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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説

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フリムンという言葉は沖縄の方言で、バカ・愚か者という意味で使われる。この物語は、日本最南端の石垣島に生まれ、後に全日本空手道選手権大会を制する田福雄市氏の空手人生、そしてフリムン…
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2024年3月の記事一覧

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第6話 帰省編(3)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第6話 帰省編(3)

ダダダダ·ダディ何とかカミさんに許してもらい、空手を再開する事に成功したフリムン。

そんな、空手しか頭になかったフリムンに朗報が届いた。
待ちに待った愛娘とご対面する日が来たのだ。

あの感動の披露宴から4ヶ月後の事であった。

フリムンはより一層稽古に力を入れ、「絶対にこの子が自慢できる父親になって見せる」と心に誓った。

それから新米ダディとしての最初の仕事、『命名』に取り組んだフリムン。

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第6話 帰省編(4)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第6話 帰省編(4)

ゴッドハンド来沖極真会館が沖縄に支部を設立して5年目の事である。

遂に県内で初めての公式大会、「全九州空手道選手権大会」が開催される運びとなった。

まだ沖縄県大会が始まる1年前の事である。

フリムンは、この大会を是が非でも観戦しなければならなかった。

何故なら、この世界で本格的に活動するために、県内に住む空手家たちのレベルを知っておく必要があったからだ。

石垣島ではまだ脅威となる相手に出

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|カミングアウト編

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|カミングアウト編

はじめに初の自伝小説を書いていて思うのは、やはり人の記憶には“限の界”があるという事に尽きる。

自分の記憶と他人の記憶とでは、見る角度が異なっているため若干の違いが生じるのは仕方のないこと。

しかし、自分の記憶が自分の記憶と異なるという現象に、半ば唖然としているところである。

今回は、そんな記憶違いを新たに発見された写真を元に検証してみたい。

カンフーシューズ中学校時代編の回想録の中でも、

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第7話 黎明期編(1)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第7話 黎明期編(1)

【カチコミ前日】父の眠る仏壇に手を合わせ、神妙な面持ちで物思いに耽っていたフリムン。これまで生きてきた27年と10か月という人生の中で、父と過ごしたのは僅か2年。

よって彼の記憶の中に、写真以外の父の姿は存在しない。

子を授かり、親となって初めて父の無念さを痛いほど感じることができたフリムン。

「きっと、親父も我が子に背中を見せたかったに違いない」

そう思うと、志半ばでこの世を去った父が不

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【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第7話 黎明期編(2)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第7話 黎明期編(2)

ターミネーターここまで順調に駒を進めてきたフリムン。
そんな彼の鼻を、根元からポッキリと折る初めての空手家と相まみえる事となった。

開始早々、フリムンは得意の突きの連打に加え、左ミドルやローをガンガン飛ばしながら早い段階で試合を終わらせようとしていた。

何故なら、彼の肉体が“細胞レベル”で相手の強さを感じ取っていたからだ。

スパーリングの相手も居らず、実戦不足によりスタミナに自信の無かったフ

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