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一人巣立った今考える、子育てとは何だったのか

案ずるよりも産むが易しなどと言われることもありますが、今思い返しても産むのは全然易いことなどではありませんでした。先日、テレビのニュースで国会議員の男性方が臨月の妊婦さんの実際を体験するためのジャケットを装着して歩いておられましたが、その大変さが少し伝わったようでした。

かといってそれを盾に威張ろうなどとはつゆとも考えていませんが、三度の妊娠出産は私にとっては楽しいというよりは苦しい記憶です。不安や不快感や体調不良や食欲のコントロール、通院入院など、妊産婦でないと味わうことのないことばかりでした。

そんな未熟な精神状態の母から生まれてきた三人の子どもたちですが、昨日ようやく一人目を巣立たせることができました。30年近くかけて私が到達した母とは何なのかということを考えてみたいと思います。

身近に甥や姪、友人の赤ちゃんなどがいなかったので赤ちゃんのいる生活は戸惑うことばかりで泣き止まないことに疲弊した毎日でした。笑ったり歩いたり話し始めたりと少しずつ楽しみができてそのうち二人目も授かり24時間体制で子どもと向き合う日々が続きました。専業主婦がこんなに忙しいとは想像もしていませんでした。

上の子の中学受験を転機に子育ての方針を180度変えることができました。目標を立ててそこに向かって無心で突っ走ることがつまらないことに気づいたからです。今あるところを喜んで楽しむことにしたら肩の力もぬけて子どもたちとの関係も風通しよくなりました。そして相手も徐々に成長し、人間対人間としてリスペクトしあえるようになりました。

そうなると後はスムーズで、子どもは輝き自分の道を自力で切り開いていってくれるようになったと振り返って思います。子どもに何かしてやったというよりは、子どもを通してどうすれば人と人がうまく付き合っていけるかを教えてもらった、そういう恵まれた日々でした。

三人の子どもたち一人ひとり個性があり、同じことをしたから同じ反応が返ってくる、というようなものではありませんがその違いがまた面白く、日々人間観察を楽しんでいます。同じ二人の親から生まれて同じ環境で育てたのにまあよくもそこまで違うものだと思いながら今のところ長女がうまく取りまとめてくれて姉妹仲良くしているのが何よりもありがたいことです。

子育ては子どもが本気の恋をした時に終了するとおっしゃったのは心理学者の河合隼雄先生だったと記憶しています。先日は上の娘のお相手のご両親とお目に掛かり、特にお母さまとは共感しあえるものを感じてご縁に感謝しているところです。

あまりお金を稼いでくることも何ら地位を築くこともできなかった55年でしたが心豊かに笑って暮らせていることが私の財産です。大した覚悟もなく授かった子どもたちのペースに振り回されながら悪戦苦闘した時間があったからこその大きな喜びと小さな達成感なのかと一人かみしめています。

さてさてあと二人。今回の経験を積んでさらに逞しくなった母は少々のことに動じない強者になりました。やっぱり「母は強し」は本当かもしれません。どんなお相手を連れてきてもびっくりはしませんよ。子どもの幸せだけが母の願いです。

連休二日目、にわか雨に注意でしょうか。本日も良き日でありますように。

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