さまざまな手法を駆使してステークホルダーと正面から向き合います。 壁にぶつかりながらも、彼らはたくましく成長していきます。

最近の記事

概念化の流れがわかれば鍛錬できる(1/2)

【ポイント】概念化ではまず「概念モデル」を作成し、これを使って全体を俯瞰する。 構造化の手順を理解すれば、これを何度も繰り返すことで構造化力が上達し、これが概念化力の向上につながる。 構造化はキーワードを洗い出すことから始まる。 構造化の基本形にはツリー型(階層構造)、マトリックス型(2次元表構造)、フロー型(矢印連結構造)の3つがある。 “正解のない問題を解く力”では、ここまで、概念化にまつわるあれこれを徒然に書いてきました。 今回は、改めて、概念化の流れを整理して

    • 「正しいことを言えば理解してくれる」は今や通用しない(2/2)

      【ポイント】ビジネスの世界では「言ってなんぼ」ではなく「伝わってなんぼ」である。これに気付かなければ、大きな仕事は成し遂げられない。 自分が正しいと思っていることを正しく伝えるには、正しいことを正しく理解してもらうためのシナリオが必要となる。 シナリオづくりには相手が大事。大きな仕事にはたくさんのステークホルダー(=利害関係者)が関わる。彼らはそれぞれに立ち位置が異なる。 前回は「正しいことを言っているのに、皆が理解してくれない」という発言を起点に、ビジネスで大切なのは

      • 「正しいことを言えば理解してくれる」は今や通用しない(1/2)

        【ポイント】「正しいことを言っているのに、皆が理解してくれない」は自分の未熟さを周囲に訴えているだけ。仕事を前に進める上で重要なのは「正しいことを言うこと」ではなく、「正しいことを相手に正しく理解してもらうこと」である。 正論を理解してもらえないとき、訴えかけたい相手は自分と同じ場所からその景色を見ているとは限らない。そんな時にまず心がけるべきは、相手や相手の状況を理解すること。 自分が正しいと思っていることを正しく伝えるには、正しいことを正しく理解してもらうためのシナリ

        • 切れ者は、マトリックスで具体と概念を行き来する

          【ポイント】3つある構造化パターンのうち「マトリックス型」は、物事を具体と概念の両面から考えるために有効なツールである。 物事をマトリックス型に整理する癖をつけるだけで、皆さんの概念化力は格段にアップする。 「フロー型」は物事をさらに具体的な方向に深掘りしたり、概念的な方向にまとめ上げたりするのに有効なツールである。 正解のない問題を解くには、具体と概念の両面から考える方法を身に付けなければなりません。今回は、そのためのヒントについてお話しましょう。 繰り返しになりま

        概念化の流れがわかれば鍛錬できる(1/2)

        マガジン

        • 今だからこそ”正解のない問題を解く力”
          35本
        • 計画の技術  私たちには計画力が不足している
          92本
        • 小野寺工業のチャレンジ
          32本

        記事

          具体と概念の両面から考えることが成果につながる(2/2)

          【ポイント】多くの人たちは、具体的に考えるのは得意だが、概念的に全体像を描いたり、全体像から本質を見極めたりするのは苦手である。 たまに、物事を概念的に捉えることに人並外れて得意な人がいる。いわゆる、カリスマ的なリーダーの多くはこれにあたる。しかし、現場は彼の描く世界観を理解できない。 結果を出せるリーダーは物事を概念的に捉えることができるので、カリスマの考えを理解できる。その一方、具体的に考えることもできるので、カリスマが描くイメージを現場にわかり易く伝え、イメージをカ

          具体と概念の両面から考えることが成果につながる(2/2)

          具体と概念の両面から考えることが成果につながる(1/2)

          【ポイント】概念化では、物事を軸の両面から捉えることで理解を深める。「具体 vs 概念」の両面から考えることは、現場を動かし、成果に導く。 具体的に考える人は目の前の事象に目が行きがちで、細かいことに気が付く。現場の改善活動などは得意だが、革新的なテーマや大きな目標に取り組むのが苦手である。 概念的に考える人は幅広い事象を抽象化してとらえること、全体像を把握することが得意なので、方針や戦略を練るのは得意だ。しかし現場を理解できず、現場にも理解されず、戦略を成果に結びつける

          具体と概念の両面から考えることが成果につながる(1/2)

          正解のない問題を解くための最初の一歩はキーワード探しだ

          【ポイント】キーワードを拾い上げることは概念化の第一歩だが、これに苦手意識を持つ人は多い。 キーワードは「連想ゲーム」感覚で増やすことができる。キーワードをひとつ見つけたら、その上下、左右に連なる言葉を連想してみる。 左右では、並列関係にある言葉を連想する。上下では、従属関係にある言葉を連想する。それだけで、数えるほどだったキーワードが数倍に膨れ上がる。 キーワードが増えれば概念化の幅は広がり、深さも増す。これが、全体像の把握へとつながる。 以前にも取り上げましたが、

          正解のない問題を解くための最初の一歩はキーワード探しだ

          顧客目線で、競争優位性を構造化する(2/2)

          【ポイント】ビジネスの議論でKBF(=KBF:Key Buying Factor)を引き出したいが、これがなかなかうまくいかない。提供側は、顧客が抱える課題や不満、活用シーンなどを理解できていないためである。 お客様の「片づけたい用事」に着目して質問を工夫すれば、検討チームはお客様の活用シーンを追体験し、お客様の気持ちに近づくことができる。「お客様が不自由に感じることはないか?」 「お客様が本当にうれしいのは、どんな瞬間か?」 「手に入れたいのになかなか手に入らないもの、そ

          顧客目線で、競争優位性を構造化する(2/2)

