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2022天皇賞・秋 1頭VS14頭の戦い

2022天皇賞・秋では逃げるパンサラッサと2番手バビットとの差がどんどん広がっていき、1頭VS14頭で別のレースを行っているかのような展開となりました。何故そのような状態になったのか、ジャックドール視点で振り返ってみたいと思います。詳細を語るにはYouTubeだと難しく文字と平均完歩ピッチのグラフで説明していきます。 まずは0~100m区間のグラフ。比較レースとして同コースでの2戦、レイパパレに序盤プレッシャーを掛けられ厳しい逃げの形となった大阪杯、そして逃げない形でレース

    • カラ馬シルヴァーソニックが教えてくれたこと

      Twitterでのアンケートの回答、ありがとうございました。ディープボンド、アイアンバローズそしてシルヴァーソニックは阪神大賞典での上位3頭。検証するには絶好のシチュエーションでした。それではいろいろデータを見てもらいましょう。まずはその阪神大賞典での走行データ。3分割してあります。 前半・中盤を見る限りピッチレベルはディープボンドが異質の存在です。現役屈指の大トビランナー。シルヴァーソニックは3頭の中では中間の存在ですが、アイアンバローズに近いですね。後半シルヴァーソニッ

      • ダイアトニック 返し馬

        レース当日の夜、Twitterでダイアトニックが返し馬で暴れた映像を見た際、大声が聞こえる直前に左側に逃避していると思ったので、別に騒ぎになっているとは思っていませんでした。 月曜日の夜遅くダイアトニックの情報を見ようと思ってnetkeibaを開いたところ、大騒ぎになっていることに気付き、Twitterでも検索して事の重大さを知ることになり、当方で録画していた映像を細かく見てみました。 常日頃、ラップタイムをはじめとしてレース中での事象を説明する機会の多い私ですから、「映

        • ジャックドール 全9戦走行データ

          デビュー以来一貫して芝2000m戦を走ってきたジャックドール。全9戦の走行データとともにその走りを振り返ってみましょう。データはジャックドール自身が刻んだラップタイムと100m毎の平均完歩ピッチとなります。また、ラストスパート時の平均完歩ピッチのピーク区間は丸印で表現しています。まずはデビューから3戦まで。 道中3、4番手を進んだ新馬戦では4コーナーを回り切る前に手前を替えてしまい外に膨れるロスがありながらも残り200mを過ぎて先頭に立ちました。しかしアオイショーの豪脚に屈

        2022天皇賞・秋 1頭VS14頭の戦い

          2021菊花賞 振り返り

          タイトルホルダーとオーソクレースに的を絞り、2021菊花賞を振り返ってみたいと思います。まずはタイトルホルダーの前半1000mを逃げ切った弥生賞と比較してみましょう。 前半200m辺りまで、ハナに立つためよく踏み込んでダッシュを効かせています。シュネルマイスターを完封した弥生賞と比べ、200~300m区間以外は絶えず平均完歩ピッチの値が下回っています。菊花賞ではこの後弥生賞の倍の距離を走らなければならないので、後にどこかで緩める必然性が伴う逃げの形。レース前に3:03.1く

          2021菊花賞 振り返り

          クロノジェネシスの特性 ~凱旋門賞制覇へ向けて~

          今年の宝塚記念をごく当たり前のようにアッサリと勝ったクロノジェネシス。まさに負けようがないという見事な快勝劇でしたが、いよいよ今秋の凱旋門賞へ向かうようです。どんなレースとなれば凱旋門賞の勝機が訪れるのか、全15戦のラストスパートの様子をクローズアップしてクロノジェネシスの特性を探ってみましょう。。 上がりのかかるレース、タフなレースで真価を発揮する、というのが一般的な印象のようですが、私の捉え方としては半分当たっているけど半分間違っている、といったイメージなんですね。2歳

          クロノジェネシスの特性 ~凱旋門賞制覇へ向けて~

          バスラットレオン 2021NHKマイルC 振り返り

          バスラットレオンのNHKマイルCでの走りを振り返ってみましょう。 といっても、バスラットレオンはスタート直後に落馬競走中止となっているわけですが、空馬で走り続ける姿が各種レース映像にかなりの頻度で映っており、走行データを採ってみると、私か想像していた通りのおもしろい結果となりましたので、類を見ない回顧記事となりますが少々お付き合いください。 まずは個別ラップから。 走破タイム 1:35.4 14.0-11.3-11.7-11.7-11.9-11.9-11.6-11.3

          バスラットレオン 2021NHKマイルC 振り返り

          現代によみがえるか、女傑テスコガビー

          桜花賞で最も印象深い馬と言えば?と問われたら、私が名を挙げるのはテスコガビー。もっとも、私がリアルタイムで見た最初の桜花賞はインターグロリアが勝った1977年。テスコガビーはその2年前の勝ち馬でしたが、毎年桜花賞の時期になるとテレビの競馬中継やスポーツ紙でテスコガビーの名をいつも見ることとなり、あの衝撃的なブッちぎりのレースを見れば、テスコガビーの魅力に取りつかれるのは当たり前でした。ということで、テスコガビーの桜花賞を振り返ってみようと思います。 この桜花賞の公式ラップも

