ダイアトニック 返し馬

レース当日の夜、Twitterでダイアトニックが返し馬で暴れた映像を見た際、大声が聞こえる直前に左側に逃避していると思ったので、別に騒ぎになっているとは思っていませんでした。

月曜日の夜遅くダイアトニックの情報を見ようと思ってnetkeibaを開いたところ、大騒ぎになっていることに気付き、Twitterでも検索して事の重大さを知ることになり、当方で録画していた映像を細かく見てみました。

常日頃、ラップタイムをはじめとしてレース中での事象を説明する機会の多い私ですから、「映像をコマ送りにして調べてみました」云々の注釈は不要だろうと思い、このようなTweetをしたわけです。

https://twitter.com/mahmoud1933/status/1508467271374540806

大変言葉足らずで申し訳ございませんでした。「その大きな声で反応したわけじゃない」とtweetする前に私なりに検証したことを細かく説明したいと思います。

こちらに10秒ほどの映像を上げております。YouTubeの歯車アイコンとなる『設定』をクリックすると『再生速度』が選択できます。「0.25」の値を選んで再生していただければより分かりやすいかと思います。映像右上にタイムコードを埋め込んであります。
https://youtu.be/0WK2s3Y-j0k

大声が聞こえるのは2.569秒からとなりますが、それ以前のダイアトニックの挙動を説明します。

【0.000秒~1.684秒】
右手前で約0.550秒/完歩のピッチでダクを踏み続けています。

【1.684秒~2.185秒】
それまでと同じく右手前で着地していますが僅かにピッチが速まっています。

【2.185秒~2.285秒】
前肢の動きがそれまでの区間と異なります。右前肢を踏ん張ってブレーキを掛けているようなイメージです。

【2.285秒~2.335秒】
ダイアトニックの異変を感じ取った岩田康誠騎手がヒジを張り出しています。この映像ではわかりませんが、現地映像を見ると当然のように両ヒジを張り出していました。挙動を乱そうとするダイアトニックを制止しようという動きではないかと私は思います。

【2.335秒~2.435秒】
ダイアトニックの後肢を見てください。若干右側にステップしていると私には見えました。このタイミングから左側へ重心移動させていきます。

【2.435秒~2.569秒】
ダイアトニックの馬体が徐々に左側へ傾いているのがわかるかと思います。この2.569秒で大声が聞こえ始めました。

音に対する競走馬の反応速度がどれくらいなのか私は知りませんが、人間の場合なら陸上競技のルールにある通り、0.100秒が限界とされています。この陸上競技においては前方へ走り出す以外になく、その動作の準備が既にできている状態です。しかし、このダイアトニックの場合、スタンドからの大声に反応したとするならば、音に反応した最初の動作は左側へ移動するための準備段階となるはずで、それまで前方へダクを踏んでいたところから変化しなければなりません。

上記の通り、2.185秒の時点でダイアトニックは右手前に替えるべく初動動作を行っています。また、左手前に替えて最初に右後肢を着地したのが2.485秒の時点。この時点でもまだ大声は聞こえていません。以上のことから、私はダイアトニックが大声に反応したわけではないなと判断した次第です。人も馬も、大きな音に反応して左右どちらかに移動するとなった際、音をキャッチした時点での脚の動き方によっては、実際左右に移動し始めるまでに必要な前段動作があるはずで、いきなり音と同期するような行動は不可能であり必ずタイムラグが生ずるのではと私は思うのです。

スタンドから大声が発せられたとして、その発声元から直線上にダイアトニックを経て、ダイアトニックから約34m離れた地点にある集音マイクで拾われた音声だったら、映像上で聞き取れる大声のタイミングの約0.1秒前にダイアトニックは大声を耳にしたとなります。とすると、前述の左手前に替えて最初に右後肢を着地した2.485秒の時点で、既に大声はダイアトニックに届いていることになります。それでもその後0.1秒経ってからでないと、大声に反応して左側へ逃避行動するのは難しいように思います。さらに倍の距離となる約68m離れた集音マイクで大声を拾ったとしても、ダイアトニックの一連の動作との整合性は取れないように私は思うのです。私の論点としては誰が大声を出したかではなく、映像から聞こえた大声に反応したわけではない、という部分になります。

以上、お付き合いありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?