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ギタリストのための、ガスリー・ゴーヴァンによる11の提言

世界で最も偉大なギタリストが誰であるかについては、一晩中、一日中、一年中、議論することができますが、アナルシスとアドバイスに長けたプレイヤーはそう多くはないでしょう。

ガスリー・ゴーヴァンは間違いなくその一人です。3歳でギターを手にし、すべて独学&耳コピでショーン・レインの採譜を完璧にこなすようになった彼は、音楽大学や音楽学校での指導歴も豊富。何より、THE ARISTOCRATS やオスカー受賞作曲家ハンス・ジマーとの仕事は、エレクトリック・ギターの可能性を極限まで引き出しています。
そんな彼のアドバイスは、X、Y、Zのテクニックではなく、プレイヤーが楽器の感性を養い、真に "上達" するための言葉です。

(上記記事より抜粋)

1. 音楽は言語である

「ギターに親しむ道のりは人それぞれだ。でも結局は、どのような練習にどのように時間を費やすかによって、その人のプレイ・スタイルが決まってくる。何を優先させるか...それが最終的な結果を左右するんだ。"インプロヴァイザー" になることを目標にしている人は、自然と僕が選んだような道に引き寄せられるかもしれない。
音楽は言語だ。だから、僕の練習時間の一部は、頭の中で聴こえるものを指板に出すことにあてている。それが自分自身に課した目標であれば、当然、その場所に到達するために時間を費やすことになる。そうすれば、即興演奏者としてより流動的になり、聴衆が現れる前に準備も練習も訓練もしていないものを演奏することに怯えなくなるよ」

2. 聞いたことはすべてコピーする

「人によっては、即興演奏を止めてしまう心理的な障壁がある。うまくいかないかもしれないという恐怖心だ。でもそれは、赤ちゃんが生まれたときに泳ぎ方を知っていて、その後忘れてしまって学び直さなければならないのと似ている。
実は、僕たちは生まれたときから即興演奏の方法を知っていて、社会がその一部を抑制しているのだと思いたい。即興でいいプレーをするためには、そのプロセスを心地よく感じること、そして自分を信頼することが大切なんだ。
でも、もっと機械的に取り組めることもある。着信音から映画のテーマ、ラジオから流れてくるものまで、身の回りで耳にするものすべてをコピーすることが即興演奏に大きく役に立つと、僕は信じているんだ」

3. 耳を鍛え、譜面に起こす

「メロディーを自由に想像し、その想像した音を即座に指板に反映させる。そこには完全な自由がある......しかし、もちろんこれを発展させるには、 "財産" が必要だ。
音程を認識し、音符を書き写すスキルを磨くことは非常に有益なので、できるだけ多くの曲を耳だけで弾けるようにしよう。トランスクリプションやビデオ・チュートリアルなど、学びたいことが何でも手に入る現代において、これは確かに意志の強さを必要とするけど、より自立したプレイヤーになるために努力する価値は大いにある。誰かが演奏しているのを聴いたときにそれを再現することができれば、自分の頭の中で聴こえている音楽を再現しようとするときに、そのスキルは計り知れないほど役立つはずだ。また、ギター以外の楽器で演奏されているものを、聴いて弾いてみるのも悪くない!」

4. 弾きながら音符を歌う

「聴こえるものは何でも、耳を鍛えるための材料になる。周りで起こっていることすべてに耳を傾けて、それを楽器で再現してみるんだ。
それを、1つは、指板のスケール・ボックス・ゾーンに留まり各弦の間隔に慣れ、もう1つは、より声楽的な演奏に挑戦し、少ない弦でネックを上下させることに費やす。この2つのアプローチはうまく調和し、互いを引き立て合う。どちらも身につければ、即興に対応できる余地ができてくる。
そして、すべての音を弾きながら歌う癖をつけるといい。そうすることで、それぞれの音がどのように聞こえるかを予測できるようになる。
するとある日、まだ誰も聴いたことのないメロディーを頭の中で思いついたとき、そのコピー技術を使えば、音楽を頭から直接アンプに取り込むことができるようになる。
ただ僕は、"耳を鍛える" というアプローチを基本的に説いているけど、他のことを犠牲にしているわけではないよ。多くのプレイヤーにとっては、既存のルーティンにこれを加えるだけでいいんだ。たとえそこに座ってスケールやアルペジオをやっていたとしても、すべての音を弾きながら歌う習慣を身につけるのはいいことだ。そうすることで、それぞれの音が実際にどのように聞こえるかを予測できるようになる」

5. 自分の演奏に意味を持たせる

「そうやって、自分の楽器との本当のつながりを確立することが重要だと思う。ギターは、スケール・パターンを生成するために使う機械のようなものではなく、自分の一部であると感じるべきだ。
このようなつながりを身につけるためにも、やはり弾いた音を歌う習慣を身につけるのがとても効果的だ。ジョージ・ベンソンを思い浮かべてほしい!彼はまさに楽器と一体だ!そうすることで、一連の記憶されたパターンを実行するために指に頼るのではなく、自分が演奏する音に責任をもたせることができる。アンプから音が聞こえてくる一瞬前に、これから弾こうとしている音を "聴く" ことができれば、自分がその音を発生させたという感覚を高めることができる。
ちなみにこのアプローチは、即興演奏の瞬間だけでなく、より広い意味で、新しい練習や理論の断片を含め、演奏するすべてのことに応用できる。そのような知識が、どのように見え、どのように感じられるかだけでなく、どのように聞こえるかを内面化することができれば、最終的に、より音楽的に役立つ方法でそれを吸収することができるだろう」