          現代によみがえるか、女傑テスコガビー

          インディチャンプの距離適性

          2019年に安田記念、マイルCSを勝ったインディチャンプですが、ここ2走は芝1400m戦を使い、3、4着。メンバーの質を考えれば物足らない内容となってしまいました。 この2レースでの個別ラップはこんな感じでしょう。 2020阪神カップ 1:20.1:12.6-10.9-11.4-11.2-11.3-11.1-11.6 2021阪急杯 1:19.6:12.5-10.7-11.4-11.2-11.2-11.0-11.6 走破タイム差が、そのまま馬場差と見て問題なく、通った

          インディチャンプの距離適性

          ギベオンの走りで風と馬場の違いを考えてみよう

          今年の金鯱賞を逃げきったギベオンは、昨年の同レースでは道中3、4番手を進み4着入線。同じようにインを通っていただけに、多少は比較しやすい面があろうかと思いますので、この2レースの走行データから風の様子や馬場の違いを考えてみましょう。とは言っても、ハッキリと結論付けできるほどではありませんので、いくつかポイントだけ簡単に触れておきます。 まずは個別ラップから。精度は95%ほどです。 2021年 2:01.8 13.1-11.8-12.2-12.4-11.9-11.7-11.

          ギベオンの走りで風と馬場の違いを考えてみよう

          カラテの615.1倍未勝利戦と東京新聞杯を比べてみよう

          単勝オッズ615.1倍で迎えた4戦目となる未勝利戦から2年3か月後、カラテはG3東京新聞杯を制するまで成長を遂げました。この2レースは距離こそ200m違いますが同じ東京芝コース。この2年少々での変貌ぶりを比較してみましょう。まずは個別ラップから。 2018/11/11東京4R2歳未勝利 14.0-12.1-12.5-12.8-12.6-12.7-11.5-11.3-11.3 2021/02/07 東京新聞杯 12.6-11.3-11.5-11.6-11.4-11.4-11

          カラテの615.1倍未勝利戦と東京新聞杯を比べてみよう

          3頭の三冠馬全レース走行データ、そして稀代の名牝ラストラン

          ジャパンカップで激突する、3頭の三冠馬の全レース個別ラップと100m毎の平均完歩ピッチを公開しておきます。一応スクショを貼っておきますが、見にくいと思うのでExcelをダウンロードして各自眺めるとよろしいかもしれません。また、私算出のスピード指数の値も加えておきました。指数を補正するイメージも付け加えてあります。 いよいよアーモンドアイのラストランとなりました。デビューから3年少々経ちますが、その間、実に楽しい思いをさせてくれました。デビュー当時から私が同馬をどう捉えていた

          3頭の三冠馬全レース走行データ、そして稀代の名牝ラストラン

          2020天皇賞・秋 振り返り

          久しぶりに全頭個別ラップ(0.1秒単位)を載せてみようと思いますが、初めてご覧になる方に向け、留意点を書いておきます。その要旨を端的に表せばこうなります。 「ラップの値を独り歩きさせてはアカンよ」 ラップの値の背景をよく踏まえる必要があります。では、以下にその具体的な内容をいくつか記しておきましょう。 ◆コース形状を考える 平坦なALL直線600mを12.0-12.0-12.0で走ったとします。これと同じ力の入れ具合で、東京競馬場芝コース残り600mを走ってみると、2

          2020天皇賞・秋 振り返り

          コントレイルのレースと調教

          デアリングタクトの関係者の方々、史上初となる無敗での牝馬三冠達成おめでとうございます。キャリア僅か5戦ですよ。私のイメージだと、もっとレースを走っていたように感じるんですが、それは私の頭の中でデアリングタクトが何度も走っていたからそう感じただけで、全5戦、非常に濃い内容のレースばかりでした。三冠最後の秋華賞はTwitterで触れたように4コーナーをクリアするまで、20完歩近く逆手前で走っていました。僅かの差程度ではあるものの、この逆手前で走っていた区間が最速ピッチをマークして

          コントレイルのレースと調教

          デアリングタクトの調教

          オークス以来ぶっつけで秋華賞出走となるデアリングタクト。ひと夏越してからのレースぶりを見られなかった以上、調教の様子から状態面等を探らなければならないので、追い切り時の完歩ピッチデータを採ってみました。今回は細分化して50m毎の平均値とし、コース調教、坂路調教と分けてみました。また、コース調教のグラフには参考値としてオークスのデータも入れてあります。 オークス(コース調教ピンク)を簡単に振り返ってみますと、残り600mから既に前段スパートに入っており、4コーナーを回ってから

          デアリングタクトの調教

          スプリンターとマイラーの違い

          先日こんなTweetをしてみました。 ディープインパクト産駒であるグランアレグリアが、高松宮記念に引き続き芝1200m戦G1スプリンターズSに出走するので、こんな話題を出してみたのです。今回のスプリンターズSで予想される上位4番人気までの馬は、Speightstown産駒、ロードカナロア産駒2頭、そしてディープインパクト産駒。そのディープインパクト産駒の中山芝1200m戦での平均前後半ラップは、他の2頭の種牡馬産駒の傾向と大きく異なります。その辺りをもう少し深く探ってみまし

          スプリンターとマイラーの違い