岡本優(岡本インド研究所)

北インドを駆け巡って人々の生活を記録するひと。文化人類学の博士課程。 赤提灯のさがった…

岡本優(岡本インド研究所)

北インドを駆け巡って人々の生活を記録するひと。文化人類学の博士課程。 赤提灯のさがった居酒屋の空気とインドと猫を愛している。 website→ https://lit.link/okapindia

マガジン

  • インドのちょっと有益な話

    ヒンディー語学習のサポート記事とかインド情勢とかインド文化の研究の話とか

  • 漠然と取り留めのない

    岡本の思考や感覚を文章にまとめたエッセイ集です。読むと岡本の人生観や価値観がうっすらほんのりわかる気がします。

  • インドでの写真

    インドで見たものを切り取ったもの

  • 動画日記

    おもいついたときに動画とってアップします 旧:iPhone4Sがぶっ壊れるまで撮る日常(2020.5.12追記:昨年ぶっ壊れました)

記事一覧

インド旅のしおり vol.1

今日からぽつぽつと「インド旅のしおり」シリーズを投稿していこうかと。これは私が去年(2023年)に友達とインド旅行に行ったときに作ったもので、初めてインドに行く友達…

愛と理解と信頼と

昨日の夜、これから合同会社を立ち上げるメンバーの一人とオンラインで会話した。 私は「自分を見てくれ」という欲がすごく強い。彼女にもそれを見抜かれていて、クライア…

ラクダとヤギ

2023年、バラナシでガンジス川の対岸に渡ったとき、柔らかい砂地を歩く感覚で思い出したのは2010年の出来事だった。 2010年、私はインド西部の州・ラージャスタンの砂漠の…

スワルナとの思い出

留学一年目に住んでいた家の近くにスラムがあった。あるお祭りの夜をきっかけに、私はそのスラムに住む一家と仲良くなった。 一家の大黒柱は40代くらいの女性で、私はその…

100

ZINEを出し個展をやり1日店長やる

だいぶ長いこと書けていませんでした。 はてなブログもツイッターもインスタもあるのでね、いまいちnoteのポジションが自分のなかで定まっていなかったんですけど、まあい…

忘れることを許すこと

家の近くの空き地が売れたようだ。雑草避けのようなシートが張られていた空き地にはフェンスが立ち、工事予定の看板が下がっていた。 私はここの空き地が好きでも嫌いでも…

書くことを恐れない

しばらくnoteとブログを全く書かないでいた。半年以上か。書くことが好きでいながら、人前に書いたものをさらすのは恐怖を伴う。無理をする。取り繕う。素直な文章ではなく…

ギャーンヴァーピー・モスクとアヨーディヤー事件

最近のインドでは、バラナシにあるモスクが注目を集めている。 「ギャーンヴァーピー・マスジッド」という、ヒンドゥー寺院を破壊して建設されたモスクでヒンドゥー教徒が…

研究者とバンドマンを重ね合わせる

先日、無事に学会報告が終わりました。 学会があるからと後回しにしていた仕事やなんやもようやく片付き、やっと日々が平穏に戻りつつあります。 さて今回は、人文系の研…

多趣味酒好き低収入な博士学生

人生詰んでる気配がするタイトルですね。何を隠そう、これが岡本の人生。 趣味が多いし友人もたくさんいて楽しい日々ですが、しかしそろそろマジメに生活費の使い道を見直…

不マジメ文系博士学生のやってること

前回記事でnoteとブログの使い分けに迷った挙句、こちらは研究日誌というかインド関係の記事というか、とにかく多少は読みごたえ的な何かがある記事を書こうと思いました。…

岡本について

仕事のこと、研究のこと、いろいろまとめてみます。 (仕事やイベントのお誘いなど ttk.okamotoあっとまーくgmail.com まで☺) 何してる人?●インドの研究してます。 ●…

近況

ここ最近はトランプ大統領支持者による議事堂占拠や、それに関連する陰謀論関係のやり取りに心を痛めていました。日本の緊急事態宣言発令と新型コロナ感染者数の増大、医療…

年末年始の振り返り

詳しい経緯は12月28日のブログに書いたとおりなんですが、今年はもっとアクティブにSNS間を連携させて、ネット上の自分とリアルの自分の境目をできるかぎり無くし、私とい…

岡本カレー@VOX ※2021.1.5追記

↓開催報告、下書きのまま塩漬けされてました… 10月31日、西荻窪でとってもお世話になっているMusic Barでカレー屋として間借り営業させてもらいました。 この営業は「岡…