6. より大きく考える

「何もないところから生まれるものはない。例え、即興で何かを弾いたとしても、誰かがそのメロディーを以前に演奏したことがあるはずだ。音程の数は限られている。だから、その言語を発展させるためには、より大きな構成要素で考えなければならない。
一区切りのアルペジオをひとつのものとして認識することができれば、それを4つの文字というよりも、ひとつの言葉のように捉えることができる。小さなアイデアが多すぎると、圧倒されてしまうからね。
つまり、演奏を "スピーチ" だと考えてほしい。メロディーのアイデアは一般的に、いくつかの音符をひとまとめにして、その後に間を空ける、いわば息継ぎをすることを基本としている。これはスピーチで、一度に一文字ずつ考えるよりも、一度に一つの単語を考えるのと大まかに同じことで、純粋に一音一音で考えるよりも、少量の大きなアイデアを扱う方が、意味を理解しやすいことが多いからね」

7. リズムを探る

「リズムのバリエーションを試すことで、すでに知っているリックからさらに多くの発展形を生むことができる。リズムのズレやポリリズムのような概念にある程度慣れておくと、ただの繰り返しになる前に、自分のリック・バッグからどれだけ引き出せるかという点で、より多くの自由を得ることができるんだ!」

8. 聴く

「どんなに研ぎ澄まされた耳を持っていても、演奏する価値のあるものが思い浮かばないことがあるかもしれない。常に新鮮な音楽を探し求め、積極的かつ知的に "聴こう" とすることが重要だ。すると、潜在意識レベルであらゆる種類の新しいフレージングのアイデアを吸収し、その側面が演奏に現れ始め、物事を心強く新鮮に聴こえるようになる。
もし、ステージの上で突然インスピレーションが枯渇してしまったら、バンドの他のみんなが何をしているのかをもっと意識し、"聴く" ようにしよう。自分の小さな "ギタリスト・バブル" の中に閉じこもっていると、インスピレーションのきっかけとなるはずの外部からのあらゆる刺激に気づかなくなってしまうものだ」

9. 怯えず、自分を解放する

「今まで僕は、即興演奏というアイデアに怯えている多くのプレーヤーに出会ってきた。たいてい、"自分を解放する" のが難しいと感じるプレイヤーは、練習時間の大半を技術的な練習に費やしたり、他の人の曲のトランスクリプションを学んだりしている。
そうした恐れを克服するひとつの方法は、音楽は本質的に単なる "言語" であることを思い出し、こう考えてみることだ。例えば、僕たちが日常的にお互いに話している、より "慣れ親しんだ" 言語を使えば、誰もが流暢な即興演奏者になる。会話をしているとき、僕たちはさまざまな感情や考えを、無理なく自然に表現することができる。その過程で、複雑な文法や構文のルールを意識することはないだろ?使おうとしている動詞が他動詞か自動詞か迷ったことがあるだろうか?仮定法を使おうと意識したことがあるだろうか?
つまり...より流動的で自然なインプロヴァイザーになるための基本的なコツは、演奏をもっと話すように感じられるようにすることなんだ。多くの技術がそうであるように、これはやるたびに少しずつ簡単になっていく。基本的な言い方をすれば、即興演奏の技術を向上させる最善の方法は、単に即興演奏をたくさんすることだ!
僕の経験では、最も音楽的で効果的なインプロヴィゼーションの瞬間の多くは、ほとんど間違いなく、何も考えていないときに起こる。
偉大なチャーリー・パーカーの言葉を借りよう。"楽器を学ぶんだ。そして練習、練習、練習。だけど、ついにステージに立ったら、そんなことは忘れて、ただ叫べ"」

10. 音楽性を持って理論を応用する

「できるだけ多くのスケールやアルペジオを学ぶことは悪いことではない。むしろその逆だ。しかし、実際にはスケールが解決するように設計されていない問題を、スケールが解決してくれると思っている奏者がいるようだ。
与えられたスケールの形(と音)を覚えたらすぐに、できるだけ多くの方法で音をごちゃまぜにしてみよう!適切なバッキング・トラックをかけ、耐え難いほど遅いスピードでスケールを演奏するのも効果的だ。直感に反すると感じるかもしれないが、そうすることで、各構成音によって呼び起こされるさまざまな "色" や "雰囲気" の感覚を養うことができるからだ。和声的な文脈に照らし合わせて、各構成音が持っているユニークな特徴を意識すれば、スケールの構成音をより音楽的に使うことができる」

11. 未知のことに取り組む

「あるテクニックがあまりに上手になりすぎると、それが心地よくなってしまうという罠がある。気分が良くなりたくなって、潜在意識の中で、100万回前に弾いたことがあるものを弾くように促してくるんだよね。
だけど、心の奥底では、自分がその演奏を "選んで" いるのではないことに気づいている。それを演奏することを選んでいるのは自分の手、癖なんだ。それは君の魂ではない。
練習と時間の使い方について、興味深いことがある。練習しているときにすごくいい音がするとしたら、それはすでにできることを練習しているから、自分のためにはなっていない。だから、練習の中にはクソみたいな音もあってしかるべきなんだ。そこにはバランスがあるんだよ」

http://sin23ou.heavy.jp


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