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よりぬきしりんさん

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日記/法悦四八〇

日記/法悦四八〇

神性だの、無に充たされるだの、考え、書いていても、わたしは六万円の電気代におびえる、電気子羊にすぎない。または、わたしは六万円におびえる電気子羊にすぎないが、神性だの、無に充たされるだの考え、また書いている。どのみち、まさか、墓石に「六万円」と彫られることもあるまい。かつて、池田晶子おねいさんは、哲学に救いなどあるもんか、すがるなんて、お門違いだわよ、と喝破なさった。御意。とはいえやはり、繭のよう

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エッセイ/ほんとう

エッセイ/ほんとう

りきんでも、かけ声かけても、どうにもこうにも力が入らず、仕事を休んだ。ベッドに寝ころがって、はめ殺しの羊羹みたいな窓から、まっさおな空を見ている。写真をとってみたんだ。

私が見ているのは、この空じゃない。ほんとうは、空がもっとあおく、屋根の雪がもっと白いのだ。スマホのカメラ、素人の腕――そんな話じゃない。ほんとう、と口にだしたときの、ざらっとした後ろめたさ、ばれもせず、指摘もされない、そんなうそ

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詩/ てじな

詩/ てじな

わたしはしあわせです

まずはきめるわけです
そう
いまここできめましょうか
すると
すべてのものさしが
むいみになる
ものさしこそ
しょあくのこんげんですから
わたしであること
これ
すなわち
しあわせということ
I am happy へのげんそうを
かなぐりすて
I am happiness になるですね
だれにも
そのなふだをとりあげる
けんげんはない
なんでもかんでも
そのはこにいれちま

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日記/ 政権批判

寒いですねえ、と言っているのだ。あの禿頭の紳士もあのアナ雪のトレーナーの女の子もあの金髪の店員もハシブトガラスも、だれもが、口を開けば、寒いですねえ、ええ、寒いですねえ。なんとまた、藝のないことよ。マイナス7度程度で、岸田政権の無策批判もまいぜんシスターズの声変わりも彼氏の怪しい動静の愚痴もかあかあかあも忘れはて、ビッグ・ブラザーの指令に従うように、ハイル・なんとかのように。創造性に乏しく、従順き

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『それ』を何と呼ぶか

『それ』を何と呼ぶか

*注:一部の人にはトラウマを抉る記事かもしれません。ダメだと思ったら、お読みにならないで下さい。

今日は特に体調悪いから、本気で書きますね。

*

中学一年生から高校一年生の半ばにかけて、三年あまり、私は寮生活のなかで、断続的な虐めを受けた。
虐めから逃れるほんのつかの間、それは、次の虐めの対象にならないための、文字通りのサバイバルであった。

あれはいったい、何だったのであろうか。呆然とする

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あっちこっち

あっちこっち

たとえば、航空写真を撮ったあとには、ポートレイトを撮りたくなる。
心ゆくまで電子顕微鏡で細胞組織を見たら、次には満天の星空など眺めていたい。

自伝を読んだら、そのひとが生きたころの地域、国、世界、もろもろについて知りたい。
ある出来事を概説的、包括的に学べば、その渦中にあった誰かしらの日記や書簡、そんなものを無性に読みたい。

うどんがつづけば、鶏モモ焼きが食いたくなる。おせちもいいけど、カレー

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