岡本ゆかこ(インド生活誌研究)

インド(主にデリーとパンジャーブ)を駆け巡って人々の生活を記録するひと。 文化人類学を…

岡本ゆかこ(インド生活誌研究)

インド(主にデリーとパンジャーブ)を駆け巡って人々の生活を記録するひと。 文化人類学を専攻し、もうすぐ博士論文を書き上げられるかもしれない。そんな生活も7年目。 赤提灯のさがった居酒屋の空気とインドと猫を愛している。

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忘れることを許すこと

家の近くの空き地が売れたようだ。雑草避けのようなシートが張られていた空き地にはフェンスが立ち、工事予定の看板が下がっていた。 私はここの空き地が好きでも嫌いでもなかった。建物が建つことに賛成も反対もない。 ただ、雨の日にこの空き地に張られたシートに雨粒が当たり、反射して聞こえてくる音が、川のせせらぎのようだったことは覚えている。その音をよく聴こうと雨の中わざわざ立ち止まったこともある。雨の日のほんのささやかな楽しみだった。 もともと、今いる場所から別の場所に繋げてくれる

    • 書くことを恐れない

      しばらくnoteとブログを全く書かないでいた。半年以上か。書くことが好きでいながら、人前に書いたものをさらすのは恐怖を伴う。無理をする。取り繕う。素直な文章ではなくなって、書くこと自体が重くなる。それを繰り返して、なんだかいつもnoteをうまく書けないでいた。 昨日、指導教官に論文(の切れ端)を送った。自分が心の底から書きたいように書いた、ピアレビュー相手からは「論文らしくない」と評価された、そんな論文。 怖くて怖くて泣きながら送信ボタンを押して、押した後も涙は止まらなくて

      • ギャーンヴァーピー・モスクとアヨーディヤー事件

        最近のインドでは、バラナシにあるモスクが注目を集めている。 「ギャーンヴァーピー・マスジッド」という、ヒンドゥー寺院を破壊して建設されたモスクでヒンドゥー教徒が礼拝することを容認するように裁判所に嘆願が出されていて、その審議が地方の裁判所の手に負えなくなり、最高裁に移されたのだった。 大きな注目を集めたのは、モスクの内部調査で「シヴ・リンガ」らしきものが見つかったと報告されてからだった。このモスクがカーシー・ヴィシュヴァナート寺院を破壊して建造されたものであることはとっくの

        • 研究者とバンドマンを重ね合わせる

          先日、無事に学会報告が終わりました。 学会があるからと後回しにしていた仕事やなんやもようやく片付き、やっと日々が平穏に戻りつつあります。 さて今回は、人文系の研究者の活動をミュージシャンの音楽活動に例えてみよう!…と思いつきましたのでご覧ください。以前ツイッターで少しつぶやいたものを整理してみました。 (人文系すべてに当てはまるものではないです。なお岡本は文化人類学専攻です) 所属ゼミでの発表=スタジオ練習?私の感覚では、大学のゼミ発表はバンドのスタジオ練習やギター教室で

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        • インドでの写真
          10本
        • ヒンディー語学習
          3本
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          5本
        • 漠然とした取り留めのないものごと
          5本

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          多趣味酒好き低収入な博士学生

          人生詰んでる気配がするタイトルですね。何を隠そう、これが岡本の人生。 趣味が多いし友人もたくさんいて楽しい日々ですが、しかしそろそろマジメに生活費の使い道を見直して貯蓄を増やさねばと焦る思いもあります。 とりあえず赤裸々に、今のだいたいの収入と支出を整理してみました。 収入について博士課程に在籍しているのでまだ学生ではあるけど、個人事業主として働いてもいます。 某海外向けメディアから翻訳と制作の業務を受託していて、だいたい月36時間くらい働いて15万円くらいの収入。もともと

          多趣味酒好き低収入な博士学生

          不マジメ文系博士学生のやってること

          前回記事でnoteとブログの使い分けに迷った挙句、こちらは研究日誌というかインド関係の記事というか、とにかく多少は読みごたえ的な何かがある記事を書こうと思いました。 とりあえず私みたいな適当で不マジメな人間がどんな研究生活を送ってるか書こう、と思ったけど、世間一般に文系の研究生活ってどうイメージされているんだろう? というわけなので、まずは文系の中でもド文系だと思われる文化人類学の大学院生が何やってるかを紹介しときます。 (岡本は学部はインド近現代史の研究、修士は地域研究

          不マジメ文系博士学生のやってること

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          一日一フィールド写真【6】

          一日一フィールド写真【6】

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          一日一フィールド写真【5】

          一日一フィールド写真【5】

          一日一フィールド写真【4】

          一日一フィールド写真【4】

          岡本について

          仕事のこと、研究のこと、いろいろまとめてみます。 (仕事やイベントのお誘いなど ttk.okamotoあっとまーくgmail.com まで☺) 何してる人?●インドの研究してます。 ●インドの家庭料理を作って売る間借り営業してます。 ●ヒンディー語の翻訳校正(&たまに翻訳)してます。 ●ときどきインド関係の記事のライターやってます。 ●オンラインでヒンディー語教えてます。(グループレッスンと個別) ●西荻窪の酒場でしょっちゅう飲んでます。 ●インドに住んでた頃は日本人向けの

          一日一フィールド写真【3】

          一日一フィールド写真【3】

          一日一フィールド写真【2】

          一日一フィールド写真【2】

          一日一フィールド写真【1】

          一日一フィールド写真【1】

          フィールドワークで撮った写真たち

          twitterで「#一日一フィールド写真」というタグが以前から気になっていた。人類学や現地調査の必要な研究をしている人たちが、コロナ終息後に現地調査を再開できるよう願って現地の写真を投稿しているらしい。 参加したいけど怠惰な私じゃ毎日投稿はできないなと思って勇気がでない。それで、noteのほうでゆるゆるだらだら「一枚でも多く投稿」を目指し、現地の写真をアップロードしています。 人の顔が映っているものはなるべく使わず、執筆中の論文に関係するものも外すと、アップロードできる写

          フィールドワークで撮った写真たち

          近況

          ここ最近はトランプ大統領支持者による議事堂占拠や、それに関連する陰謀論関係のやり取りに心を痛めていました。日本の緊急事態宣言発令と新型コロナ感染者数の増大、医療崩壊の危機についても心は痛むけど、トランプ支持者の多くが陰謀論と親和性が高く、この占拠事件でそういった主張の存在が表出したことのほうが、今後の世界にとって決定的に重要な出来事のように思えるのです。 研究を行い物を書いて食べていくことを目指している者として、先人たちが積み上げてきた歴史や先行研究、その結晶としての科学や

          年末年始の振り返り

          詳しい経緯は12月28日のブログに書いたとおりなんですが、今年はもっとアクティブにSNS間を連携させて、ネット上の自分とリアルの自分の境目をできるかぎり無くし、私という人間の行動や思考をクリアーにしようと思います。 何を考えているのか何を食べているのか何を聴いて何を見て何を感じているのか、SNSへの投稿はその一瞬を切り取る。それを脈絡なく繋げていく。 思えば私の思考には脈絡がなく、wikipediaのリンクのように、あるいはもっと無目的・無作為に別の話題へとジャンプしていく