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具体と概念の両面から考えることが成果につながる(1/2)
【ポイント】
概念化では、物事を軸の両面から捉えることで理解を深める。「具体 vs 概念」の両面から考えることは、現場を動かし、成果に導く。
具体的に考える人は目の前の事象に目が行きがちで、細かいことに気が付く。現場の改善活動などは得意だが、革新的なテーマや大きな目標に取り組むのが苦手である。
概念的に考える人は幅広い事象を抽象化してとらえること、全体像を把握することが得意なので、方針や戦略を練るのは得意だ。しかし現場を理解できず、現場にも理解されず、戦略を成果に結びつけるのに苦労する。
結果を出せるリーダーは概念的に考えることができるので方針や戦略といった概念を作り出せるうえ、その概念を目の前の具体的な事象と結び付けて説明できる。現場に支持されるので、戦略を成果に結びつけることができる。
物事を概念的に理解するには、思考軸を設定し、軸の両面から対象物を描き出すことが効果的です。
たとえばこんな感じです。
トップダウン vs ボトムアップ
先進 vs 実用
能動 vs 受動
その際は、数ある軸の中から概念化の対象物に最もフィットするものを選ぶことになるわけですが、万能に使えるがひとつあります。
それが「具体 vs 概念」です。
ところが具体と概念は連続していないため、たいていの人は身の回りの具体的な側面にばかり目が行きがちですし、概念的に考えられる人は逆に概念から抜け出せません。
具体と概念の間にはカオスの谷が広がっているのです。
実際、知り合いの研究者曰く、日本人のほとんどは具体的な側面ばかりに目が行く傾向にあり、概念的に考えられる人は少数派、そしてごくわずかな人が具体と概念の両面から考えられるそうです。
具体的に考える人は、目の前の具体的な事象には目が行き、細かいことに気が付きます。そのため、現場の改善活動などが得意です。しかし、全体像があまり見えていないため、刻々と、ランダムに変化する状況のもとでは右往左往しがちで、革新的なテーマや大きな目標に取り組むのが苦手です。
一方、概念的に考える人は、目の前の具体的な事象を抽象化してとらえること、全体像を把握することは得意です。そのため、既存の理論を組み合わせて問題解決の方針を立てることができます。しかし、現場(=具体的な事象や具体的に考える人たち)に目を向けないので、現場の実情と問題解決の方針のギャップに気付きません。その結果、「あの人は現場を分かっていない」「きれい事じゃビジネスは進まない」などと現場(=概念的に考えることのできない人たち)に反発され、意見をしても受け入れられません。頭はいいものの、現場が付いてこないリーダーはこの典型です。
「結果を出す」には、具体と概念の両面から考えることが必須です。
具体と概念の両面から考えられれば、以下のようなことが見えてくるはずです。
目の前の出来事は、大きなルールの下で動いている。
個々の問題は実は相互に関連し合っている。
根本原因はいくつかしかない。
目の前の問題は氷山の一角でしかないが全体像をとらえるヒントになる。
全体を動かしているメカニズムがある。
そして、具体と概念の両面から考えることができる人、その人たちを私は「結果を出せるリーダー」と呼びます。
結果を出せるリーダーは方針や戦略といった概念を作り出せるうえに、その概念を目の前の具体的な事象と結び付けて説明できます。現場の想像力を掻き立てる例え話を駆使して、自分たちが置かれている状況と問題解決の手段を現場のメンバーたちにわかりやすく話します。
こうすることで、すぐにピンとくるのは難しい概念的な内容を、彼らの身近な出来事に結び付けて考えられるように仕向けるのです。チームは納得し、役割分担を理解した上で一致団結します。
結果を出せるリーダーは現場に支持されるので、戦略を成果に結びつけることができるというわけです。
次回は、例を挙げて、理解を深めていただくことにしましょう。
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