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概念化の秘訣は日ごろの問題意識にある(2/2)

【ポイント】

  • 日ごろの問題意識が具体例列挙のスピードアップにつながる。

  • 問題意識が難しいなら、常に疑問を持ち、その答えを探求しよう。「なぜ?」は頭を刺激する。具体例を列挙するスピードは、このような日ごろの鍛錬により磨かれる。

  • 私の場合、コンサルタントとして数多くの現場で具体例を思い浮かべ、概念モデルに組み上げてきた経験が概念化力に繋がっている。


前回は、概念化性能を決定づけるのは「具体例を列挙するスピード」だと説明しました。概念化の間、私たちは頭の中で絶えず具体例を思い浮かべています。具体例が豊富なほど検討や議論は深まるので、具体例を列挙するスピードが速いほど概念モデルは成熟するわけです。

さて、本日はこの続きです。

「具体例を列挙するスピードをアップするにはどうすればいいのでしょうか」

これは、概念化研修などでよくいただく質問です。
そこで、この質問の答えにつながる大切な話をしましょう。

実は「具体例」は日ごろの問題意識と深く結びついているのです。

ビジネスの現場で、そして私生活の中でも、周囲の出来事を自分事として捉えることで問題意識は高まります。問題意識が高いと「なぜこんなことになったのか」「なぜこんなことをやっているのか」「もっとこうやればよいのに」と考えます。これらの意識は、質の高い「具体例」につながります。

もうひとつ、具体例の列挙をスピードアップする方法があります。

それは「日ごろの鍛錬(=繰り返し)」です。

先天的な要素もあるとは思いますが、鍛錬を通じて能力を向上させることは可能です。

そのためには、日ごろの検討や議論の中で“意識して”具体例を思い浮かべるようにしてください。頭は、意識しないと早く回りません。そして、常に疑問を持ち、その答えを探求しましょう。疑問は頭を刺激します。これは問題意識にもつながります。

このような努力をしてもなかなかスピードが上がらないという人がいるかもしれません。

そんな方は、思い浮かんだ具体例を書き留めることから始めてください。

以前に、こんなことがありました。

コンサルタントという仕事柄から、私は、経験や予備知識のない業界で仕事をすることが少なくありません。すでに猛スピードで走っている車に飛び乗るように、お客様の検討チームに途中参加しなければいけないこともあります。

そんなある日、私はメンバーのひとりに「まったく知らない業界だったとは思えないくらいに話についてきますね。まるで、うちの現場を長いこと見てこられたかのようです」と言われました。
もちろん、お世辞も含まれていたでしょうが、それだけではありません。これは私が鍛え上げてきた「問題意識と具体例列挙のスピードアップ」の賜物なのです。

数多くの現場で具体例を思い浮かべ、概念モデルに組み上げてきた経験は、業界は違えどもさまざまな業務パターンや行動パターン、意思決定パターン、刺激に対する反射のパターンなどに形式化され、私のからだに染みついています。これが私の猛スピードにつながっています。
このスピード感が、お客様に「まるで、うちの現場を見てきたよう」と思わせたのでしょう。

私は今でも、概念化力を鍛え続けています。


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