インド旅のしおり vol.1

今日からぽつぽつと「インド旅のしおり」シリーズを投稿していこうかと。これは私が去年(2023年)に友達とインド旅行に行ったときに作ったもので、初めてインドに行く友達のために役立ちそうな情報や行きたいお店の情報などをまとめたものだ。 こういうガイドブック的なものを作ったのは初めてで、右も左もわからず、パワーポイントでせこせこ作って自宅のプリンターで印刷したものをホチキスどめした。渡したときに喜んでもらえたのが嬉しかったなあ。 このガイドブックがきっかけになって、一緒にインドに行

愛と理解と信頼と

昨日の夜、これから合同会社を立ち上げるメンバーの一人とオンラインで会話した。 私は「自分を見てくれ」という欲がすごく強い。彼女にもそれを見抜かれていて、クライアントさんに貢献したいのか、それともクライアントさんたちを通して自分の力を誇示したいのか、その心持ちが微妙に違うだけで事業には大きく影響するだろう、だからまず自分と向き合ってみてほしい、と言われた。 あなたの本当にやりたいこと、あなたが本当に欲しいと願っているもの、それはなんなのか、と問われているような気がした。

ラクダとヤギ

2023年、バラナシでガンジス川の対岸に渡ったとき、柔らかい砂地を歩く感覚で思い出したのは2010年の出来事だった。 2010年、私はインド西部の州・ラージャスタンの砂漠の中で迷子になって死にかけていた。どうしてそんなことになったのかと言えば、「私が砂漠を舐めていたから」に他ならない。なにせ携帯どころかコンパスさえ持たずに踏み込んだのだ。 村からまっすぐ進んでまっすぐ戻るだけ。そう思ってしばらく砂の中を進み、振り返るともう足跡は風に消し飛ばされていた。四方どこを見ても砂と

スワルナとの思い出

留学一年目に住んでいた家の近くにスラムがあった。あるお祭りの夜をきっかけに、私はそのスラムに住む一家と仲良くなった。 一家の大黒柱は40代くらいの女性で、私はそのおばちゃんのことを「アンティー」と呼んで慕っていた。夫は酒とギャンブル中毒、ほとんど家に帰ってこないで仕事もせずほっつき歩いているという。家計を支えていたのはアンティーで、彼女は家政婦として朝から晩まで働きに出ていた。 同じ敷地に住むアンティーの姪・スワルナ(仮名)は当時14歳くらいだった。 スワルナの母はだいぶ

¥100

ZINEを出し個展をやり1日店長やる

だいぶ長いこと書けていませんでした。 はてなブログもツイッターもインスタもあるのでね、いまいちnoteのポジションが自分のなかで定まっていなかったんですけど、まあいいやもう書いちゃえ、だって私いくらでも書けるんだから、と振り切って今書いてます。 今年の5月に自費で本を出しました。 16年間分のインドの思い出の一部を綴ったZINEで、その名を「Word Chain-dia」といいます。なんとこちらはvol.1で、つまり第1号ということで、要するに続編を作るつもりでいます。

忘れることを許すこと

家の近くの空き地が売れたようだ。雑草避けのようなシートが張られていた空き地にはフェンスが立ち、工事予定の看板が下がっていた。 私はここの空き地が好きでも嫌いでもなかった。建物が建つことに賛成も反対もない。 ただ、雨の日にこの空き地に張られたシートに雨粒が当たり、反射して聞こえてくる音が、川のせせらぎのようだったことは覚えている。その音をよく聴こうと雨の中わざわざ立ち止まったこともある。雨の日のほんのささやかな楽しみだった。 もともと、今いる場所から別の場所に繋げてくれる

書くことを恐れない

しばらくnoteとブログを全く書かないでいた。半年以上か。書くことが好きでいながら、人前に書いたものをさらすのは恐怖を伴う。無理をする。取り繕う。素直な文章ではなくなって、書くこと自体が重くなる。それを繰り返して、なんだかいつもnoteをうまく書けないでいた。 昨日、指導教官に論文(の切れ端)を送った。自分が心の底から書きたいように書いた、ピアレビュー相手からは「論文らしくない」と評価された、そんな論文。 怖くて怖くて泣きながら送信ボタンを押して、押した後も涙は止まらなくて

