研究者とバンドマンを重ね合わせる

先日、無事に学会報告が終わりました。
学会があるからと後回しにしていた仕事やなんやもようやく片付き、やっと日々が平穏に戻りつつあります。

さて今回は、人文系の研究者の活動をミュージシャンの音楽活動に例えてみよう!…と思いつきましたのでご覧ください。以前ツイッターで少しつぶやいたものを整理してみました。
(人文系すべてに当てはまるものではないです。なお岡本は文化人類学専攻です)

所属ゼミでの発表=スタジオ練習?

私の感覚では、大学のゼミ発表はバンドのスタジオ練習やギター教室での講習みたいな感じです。
そもそもゼミ(ゼミナール)とは、開催している教授や准教授の指導のもとでその先生の専門分野を実践的に学ぶクラスのことで、そこに集った学生同士でディスカッションしたり、指導を受けながら論文を書いたりします。

週1回なり月1回なり半年に1回なり、とにかく定期的に同じメンバーで集まって課題本について議論したり論文の構想を発表する。質問に答えたり先生から指摘を受けたりして論文や研究内容を練り上げていく。
これがなんとなく岡本周りのミュージシャンの言う「スタジオリハ」に似ているなあと思うのです。
(ちなみに岡本はミュージシャンではないですが周りにミュージシャンやってる知り合いがたくさんいます)

学会とフェスは似ている

セミナーや研究会での研究発表はライブハウスでのイベントに例えやすいかもです。
セミナーや研究会では自分以外にも2、3人の登壇者と共に研究発表することが多いです。研究会によってはざっくりした共通テーマが設定されていて、たとえば「18世紀のパンジャーブ州」みたいなテーマのもとでそれぞれの持ちネタを30分くらいかけて話します。

ミュージシャンもライブハウスのイベントや2マン・3マンなどに出ますよね。「ノイズ系ハロウィン」みたいにイベントのテーマ(?)がかっちり決まっているところもあれば、ざっくばらんなところもあると、様々なライブハウスに出かけては思うわけです。研究会とよく似ているなあと。
ミュージシャンはワンマンを開催することもありますが、それは研究者も同様で、単独での研究発表会や講演会もときに行われています。

さて、小規模な研究会がライブハウスでのイベントだとしたら、学会の本大会はフェスと言っても良いでしょう。
大きな学会だと2日間など複数日やるし、会場もA会議室、B会議室、C会議室と分かれていて、配られたタイムテーブルを見つつ参加者は「13時までAで発表見たら13時半からBに行こ」とか計画を練る。地方の大学で開催されるときは学会後(フェス後)の観光計画を立てたりもします(それは岡本だけかもしれませんが)。
一方で出演者側、つまり研究の発表者は、自分の発表時に人がいすぎるのも緊張するし、かと言って人がいなさすぎても「自分のテーマはこんなに人気がないのか」と落ち込む、難儀なものです。あと、2日目の発表者は初日の懇親会を全力で楽しめないのでさらにつらい(それも岡本だけかもしれない)。
ミュージシャンのフェス出演はどうなんでしょうかね。緊張するけど見てもらいたいっていう葛藤があるものなのかな。

作品発表

こうして研究発表(ライブ)を行う傍ら、作品、つまり論文も出さなくてはいけません。だいたい最初は研究誌(コンピレーション)に載せる20ページくらいの論文を書きますね。
投稿論文は掲載可否の審査を受けることが多いので、コンピアルバムというか、タイアップや楽曲提供でプロデューサーの審査やオーディションを受けるイメージでしょうか…?

博士号の取得を目指す駆け出しの研究者にとってまず第一の目標は、200ページくらいある博士論文(デビューアルバム)を出すことなので、20ページくらいの論文(シングル曲)をこつこつ書いては雑誌に投稿します。それで名を売り出すだけでなくフィードバックをもらい、博士論文に合わせて少し改稿するなど切磋琢磨(リマスタリング)するのです。

だいたいの研究者は研究活動だけでなく、大学などに所属して学生を教育するという仕事も行う(ことを目指す)ので、まあミュージシャンが自分のバンドの活動だけでなくギター教室の講師になったりするようなものかもしれませんが、それでも生涯を通して論文を書いたり学術書を出すことに情熱を注ぎます。

しかし悲しいかな、大学や研究機関のポストはとっても少ないんですね…涙

食べていけるのは一握り…そんな現実も似ている

研究者が最初に目指す地点、それはもちろん研究で生活できるようになることです。

というわけで、どこかの大学や研究機関(事務所)に所属して活動する機会を得ようとみんな必死ですが、しかしそのポストを得られるのはほんの一握りの研究者(ミュージシャン)なのです。

多くの若手研究者は、研究機関の期限付き契約や別のバイトとの掛け持ちで自らの研究を続けているのが実情。そんなバンドマンやミュージシャンも周りに結構いるのです…。

でも、それでみんな暗くなっているかというとそうでもなくて、やっぱり自分の好きなこと、楽しいことをやっているからか、生活が苦しいは苦しいけど輝いているようにも思えます。
実際、私もまだ研究を仕事にできていない博士課程の学生ですが、生活は苦しくとも楽しい日々です。

というわけで突発的に研究者とミュージシャンを重ねてみたわけですが、想像以上に似ていると感じるところがありました。これからの岡本は周りのバンドマンと励ましあい支えあって生きていきたいと思います。
そのうち論文の朗読とかでライブハウスのイベント出してもらえないかしら。


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