          顧客目線で、競争優位性を構造化する(1/2)

          【ポイント】ビジネスの議論では、検討メンバーを巧みな質問で誘導してKBF(=KBF:Key Buying Factor:お客様にとっての代えがたい価値)を引き出そう。 KBFを引き出すための質問には階層と順番がある。まずは差別化要因を洗い出すために質問する。 次のステップとして、洗い出された差別化要因の中から「お客様が自分たちの商品を選ぶ決め手」を拾い出すために質問する。 前回に引き続き、今回も競争優位性について考えましょう。 復習になりますが、ビジネスの世界において

          顧客目線で、競争優位性を構造化する(1/2)

          顧客目線と時間軸で競争優位性を考える

          【ポイント】競争優位性の議論では、「差別化要因」「KBF(Key Buying Factors)」「コア・コンピタンス」の違いを意識しないといけない。 KBFには購入先決定に強い影響力のある要因、つまり「お客様が自分たちの商品を選ぶ決め手」という意味が含まれる。プロダクトアウト的な発想に陥りがちな差別化要因とは一線を画す。 コア・コンピタンスは、KBFにさらに時間軸の要素が加わる。競合他社がコア・コンピタンスを真似するのは容易ではない。 KBFやコア・コンピタンスは機能

          顧客目線と時間軸で競争優位性を考える

          自分を磨きたいなら、反論する相手に対して「あの人はなぜそんなことを言うのか」を考えてみるとよい

          【ポイント】反論する人をイラっとして無視する人がいるが、それはもったいない。意見の相違はシナリオを成熟させるための大きなチャンスである。 反論する人には、その人なりの思考ロジックが存在する。その思考ロジックは、私たち自身の思考ロジックを磨き上げるためのヒントになる。 異なる価値観、異なる問題意識、異なる着眼点などが論争の背景にある場合、概念は論争によって磨き上げられ、さらに高い次元で共感を生む。 議論の場には、誰しも自分なりのシナリオを持って臨むものです。 そんなとき、

          自分を磨きたいなら、反論する相手に対して「あの人はなぜそんなことを言うのか」を考えてみるとよい

          現状を変えたいなら上流に切り込もう(上流の失敗を下流では補いきれない)

          【ポイント】物事は兎角、下流よりも上流の方が重要である。上流でやるべきことをやらずに、下流になってからその遅れを取り戻すには数倍、数十倍の労力が必要となる。 私たち日本人は安易に「現場がなんとかしてくれるだろう」と考えるところがあり、その結果、上流にメスを入れるのが苦手だ。 上流は概念化が支配的な領域である。概念化を意識して問題に立ち向かうことで乗り越えられる壁は多い。 「私のような末端にできることはわずかしかありません」と、お客様から言われたことがあります。 彼は「な

          現状を変えたいなら上流に切り込もう(上流の失敗を下流では補いきれない)

          構造化で正解のない問題を解く 「構造化の3つの基本形」

          【ポイント】構造化にはツリー型、マトリックス型、フロー型という3つの基本形がある。複雑に見える図表はこれらを組み合わせているだけだし、芸術的に見える概念図はこれらをビジュアル化したに過ぎない。 3つの基本形を使うことで、議論が整理され、ターゲットや課題などが見えてくる。まずはこれら基本形をうまく使いこなせることが、概念化の第一歩である。 以前のブログ(構造化で正解のない問題を解く 「分類」)では、構造化の基本である「分類」について、自動販売機の飲料を例に使いながら考えてみ

          構造化で正解のない問題を解く 「構造化の3つの基本形」

          共感力はビジネスを動かすが、概念化できない人には無理がある(2/2)

          【ポイント】共感とは、自分が創り上げた概念を相手の中に移植する作業である。つまり、概念化する力のない人が周囲の共感を得ることは簡単ではない。 合意形成するには自分の意見をきちんと概念化できるスキルを身に付けなければならない。 概念化とは、考え方の枠組みや結論に至ったロジックなど、物事を構成する要素の相関関係を構造化し、それを図表や言葉で表現することである。 前回の内容を簡単に振り返ります。 前回は、正しいことを正しく理解してもらうのはとても難しいという話をしました。

          共感力はビジネスを動かすが、概念化できない人には無理がある(2/2)

          共感力はビジネスを動かすが、概念化できない人には無理がある(1/2)

          【ポイント】ビジネスの現場では、正しい意見が通るとは限らない。そんなとき「私は正しいことを言っているのに、皆が理解してくれない」と小さなことを言っていたのでは話は進まないばかりか、断ち切れてしまう。 分かり合えない最大の理由は、相手との価値観や問題意識、思考ロジックの違いにある。 正しいことを正しく理解してもらう力がビジネスマンには欠かせない。そのためには「共感」が鍵となる。 多くの人が気付いているように、ビジネスの現場では、正しい意見が通るとは限りません。 それどころ

          共感力はビジネスを動かすが、概念化できない人には無理がある(1/2)

          考えがまとまらない、そんなときはキーワードに着目しよう(2/2)

          【ポイント】「キーワード」には特徴があり、その特徴を頭に入れれば、周囲に氾濫する言葉の洪水からキーワードを拾い出すことはできる。しかし、これが簡単ではない。 私はかなりのスピードでキーワードを拾い出すことができる。秘訣は「適用する枠組みの基本形を先に決めて、その枠組みの軸や要素に当てはまるキーワードを拾う」こと。 枠組みの基本形はツリー型、マトリックス型、フロー型の3つしかない。どれが最も適切かを選ぶだけなので、頭の中に基本形を思う浮かべてキーワードを網に欠けるのは、さほ

          考えがまとまらない、そんなときはキーワードに着目しよう(2/2)