ギャーンヴァーピー・モスクとアヨーディヤー事件

最近のインドでは、バラナシにあるモスクが注目を集めている。 「ギャーンヴァーピー・マスジッド」という、ヒンドゥー寺院を破壊して建設されたモスクでヒンドゥー教徒が礼拝することを容認するように裁判所に嘆願が出されていて、その審議が地方の裁判所の手に負えなくなり、最高裁に移されたのだった。 大きな注目を集めたのは、モスクの内部調査で「シヴ・リンガ」らしきものが見つかったと報告されてからだった。このモスクがカーシー・ヴィシュヴァナート寺院を破壊して建造されたものであることはとっくの

研究者とバンドマンを重ね合わせる

先日、無事に学会報告が終わりました。 学会があるからと後回しにしていた仕事やなんやもようやく片付き、やっと日々が平穏に戻りつつあります。 さて今回は、人文系の研究者の活動をミュージシャンの音楽活動に例えてみよう!…と思いつきましたのでご覧ください。以前ツイッターで少しつぶやいたものを整理してみました。 (人文系すべてに当てはまるものではないです。なお岡本は文化人類学専攻です) 所属ゼミでの発表=スタジオ練習?私の感覚では、大学のゼミ発表はバンドのスタジオ練習やギター教室で

多趣味酒好き低収入な博士学生

人生詰んでる気配がするタイトルですね。何を隠そう、これが岡本の人生。 趣味が多いし友人もたくさんいて楽しい日々ですが、しかしそろそろマジメに生活費の使い道を見直して貯蓄を増やさねばと焦る思いもあります。 とりあえず赤裸々に、今のだいたいの収入と支出を整理してみました。 収入について博士課程に在籍しているのでまだ学生ではあるけど、個人事業主として働いてもいます。 某海外向けメディアから翻訳と制作の業務を受託していて、だいたい月36時間くらい働いて15万円くらいの収入。もともと

不マジメ文系博士学生のやってること

前回記事でnoteとブログの使い分けに迷った挙句、こちらは研究日誌というかインド関係の記事というか、とにかく多少は読みごたえ的な何かがある記事を書こうと思いました。 とりあえず私みたいな適当で不マジメな人間がどんな研究生活を送ってるか書こう、と思ったけど、世間一般に文系の研究生活ってどうイメージされているんだろう? というわけなので、まずは文系の中でもド文系だと思われる文化人類学の大学院生が何やってるかを紹介しときます。 (岡本は学部はインド近現代史の研究、修士は地域研究

岡本について

仕事のこと、研究のこと、いろいろまとめてみます。 (仕事やイベントのお誘いなど ttk.okamotoあっとまーくgmail.com まで☺) 何してる人?●インドの研究してます。 ●インドの家庭料理を作って売る間借り営業してます。 ●ヒンディー語の翻訳校正(&たまに翻訳)してます。 ●ときどきインド関係の記事のライターやってます。 ●オンラインでヒンディー語教えてます。(グループレッスンと個別) ●西荻窪の酒場でしょっちゅう飲んでます。 ●インドに住んでた頃は日本人向けの

近況

ここ最近はトランプ大統領支持者による議事堂占拠や、それに関連する陰謀論関係のやり取りに心を痛めていました。日本の緊急事態宣言発令と新型コロナ感染者数の増大、医療崩壊の危機についても心は痛むけど、トランプ支持者の多くが陰謀論と親和性が高く、この占拠事件でそういった主張の存在が表出したことのほうが、今後の世界にとって決定的に重要な出来事のように思えるのです。 研究を行い物を書いて食べていくことを目指している者として、先人たちが積み上げてきた歴史や先行研究、その結晶としての科学や

年末年始の振り返り

詳しい経緯は12月28日のブログに書いたとおりなんですが、今年はもっとアクティブにSNS間を連携させて、ネット上の自分とリアルの自分の境目をできるかぎり無くし、私という人間の行動や思考をクリアーにしようと思います。 何を考えているのか何を食べているのか何を聴いて何を見て何を感じているのか、SNSへの投稿はその一瞬を切り取る。それを脈絡なく繋げていく。 思えば私の思考には脈絡がなく、wikipediaのリンクのように、あるいはもっと無目的・無作為に別の話題へとジャンプしていく

岡本カレー@VOX ※2021.1.5追記

↓開催報告、下書きのまま塩漬けされてました… 10月31日、西荻窪でとってもお世話になっているMusic Barでカレー屋として間借り営業させてもらいました。 この営業は「岡本カレー研究所」といって、遡ること2017年頃から西荻窪で細々とカレーを作って売っていたのです。西荻窪の南口にある、飲兵衛にしか見ることのできない細い路地では第3日曜日に昼飲みのイベントがあり、そこで露店を出してチキンカレーや野菜カレーを売っていました。 コンセプトは「インドの家庭料理を食べよう!」で