顧客目線で、競争優位性を構造化する(1/2)
【ポイント】
ビジネスの議論では、検討メンバーを巧みな質問で誘導してKBF(=KBF:Key Buying Factor:お客様にとっての代えがたい価値)を引き出そう。
KBFを引き出すための質問には階層と順番がある。まずは差別化要因を洗い出すために質問する。
次のステップとして、洗い出された差別化要因の中から「お客様が自分たちの商品を選ぶ決め手」を拾い出すために質問する。
前回に引き続き、今回も競争優位性について考えましょう。
復習になりますが、ビジネスの世界において「他社が簡単に真似できない方法や戦略(=差別化要因)を実行する能力」は成功の必要条件ですが、十分条件ではありません。十分条件となるには「その違いがお客様にとって、他には代えがたい価値(=KBF:Key Buying Factor)を持っていること」が大切です。
ビジネス成功の必要条件 = 「差別化要因」が存在する
ビジネス成功の十分条件 = 「差別化要因」が「KBF」と結びついている
ところがKBFについて検討を開始すると、議論はなかなか進みません。検討メンバーがお客様目線に慣れていないこともあり、KBFとしてとらえているものが、人それぞれだからです。
そのようなときには、いきなりKBFに飛ばず、手の届きやすい差別化要因からまずは議論するのがよいでしょう。
質問はシンプルです。
「皆さんが提供する価値は、他社が提供する価値とどこがどのように違うのですか?」
このようなシンプルな質問を投げかけることで、差別化要因を、様々な角度から洗い出すことができます。難しい質問からは兎角、視野の狭い回答しか得られません。逆にシンプルな質問からは視野の広い回答が返ってくるものです。
通常のやり方では、次のステップとして、洗い出された差別化要因の中から「お客様が自分たちの商品を選ぶ決め手」を拾い出す作業に移るのですが、私ならひと工夫します。
こんな質問をするのです。
「これらの差別化要因の中で、競争優位性を担う決定打はありますか?」
この段階ではまだ、敢えてKBFもしくはそれに直結するようなという言葉は使いません。
すると、多くの場合「そんなものがあれば、苦労しませんよ」といった回答が返ってきます。
しかし、それは提供側の目線からの話であって、顧客の目線で考えた結果ではありません。目線を変えてみると、それまでは気にしていなかったものが急に輝きを放つことがよくあります。商品を選ぶ決め手は、提供側ではなく、顧客が決めることです。
最終的には、顧客の目に輝いて映るシナリオをつくり上げればよいわけです。
この質問は、これから始まる作業、すなわち「お客様が自分たちの商品を選ぶ決め手」を拾い出す作業の重要性を際立たせます。
「そんなものがあれば、苦労しませんよ」と答えたメンバーたちに顧客目線で考えることの大切さを説明し、しっかりと腹落ちさせることができたら、すかさず決定打を拾い出す作業に移ります。
ところが、この拾い出し作業は簡単ではありません。
なぜなら、提供側は、この段階ではまだ、顧客が真に求めている価値を見落としていることが多いからです。
それは無理もありません。ものが溢れかえり、使いこなせないほどの機能が手に入る現代においては、お客様自身、自分が求めているものが何かを見失っているものです。
ゆえにこの作業は、一歩ずつ、順々にゴールを目指さなければなりません。
ここから徐々にKBFに近づくわけですが、長くなるので、続きは次回とさせてください。
次回は、お客様が抱える課題や不満、活用シーンなどに迫るための質問についてお伝えします。
★★★ 概念化.com を立ち上げました ★★★
★★★ ぜひ、お立ち寄りください ★★★
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?