カラ馬シルヴァーソニックが教えてくれたこと

Twitterでのアンケートの回答、ありがとうございました。ディープボンド、アイアンバローズそしてシルヴァーソニックは阪神大賞典での上位3頭。検証するには絶好のシチュエーションでした。それではいろいろデータを見てもらいましょう。まずはその阪神大賞典での走行データ。3分割してあります。


前半・中盤を見る限りピッチレベルはディープボンドが異質の存在です。現役屈指の大トビランナー。シルヴァーソニックは3頭の中では中間の存在ですが、アイアンバローズに近いですね。後半シルヴァーソニックはピッチが上がっていませんが、この馬はスピードアップする際にピッチを上げるよりもストライドを伸ばす比重が高いタイプ。

2頭から後れを取ったのは上がりの勝負で分が悪かったイメージです。少なくともアイアンバローズの方がこのレースのようなスローからの上がり勝負では優位に立てます。シルヴァーソニックのピッチの値が他の2頭とどう離れているかをイメージしておいてください。

次は天皇賞・春の前半。出遅れた格好のシルヴァーソニックはその後、他の2頭よりラップを大きく上げているので比較はしにくい区間となります。

次は中盤。3頭とも近いラップを刻んで走っているのでピッチレベルの比較が容易な区間。シルヴァーソニックのピッチレベルは2頭の中間となっていました。どちらかと言えばディープボンド寄りくらい。阪神大賞典とは全く違う姿となりました。

次は後半。とうとうディープボンドとクロスしてしまう箇所も出てきました。阪神大賞典とは完全に別馬の動きです。例えば安田記念を勝つ馬は新馬戦から時計を4秒くらい縮めたりするケースがありますが、そういう馬でもここまで激変することは一切ありません。これだけピッチを落としてもストライドを大きく伸ばしてスピードに乗って走れる理由は、「騎手を乗せていない」ということに他なりません。

もう一つ比較表を作ってみました。まずはディープボンドの前走との比較。青矢印で繋げているのは同ラップで走っている区間。ちなみに馬場差は走破タイムから弾き出しますが、このような比較データから、より精度の高い馬場差を知ることができます。

馬場発表上、この2レースは良と稍重と異なっていますが、馬場の速さはほぼイーブンですね。アイアンバローズの比較表でもわかるかと思います。

さて問題のシルヴァーソニック。同ラップだとピッチの値が全く異なるので、同じようなピッチの値となっている区間をピンク矢印で繋げてみました。少なく見積もって同ピッチなら0.5秒、多く見積もって1秒も200m区間でのラップの違いがあります。

つまり、このシルヴァーソニックがカラ馬で走れば、1600mあたり4~8秒くらい走破タイムが変わってくる可能性があるのです。しかしその一方、私の記憶の範疇だとカラ馬で最もぶっちぎったのは中山芝2000mでシンボリマルタンが1.5秒くらいのモノ。前述の机上の計算とは合いません。

リプライを寄せていただいた中で興味深いのが「上に乗ってる人間の力は思うより大きいかな」。これは騎手が馬を頑張って走らせていると解釈しましたが、その他、私も同じように感じたのが「気持ち良さげに走ってたなソニックくん」。

シルヴァーソニックはほぼ一定のスピードで押し上げ、1周目ホームストレッチを右手前で走った後、逆手前となる左手前に替え1コーナーからインベタでコーナーをクリアする等、余裕綽々で走っていたように感じたんですね。その余裕度からいつでもタイトルホルダーを交わせたんじゃないかと思うんですが、群れを先頭で引っ張る馬の番手をキープすることが気分良かったのか、シルヴァーソニックはおそらく全力では走っていなかったのではないかと思うんです。入線後タイトルホルダーが緩めて自分が先頭に立ち、気分良く走っていた形が壊れてしまったので、その腹いせにベリーロールをやってしまったのではないかと(笑)

冗談はさておき、ノリさんが言う「馬はよく頑張っている」というのは確かな話で、騎手がしっかり走らせているところは大いに考えられるかなと思います。過去のカラ馬坂路Tweetがこちら。

ブルミラコロで1600m換算4.4秒。コパノピエールで7.0秒。カラ馬坂路のデータからもシルヴァーソニックが導いてくれた1600mあたり4~8秒というのはそんなにおかしな話ではないと思いますし、斤量1kgの差は1600mで0.10~0.15秒くらいあるのは、長年私が抱いている感覚とも似た値です。参考にしていただければ。


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