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私の好きな「徒然草」の一節

こんにちは。

牧 菜々子です。

私の好きな、徒然草の一節。

それは、優先順位の低いものはきっぱりと捨てることの重要性を説いた一節です。

人生は短い。

優先順位の低いことに追われていては、人生の終わりに後悔する。

人生の一番の目的を果たすためには、たとえ途中まで進んでいる事柄であっても、惜しむことなく捨てるべきだ。

そんな教えが伝わってきます。

目の前まで来ていてもすぐに引き返すべきだ

徒然草第188段には、こんな一節があります。

「東山の人に用事があって、急いで会いに行ったとします。

ところが、家の前に到着してから、『待てよ、この人よりも先に、西山の人に会ったほうが大きな利益がある』と気がつきました。

こんな時には、目の前の家には入らず、速やかに引き返して、反対側の西山へ向かうべきなのです。

それなのに、多くの人は、

『せっかくここまで来たのに、このまま引き返すのは残念だ。

玄関に入って、用事を済ませてしまおう。

西山へは、また次の機会に行けばいい』

と思ってしまいます。

このような、一時の判断の誤り、怠慢な姿勢が、そのまま、一生を後悔させる結果になるのです。」(『こころ彩る徒然草』木村耕一著)

目の前まで来ているのですから、引き返すにしてもまずこの家に入ってからにしようと、普通は思ってしまうものです。

ところが、その判断が、人生の終わりに帳尻を合わなくさせるのです。

その分、大事なことが後回しにされて、大きな目的を果たせなくなる。

人生は短い。

途中まで進んでいる事柄であっても、きっぱり捨てることができるかどうかが、人生の質を左右するのです。

なかなかできないことだからこそ大きな差になる

目の前まで来ていたら、引き返すというのはなかなかできることではありません。

でも、だからこそ、それができるならば、大きな差になるということです。

そもそも、「実は間違いだった」ということを認めるまでにも、かなりの時間がかかるのが普通です。

そこを、瞬時に認めて、速やかに引き返す。

優先順位の低いことは、きっぱりと捨てる。

人生の最期に帳尻が合わなくなることを、避けるために。

心に留めておきたい、心がけなのです。