【BL二次小説】 お出掛け⑨終
「新開……」
「なんだい?」
抱き合いながら、荒北が言った。
「眠みィ……」
「は?」
「ホッとしたら、急激に眠気が……」
「ええ?」
新開に肩ズンする荒北。
徐々に体重がかかってくる。
「ちょ、待って靖友。ほら」
新開は慌てて、桜の木の下に荒北を座らせる。
自分も一緒に腰を降ろし、太股の上に荒北の上体を倒させた。
「……膝枕だァ……」
「うん……。ゆっくりおやすみ、靖友」
「目ェ覚めたら……夢じゃねェと……イイナ……」
「夢なんかじゃないさ。ずっとオレ、おめさんの傍にいるよ」
「……ウン……」
スゥ……。
荒北は眠りについた。
心地好い風が二人の頬を撫でる。
新開は、荒北の髪を優しくすきながら、ずっと寝顔に魅入っていた ──。
~翌日~
「新開さーん!荒北さーん!」
部室で真波が二人に駆け寄って来た。
「昨日、お二人デートしてましたよねー!」
「!」
「!」
ビックリして飛び上がる二人。
「なッ……!真波!オメ……」
「えへへ~。オレ、あのアクセサリーショップに居たんですよー」
「えっ?本当かい?」
「声掛けようと思ったら、二人とも走って出て行っちゃうから、オレも追い掛けたんですー」
「ま、まさか……ずっと」
「見てましたよほらー!」
真波はそう言うと、手を伸ばして二人のジャージの袖を捲った。
「!」
「!」
二人の二の腕には、ペアのアームバングルがはまっていた。
「ほらねー!」
「「おおーー!」」
部員達が集まってきた。
「真波!テメ!余計なこと言うンじゃねェ!」
ゴン!!
真波の頭をゲンコツで殴る荒北。
「うわーん殴ったー!全部バラしてやるー!そのあと抱き合ってましたー!!」
「「おおおーー!」」
「黙れェ!」
真っ赤になって追い掛ける荒北。
逃げる真波。
「そのあと膝枕してましたー!」
「「おおおおーー!」」
「ヤメローー!」
逃げ回りながら大声でバラす真波。
「あの難攻不落そうな荒北さんを落とすなんて……さすがです!新開さん!」
新開に尊敬の眼差しを向ける泉田。
「いやぁ、参ったな」
照れながらも、嬉しそうな新開。
「そのあと新開さんが荒北さんにチューしてましたーーっ!!」
「「おおおおおーーっ!」」
「エッ?」
追い掛ける足をピタッと止める荒北。
「やべ……」
目が泳ぐ新開。
「新開!オメ!オレのファーストキス……!」
「いやぁ、ははっ」
「「おおおおおおーーっ!」」
「あーあー。そんな堂々とイチャイチャされちゃあ、からかう気も起きませんよ。アホくさ」
呆れている黒田。
「ぬぅ!隼人と荒北に先を越されるとは!オレも巻ちゃんに告白するぞ!」
悔しそうに巻島に電話を掛ける東堂。
『お掛けになった電話番号は現在使われておりません』
「ぬわぜだーーーっ!!」
晴れて公認の仲になれた二人。
いつまでもお幸せに ──。
おしまい