【BL二次小説】 チャリデカ2《カジノ編》①
鞠「ブラックジャック」
岸神小鞠は伏せられたカードが開く前に言った。
2枚目のカードが開かれる。
観客達「おお!」
小鞠の予告通り、ブラックジャックだった。
どよめく観客達。
ディーラー「……お見事です」
目の前に高々と積まれた大量のコインが2.5倍になって返ってくる。
鞠「帰ります。精算を」
小鞠は立ち上がり、ディーラーに100$チップを3枚放りながら言った。
ディーラーが小鞠の獲得したコインをレシートに替えて渡す。
観客達の羨望の眼差しを背に受け、小鞠は蝶ネクタイの位置を直しながらカジノを後にした。
エントランスでハイヤーに乗り込む。
シートに腰を埋め、流れる夜景を眺めながらフーッと息を吐く。
そしてニヤリと笑い、言った。
鞠「全く……チョロイですね」
カジノフロアでは、小鞠の立ち去った後のブラックジャックテーブルを苦々しく見下ろす白人男性がいた。
従業員「ピエール支配人!」
呼ばれた白人男性は顔を上げ、口を開いた。
ピ「どうでしたカ?」
従業員は首を横に振りながら悔しそうに答えた。
従「今回も……やられました。イカサマです」
ピエール支配人は溜め息をついた。
ピ「……困りましたネ。もう我々の手には負えまセン」
~コンベンションホール~
同日同時刻頃。
同カジノホテルのコンベンションホールでは、海外の最新ロードバイクの展示会が開催されていた。
泉「やはりいいもんだな、最新モデルは」
黒「どんどん軽くなっていくよな」
真「そしてどんどん高価になっていきますね」
チーム箱学は全員でこの展示会を見に来ていた。
荒「しかしさァ、なにも非番の日に来なくたっていいンじゃナァイ?仕事に必要な物なんだから堂々と勤務中に見に来りゃいいのにヨ」
新「寿一から集合連絡が入った時、オレてっきりバーベキューパーティーでもやるのかと思ったよ」
福「バーベキューは無いが、この後ここのバフェで食事だ」
東「卑しい者共め。フクがなぜわざわざ非番の日を選んだのかわからんのか」
東堂が新開と荒北に説教する。
東「勤務中に来たらまた巻ちゃんにギャーギャー言われるからに決まっておろう」
荒「へへへ。巻島にまた高価なチャリに買い換えろって言ってやんぜ」
新「会社経費で最新のロードに乗れるって最高だよな」
東「その度にフクが巻ちゃんに小言浴びせられているのだぞ!少しはフクに感謝せんか!」
福「オレは巻島の小言など全く気にしていない」
東「それもどうかと思うぞフク!」
そこへ真波が目を輝かせて走り寄って来た。
真「福富さん福富さん!展示会も一通り見終わったし、早く行きましょうよ!」
福「ム。食事の後ではダメなのか」
黒田と泉田も真波に賛同する。
黒「オレも待ちきれないっス」
泉「むしろ今回はあっちの方がメインというか」
福「そうか。では行こうか」
真波達が楽しみにしているのは、もちろん地下のカジノフロアのことだった。
日本にも国営カジノが認可され、ラスベガスのようなカジノホテルがいくつか開業するようになったのだ。
24時間営業なので連日賑わっている。
「Mr.福富!」
カジノフロアに着くと、福富は声を掛けられた。
振り向くと、ピエール支配人が立っている。
福「Mr.ピエール。お久しぶりです。カジノホテルの支配人とは存じておりましたが、こちらでしたか」
ピ「久しぶりですネー。皆さんお揃いデ。今日は非番ですカ?」
ピエール支配人は両手を広げ、笑顔でチーム箱学を迎える。
黒「誰?」
泉「総北高校チャリ部の元顧問だ。今は退職してカジノホテル支配人。でも国営だからボク達と同様、公務員さ」
ピ「Mr.福富。実はお話ガ……」
福「ム。伺いましょう。みんな、自由にしててくれ」
ピ「皆さん、Mr.福富をチョットお借りしマース。どうぞ当カジノでお楽しみ下サイ」
福富はピエール支配人に連れて行かれた。
東「よし。では自由行動だ」
後輩達「わーい!」
後輩達は喜んでカジノフロアへ散って行った。
荒「あまり熱くなンじゃねーぞ!」
後輩達「はーい!」
新「ははっ、可愛いな。後輩達はいつまでたっても子供みたいだ」
荒「オメーも似たようなもんだぜ」
新「なんだよ、靖友だって」
東「小学生か貴様らは」
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